中国、“国産GPU”で制裁突破を狙う ─ SMICの最新7nmが示す自力回帰の野心

中国、“国産GPU”で制裁突破を狙う ─ SMICの最新7nmが示す自力回帰の野心 TECH

連載:技術覇権戦争の現在地

米国によるAI半導体の輸出規制が再強化されるなか、中国は「国産GPU」による自立路線を加速させている。中心となるのはSMIC(中芯国際集成電路製造)の7nmプロセスと、Biren・Moore Threads・HuaweiなどのGPU設計企業群だ。制裁を受けてもなお、彼らの目標は明確――“自力計算圏”の確立である。

序章:制裁を受けて、立ち上がる中国半導体産業

中国政府は半導体を「国家の神経系」と位置づけ、開発支援を総力戦体制で進めている。国家資金「大基金III号」による巨額投資が動き、大学・国営企業・軍需系研究所が一体化。SMICは輸出制限下でありながら、EUVなしで7nm世代の量産試作を実現したとされる。

第1章 Biren・Moore Threadsの台頭

  • Biren(壁仞科技):AI学習用GPU「BR104/BR100」を発表。性能はA100級に接近。
  • Moore Threads(摩尔线程):ゲーミング向けGPUと汎用演算両対応。ドライバ環境を独自構築。
  • 共通課題:EDAツールやファブ技術が依然として西側依存。設計の独立性は高いが製造のボトルネックは残る。

第2章 SMICの7nm技術──“制裁下の突破口”

SMICはEUV露光装置を持たずに7nm級プロセスを実現したと報じられている。DUV多重露光+最適化設計による“擬似7nm”とも言えるが、実際にはAIアクセラレータなどに実装可能なレベルに達している。

この動きは、米国の技術封鎖が完全ではないことを示すと同時に、中国の製造技術蓄積が新段階に入った証左でもある。

第3章 “自力計算圏”構想とその限界

  • 自給自足戦略:設計・製造・訓練クラウドを国内で完結させる構想。
  • 限界1:AI開発に不可欠な最新EDA・EDA IPが依然米国産。
  • 限界2:サーバー用メモリ・光通信部材などで輸入依存が残存。
  • 限界3:消費電力・歩留まり・量産コストの最適化が課題。

第4章 西側サプライチェーンとの“非対称分離”

西側が目指すのは「遮断」ではなく「非対称分離」だ。すなわち、中国が作れる領域は作らせるが、制御可能な領域には立ち入らせないという構造である。結果として、中国は独立した技術圏を築きながらも、最先端には届かない“戦略的遅延”の状態に置かれている。

結章 技術主権の光と影

中国の国産GPU開発は、確かに成果を上げつつある。しかしその先にあるのは、相互依存なき世界という不安定な構図だ。かつてグローバル化が育てた技術連携は、いまや“国家的防壁”によって分断されつつある。

国家が技術を守ろうとするたびに、技術は国家の外へ逃げ出そうとしている。


次回予告:「欧州の十字路 ─ ASMLとNexperiaが背負う“技術と主権”の葛藤」

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