WindowsからLinuxへ引っ越すときの現実:使える代替アプリ、諦めるソフト

WindowsからLinuxへ引っ越すときの現実:使える代替アプリ、諦めるソフト TECH

序章:これは「移行ガイド」ではなく「持ち物検査」だ

この記事は、いまも Windows 10 を使い続けている人、そして
「WindowsからLinuxへ移行(引っ越し)できないか?」と考え始めた人に向けた話だ。

Windows 10 のサポート終了が終了し、
「Windows 11 に行くべきか、それとも Linux に移行するべきか」
「今使っている Windows アプリやソフトは、Linux で使えるのか」
「代替アプリはあるのか、それとも諦めるしかないのか」
そんな検索をして、ここに辿り着いた人も多いと思う。

先に言っておくと、この記事は Linux移行の手順解説 ではない。
やるのは、WindowsからLinuxへ引っ越すときの“持ち物検査” だ。

  • そのまま持っていけるアプリ
  • 代替ソフトで何とかなるもの
  • そして、潔く諦めるしかないもの

この3つを、現実ベースで仕分けしていく。

「Linuxにすれば、Windowsの悩みは全部解決する」
そんな魔法みたいな話は、残念ながらない。

Linuxは魔法のOSじゃない。
業務を変えずに、WindowsアプリだけをLinuxに持っていこうとすると、だいたい途中で詰む。

この記事は、
WindowsからLinuxへ引っ越すときに、何が使えて、何を諦めるべきか
その“現実”を整理するためのガイドだ。


第1章:「動く」と「使える」は別の話

Wineや仮想マシンを使えば、Windowsアプリが「起動する」ことはある。
でも、それは 業務で毎日使える こととは別物だ。

この記事での基準はシンプルにこの3つ。

  • 毎日使ってもストレスが少ないか
  • トラブル時に自分だけが困る構成にならないか
  • チームや業務として成立するか

「一応動いた」は、ここでは合格じゃない。
“仕事として使えるか” が合否ラインだ。


第2章:これは現実的に「持っていける」「置き換えられる」

2-1. 動画編集

  • Premiere → DaVinci Resolve(現実解・本命)
  • 軽作業 → Kdenlive / Shotcut

結論から言うと、動画編集はLinuxでも戦える。
DaVinci Resolveは実務レベルで使えるし、個人用途や簡単な編集なら選択肢は十分ある。

ただし、捨てるものもある。

  • Adobeのプラグイン資産
  • Premiere前提のワークフロー

編集はできる。でも Adobe帝国は持っていけない。ここは割り切りポイント。


2-2. 画像編集・デザイン

  • Photoshop → GIMP / Krita
  • Illustrator → Inkscape
  • Web系 → Figma / Canva(ブラウザ完結)

画像編集やベクター制作は、代替はちゃんとある。
ただし、PSDの完全互換や、細かい挙動まで同じ、という世界ではない。

  • 作業はできる
  • でも「同じ操作感」を期待するとズレる
  • 印刷前提の話は、後の章でまた出てくる

Web系デザインに寄せるほど、OS依存は薄くなる。


2-3. Office・ドキュメント

  • Office → Web版 Office / Google Docs / Nextcloud Office
  • LibreOffice → 「開けるが、完全互換ではない」枠

共同編集、閲覧、軽い文書作成。
この用途なら、もう ブラウザで十分 な世界に来ている。

ただし、

  • マクロだらけのExcel
  • 複雑な帳票テンプレート
  • Access連携前提のファイル

このあたりは、ここで脱落する。

「Officeファイルを扱う」ことと、「Officeアプリに依存する」ことは、もう別の話だ。


2-4. メール・スケジュール・チャット

  • Outlook → Gmail / Webメール / Nextcloud Mail
  • Teams → Web版 / Nextcloud Talk / Meet など

ここはもう、OS依存ほぼゼロの世界。

ローカルクライアントに縛られる理由は、正直あまり残っていない。
ブラウザが動けば仕事になる、という構成に寄せられるかどうかが分かれ目。


2-5. ファイル共有

  • 共有フォルダ → SMB / Nextcloud / Google Drive

SMBは今でも現役。WindowsでもLinuxでも普通に使える。
ただし、「OSから自由になりたい」 という視点では、Webストレージ系のほうが一段有利なのも事実。

  • SMBは堅実な現役インフラ
  • Web系は“端末を選ばない”世界への近道

ここは思想と運用方針の差、という感じだ。


第3章:「代替はあるが、覚悟が要る」ゾーン

3-1. DTP・印刷物制作

  • InDesign → Scribus / Canva(用途限定)

結論から言うと、商業印刷ガチ案件は厳しい
色管理、入稿データ、業者とのやり取り。ここはまだWindowsやmacOS前提の世界が強い。

ただし、

  • Web用素材
  • 社内資料
  • 簡易なチラシや告知物

この程度なら、CanvaやScribusでなんとかなるケースも多い。

分水嶺はシンプルで、「印刷を主戦場にするかどうか」


3-2. 高度な映像・モーショングラフィックス

  • After Effects的な領域 → Blender / Natron(用途限定)

できることはある。でも、これは Adobeの代替 ではない。
ワークフローを組み替える覚悟が必要になる。

「同じことを同じ感覚でやりたい」なら、ここも厳しいゾーン。


第4章:これは「潔く諦めろ」ゾーン

ここははっきり言っておく。

  • Excelマクロ業務
  • Accessフロントエンド業務
  • Adobeプラグイン資産前提の制作環境
  • 独自ドライバ必須の周辺機器
  • 「このWindowsソフトじゃないとダメ」で固まった業務

これは、技術的に無理というより、業務構造がLinuxに乗らない

OSを変えれば解決する問題じゃない。
業務の設計そのものを変えない限り、どこかで必ず詰む。


第5章:結局、引っ越しの成否を決めるのは「アプリ」じゃない

チェックポイントはこのへんだ。

  • 業務の入口はWebか?
  • データはサーバー側に集約されているか?
  • ローカル保存・紙運用が主役になっていないか?
  • 「このPC壊れたら詰む人」がいないか?

ここが整っている組織は、
Windowsでも、Linuxでも、macOSでも、わりと普通に回る。

逆にここが古いままだと、
OSを変えた瞬間に、地雷原に突っ込む。


最終章:Linuxは「引っ越し先」ではなく、「身軽になった結果、住める場所」

全部を持っていこうとすると、だいたい失敗する。
持ち物を減らせた組織だけが、Linuxを選べる。

これは「OS移行」の話じゃない。
業務の断捨離と再設計の話だ。

Linuxに引っ越せるかどうかは、
あなたの会社がどこまで “OSから自由” になれているかで決まる。