Windows11に対応するモバイルPCを入手せよ!
私はモバイルPCやガジェットに目がない種類の人間です。いえ、でした..か。古くは ThinkPad 230Cs というIBM時代にはじめてカラー液晶を搭載したB5モバイルサイズのマシンからスタートして、数多のモバイルデバイスの使用遍歴があります。この熱が冷めたのは、お察しの通り iPhone の登場によって人類にもたらされた「いつでも誰でも片手でモバイル」時代の到来によるものでした。このあたりから、モバイルPCの用途はクライアント先でのプレゼン時にパワポスライドの再生がメインとなりました。求められるマシンパワーは高が知れていますので、ここしばらくは LIFEBOOK S937/R を長らく愛用し、十分に機能してきたのです。しかし、2025年10月に訪れる Windows10 の終焉の到来が近づく今、第7世代のCPUを積んだS937/RはWindows11のアップグレードに適合していないために、最低限Windows11が動作するモバイルPCが必要になったというのが事の始まりです。
これを機に Linux への移行も試みている最中で、そのリアリティは十分手応えを感じてはいるのですが、なにせ急激な変化になるため、保険の意味でも 最低1台は Windows11 マシンを用意しておかねば..と考えていました。環境設定などのための時間が取れる年末年始のタイミングで入手したマシンが、富士通の LIFEBOOK S938/S というマシンです。
選定の基準としたポイントは?
実際、第8世代のIntelのCPUを搭載したマシンなら何でも良かったのです。ThinkPadやレッツノート、Dynabookなど、あらゆる機種を対象に選定するつもりでした。とはいえ、持ち運びがメインとなるために、15インチクラスのノートは避けたいし、バッテリも生きていてくれないと困ります。一応の基準を挙げると、以下のようなものでした。
- Intel 第8世代 以降の Core i3クラス以上 CPU搭載
- 液晶の解像度はFHD以上
- 12~14インチの液晶搭載
- メモリは最低8GBを搭載可能(増設でも可)
- SSD/HDDの搭載は問わず
- ACアダプタの付属は問わず
- 傷や汚れはあまり気にせず(筐体破損までは許容できない)
- BIOSの動作確認までは取れている
- 価格は1万円以下
と、まぁ、この世代のモバイルPCならばほとんどのケースで適合するであろう緩い条件です。
1kgを切る軽量モデルが多く、魅力を感じてはいたのですが、この世代のマシンの傾向として、いくつか気をつけねばならない点がありました。
- メモリ増設スロットを持たないマシン(オンボードで4GBならアウト)
- 特にThinkPadのお安いモデルにはHD液晶搭載機がゴロゴロしている
液晶の解像度がFHDであることと、メモリ搭載量が8GB以上であることは譲れない一線です。ただ、この線引きをすると、意外にお安いものを見つけにくかったイメージです。ヤフオクで物色すること1週間ほど、条件に合うジャンクが5千円程度でワーッと出品されていたのが目に止まりました。
代わり映えのしないモデルを選んでしまった..

目に入ったのは、富士通のLIFEBOOK S938/S という機種で、現用のS937/Rと瓜二つのものです。これらの機種は、光学ドライブも搭載可能な大柄の筐体で重量も1.2kg程度と、この頃発売されたモバイルPCのトレンドからは外れたものでした。実際、同じくLIFEBOOKの U938 シリーズのほうが圧倒的に多く出品されているのは明らかでした。それでも、S938/Sに惹かれたのは、ジャンクという特性上、パーツを流用できるマシンが手元にある安心感です。実際、購入したマシンにはACアダプターは付属しておらず、S937/Rのものを流用しています。今回は増設メモリも S937/R から拝借しています。バッテリが共有できるというのも強みでした。実はこの機種は2ndバッテリを搭載できるほどの拡張性があるんです。
5千円程度で多く出品されていたS938/Sのジャンク理由を見ると、筐体破損や液晶割れなど、結構深刻なダメージを追ったものが多く二の足を踏んでいたところ、1台だけこのような症状が見られないマシンがあったので、安易にこれを選択したわけですが、これがトラブルのはじまりでした。ちなみに、落札価格は5千円ちょっとでしたが、誰も応札してはきませんでした。みなさん、1kg以下の軽量モデルがお好みなのでしょうね。それとも、トラブルを嗅ぎ分ける嗅覚が鋭かったのか..。

ジャンク理由は様々だが、これははじめてのケース

コンディション書きにある通り、筐体汚れや液晶のムラ、シールの剥がし跡などは記載どおりの症状だったのですが、みなさんのご参考のためにお知らせしたいことがあるのです。この個体、USBポートがすべて壊れていたんです…とほほ。S938/Sは、光学ドライブのベイによって、側面の面積が大きく削られており、元々USBポートが2つしかないのですが、その2つともです。多分、毎日USBメモリの抜き差しを頻繁に行うような使われ方をしていたのでしょう。この注意書きからUSBポートの全破損を予見することは困難でしたから、みなさんもご注意ください。
ジャンクに手を出すものの心得として、別に恨み節を言うつもりはないんですが、この状況は結構深刻な事態であることはお分かりでしょう。そう、Windowsをインストールできないんです。
USBメモリによるWindowsのインストールができない場合の対処方法
泣き語を言っていてもはじまりませんので、別の方法でWindowsのインストールをトライするしかありません。と言っても、最早取り得る手段は別のマシンでWindowsをインストールし、そのSSDごと移植するしかないんですけどね。嗚呼、なんで面倒なんでしょう?!
まずは別の母艦にSSDを取り付けてWindows10をインストール
幸いというか、ジャンカーである私の家にはマシンがゴロゴロしています。S937/Rでやろうと思ってバラしてみたら、この機種はSATAのSSDにしか対応しておらず、用意していた NVMeのSSD は物理的にスロットに刺さりませんでした。
仕方がないので、HPの ProDesk 400 G3 SSF というデスクトップマシンを引っ張り出して、こちらで作業を行いました。小型ながら、メンテナンス性のよいマシンです。こちらは NVMe に対応していることを確認しています。特段、説明することもありませんし、トラブルらしいトラブルもありませんが、Windows10の初期セットアップの画面まで進んだところでSSDを引っこ抜きました。ドライバなどを当ててからだと、何かと面倒なことになりそうだったので。
ちなみに今回搭載したSSDは以下のものです。Amazon で4,881円でした。

Windows10をインストールしたSSDをS938/Sに移植
S938/Sの開腹作業はS937/Rとほぼ変わりがなく、裏蓋のネジを外すだけの簡単仕様です。SSDスロットへのアクセスも簡単ですから、作業は難なく終了しました。
まさか、M.2スロットまでイカれてはいないか?と一抹の不安を抱きながら電源をONにしたところ、何事もなく無事にWindows10の初期設定画面が現れ、無事にインストール完了となりました。
なぜ、Windows10を経由したかというと、Windows11のバージョン24Hはトラブル続きで、ちょっと恐ろしかったからです。

ここでさらに問題箇所が発覚
Windows10は優れたOSで、少し前に発売されたメジャーな機種ならば、ほとんど何もせずにハードウェアドライバが当たってくれます。S937/Rの時も手動でインストールしたドライバは指紋認識センサーくらいであったと記憶していましたので、同様にドライバを当てたところ、これが認識してくれませんでした。まぁ、指紋認証などなくとも大勢に影響はありませんから、忘れることにしました。
Windows11へのアップグレード作業
何度か Windows Update を繰り返していると、Windows11への更新が現れました。バージョンはトラブル真っ盛りの 24H2 ではなく、23H2 となっており、一安心。

無事にWindows11のインストールが完了しました。
メモリを増設してトータル16GBに
今回の S938/S はオンボードで8GBのメモリを搭載しているので、私の用途においては十分な容量なのですが、メモリ拡張ができるマシンでは罠があります。メモリを増設しないと、Singleチャンネルでの動作となってしまうのです。昨今のCPUは非常に高速であるため、メモリの転送スピードは大きく処理速度に影響してしまいますので、Single動作のまま使用するのは宝の持ち腐れというもの。幸い、S937/Rに増設していた DDR4 2400 8GB の SO-DIMMが 流用できましたので、無事にDualチャンネルで動作させることができています。
ちなみに、オンボードと容量非対称の4GBを搭載しても、4GBまでの領域まではDualチャンネル動作となりますから、お金をケチってでもDualにはしておくべきと思います。
LIFEBOOK S938/S の使用感について
では、このS938/Sを選択しようという希少な方に向けて、簡単なレビューをお届けします。
スペック
まずは簡単なスペックシートです。青字部分が増設した箇所。
| モデル名 | LIFEBOOK S938/S |
| CPU | Intel® Core™ i5 8250U (Kaby Lake R) コア/スレッド数 4/8 ベース動作周波数 1.6GHz ターボブースト時 最大3.4GHz スマートキャッシュ 6MB TDP 15W |
| メインメモリ | DDR4 2400 16GB (8+8) |
| モニタ | 13.3インチFHD(1920×1080) |
| SSD | 500GB (M.2 NVMe PCI-E 3.0) |
| 通信 | 有線LAN 1000BASE-T/100BASE-TX 無線LAN IEEE 802.11a/b/g/n/ac Bluetooth V4.1 |
| GPU | Intel® UHD Graphics 620 |
| 光学ドライブ | なし |
CPUの処理速度ですが、S937/R搭載の Core i5 7300U (Kaby Lake) と比較では体感差はほとんどありません。スレッド数が8と倍になっているため、それが生かされる処理では大きな違いでしょうが、普段遣いでその恩恵を感じることはありません。むしろ、L3キャッシュが6MBに増量されていることによる操作レスポンス向上を多少感じる程度でしょうか。Windows11 が不要ならば、まったく無駄な買い物であったと断言できるレベルです(笑)。ベースクロックが1.6GHzに抑えられているのは良いですね。
使い勝手は、S937/Rと筐体がほぼ同一である以上、違いはありませんので、これまで通りの使用感です。液晶の色ムラが少々気になるレベルでしたが、どうしてもとなれば S937/R から移植すればいいでしょう。これが2個1の強みです。
ベンチマーク
いくつかベンチマークを取ってみました。
まずは CINEBENCH R15 です。メモリがDualチャンネル動作のもの。

Single動作では、マルチが400cb 程度でしたから、Dual動作の効果は確かにあります。ちなみに、S937/Rのマルチは300cb に届きませんでしたから、そこは8スレッドの面目躍如というものです。
次に、CrystalDiskMark の結果です。

こちらは期待通りの値でした。ちなみに、S937/Rは SATA 接続のSSDなので、500MB程度しか出せませんでしたから、大容量のファイルを頻繁にハンドリングするようなシーンではその恩恵に浴することができるでしょう。実際、アプリの起動時にはスピードアップを実感できます。

続いて、DQ10ベンチです。このマシンでゲームなどしないのですが、FHDの標準品質ならば遊べる程度には動くようです。左がメモリがDualチャンネルのもの、右はSingleの状態で測定したものです。結構な差が出ますね。


Intel UHD 620 はメインメモリをVRAMとして使用するため、メモリバスのスピードがパフォーマンスに直結するということがよく分かる結果です。Single動作では、各所で画面がカクついていました。
というわけで、熱設計が15Wの枠内では、この程度のパフォーマンスになるのは仕方ありませんが、普段使いには十分なパワーですね。
まとめ
結局、お得だったのか微妙なことに..
本体+SSD+メモリの合計コストが12,000円を超えてしまった訳で、これならば最初からWindows10がインストールされて、USBポートにも不具合のない、ACアダプターも付属するキレイなものを落札すればよかったのではという反省があります。まぁ、SSDは大容量にできたし、メモリも16GBにできたし、マウスはBluetooth接続のものを別途用意すれば実用には足るということで、今回は気持ちに落ちをつけることにします。ジャンク弄りが趣味でない方には、到底おすすめできかねますが..。
S938/Sを選ぼうという方への忠告
いいマシンですけど、重たいのは確かです。液晶の品質はレッツノート以上Dynabook以下で普通。バッテリが着脱式なので、膨張して筐体が膨らむような心配はいらないし、大容量バッテリの入手も容易です。メモリ増設は裏蓋のネジを1本捻るだけで出来るので、初心者にも安心でしょう。
U938シリーズは、オンボードが8GBのものばかりで、それ以上増設できませんから、第8世代CPUでもいいが、メモリは16GB欲しいという方にはピッタリです。
ただ、ファンが結構盛大に回るので、これが気になる人にはおすすめできません。冷却ファンの径が相当小さいので、これは致し方のないところです。小径ファンならではの、高周波寄りの少々耳障りな音ですが、S937/Rもご同様で、私が買い替えを決断した訳ですから、我慢できないレベルではないとは思います。
ともあれ、Windows11への備えはできたので善し
最適化がしっかり進んでいるようで、Windows11 が出た当初、Windows10からの移行で感じたもっさり感は影を潜めています。実際、S938/SでWindows11を使用していて動作にもたつきを感じることはあまりありません。これで心置きなく2025年の10月を迎えることができると思うと安心です。
これでお役御免となった S937/R を心置きなくLinuxマシンにコンバートできます。その様子は機会があればご紹介しましょう。
みなさんも、Windows11への準備はお早めに。

