Windows Server 2016、延長サポート終了まで残り2年──「まだ時間ある」は最も危険なサイン

Windows Server 2016、延長サポート終了まで残り2年──「まだ時間ある」は最も危険なサイン TECH

Windows Server 2016の延長サポート終了(EOS)が、2027年1月14日に確定している。
残り2年強──しかし、これは「まだ猶予がある」という意味ではない。むしろ、“2026年度の予算申請に間に合うかどうか” の分岐点に、すでに到達しているという認識が必要だ。

このタイムラインを正しく読めている企業は意外なほど少ない。現場の情シスは危機感を抱えている一方で、経営層は「Windows 2012終了のときも直前でどうにかなった」と過去経験に引きずられた判断を下しがちだ。しかし、2027年に向けた今回のEOSは“技術的問題”ではなく、“法的・契約的リスク”として顕在化する構造へと変わってきている点が、最大の落とし穴である。


まず前提として押さえておきたいのは、Windows Server 2016は「まだ普通に動いている」ことが最大のリスク要因だという点だ。
不具合もなく日々業務が回っている──だからこそ、経営層の危機感は限りなくゼロに近い。

しかし2027年1月以降、この状況は一気に“契約・監査リスク”へと転落する。

  • サイバー保険の加入・継続要件に抵触(多くの保険会社がEOS製品を除外対象としている)
  • ISMS等のセキュリティ監査で不適合判定(是正指示)
  • DX委託・再販・自治体連携などの“外部調達要件”で利用を拒否される可能性
  • 脆弱性公表後もMSから一切のパッチが提供されない=“ゼロ防御”の即時発生

──つまり「トラブルが起きてから困る」のではなく、2027年1月14日のタイミングで“取引・リスク認証・保険”の世界から締め出される可能性があるのだ。

ここまで理解している経営層は少ない。
逆に言えば、いま“まだ大丈夫”と判断している企業ほど、もっとも危ない。


さらに見落とされがちなのが、移行プロジェクトの本質は「サーバー更新」ではなく「アプリケーション資産の洗い出し」から始まるという点だ。

単にOSを入れ替えれば終わる、というケースはむしろ少数派だ。

  • 2016上で何が動いているかすぐに把握できない(属人化/ブラックボックス化)
  • 開発ベンダーが既に存在しない、あるいは保守契約が途絶えているケースが一定数存在
  • 業務依存度は高いのに“止められないが改修もできない”レガシー業務が潜在している
  • 認証/社内API/外部連携が連鎖しており、1台ではなく“接続構造ごと再設計”が必要

つまり、これは「リプレイス」ではなく「在庫棚卸と相互依存マップの再構築」から始まる大型プロジェクトである。
ハード更新やクラウド移行の可否を検討する前に、「そもそも何が動いているのか調査するだけで半年」は普通にかかる。

この“棚卸すらこれから”の企業が、2026年度予算に間に合わせられるか?──時間的猶予が「すでに発生していない」可能性を、直視しなければならない。


ここまでの流れの最終ポイントは一点に尽きる。

Windows Server 2016のEOSは「技術の劣化」ではなく「意思決定の遅延」が企業リスクになる時代に入ったという事実である。

  • 移行作業よりも “予算を通すまでの時間” のほうが長い
  • “棚卸→要件整理→稟議→RFP” の前段が、企業によっては1年かかっても進まない
  • 2026年度の申請に間に合わせるには 2025年度中に棚卸・体制・目的を固めておく必要がある
  • 検討開始が2026年になった瞬間、もう「間に合わない」可能性の方が高くなる

では実際に、「今日から何を始めれば間に合うのか」
答えは単純でありながら、多くの現場が最も後回しにしてしまう工程だ。

移行作業ではなく ── “棚卸と経営レベルの合意形成” に今すぐ着手すること。

  • まず 「社内に2016が何台あるか」ではなく「どの業務の呼吸を止め得る資産か」 を棚卸する
  • 情シスだけでなく 事業責任者・経営層を巻き込める“体制”そのものを定義する
  • “移行計画”ではなく “継続利用の意思決定ができる状態” をまず準備する(廃止・更改・委託・クラウド・業務刷新の選択肢)
  • 2025年度中に、棚卸完了と予算見積もりラインを確定させる ── ここが事実上のデッドラインになる

2027年1月14日に終わるのは“サポート”ではない。
「対外的にWindows Server 2016を正当化できる口実」が完全に失われる日である。

“まだ時間はある” という判断こそが、最も危険である。