2025年版|Nextcloud Office の動かし方【インストール】

2025年版 Nextcloudの動かし方 on TrueNAS HowTo
2025年版 Nextcloudの動かし方 on TrueNAS

― TrueNAS 時代を越えて、再び「使える私設クラウド」へ ―

なぜ、今ふたたび Nextcloud Office なのか

Nextcloud Office。
それは「Nextcloud 上で動くオフィススイート」であり、
LibreOffice をベースにした Collabora Online を中核とする。

一言で言えば、

Google Workspace のような共同編集環境を
自分のサーバーで持てる仕組み

だ。

Nextcloud Office - Self-hosted online office suite
Nextcloud Office is a powerful online office suite with collaborative editing and supports all major document file forma...

にもかかわらず、ここ数年――
特に 2023年以降、日本語圏ではこんな声が増えていた。

  • 設定が難しすぎる
  • 昔は動いたのに、今は動かない
  • TrueNAS で詰んだ
  • Collabora が SSL を要求してきて無理

検索結果には 古い成功体験未完の断片情報が並び、
「結局、今どうやればいいのか?」が分からない状態が続いていた。


TrueNASは「必須条件」ではない

本記事は TrueNAS SCALE 上での構築例を扱う。
だが、それは

Nextcloud Office を動かすために
TrueNAS が必要だから

ではない。

理由は単純で、

  • 私が VM を扱うための基盤として
    TrueNAS SCALE を選択した
  • ZFS / スナップショット / バックアップが簡便
  • ジャンクサーバーでも安定して運用できる

という個人的・運用的な判断に過ぎない。

言い換えるなら、
 TrueNAS は「舞台装置」であって、
 主役ではない。

Enterprise Data Platform | TrueNAS Storage Solutions
Transform your data estate with TrueNAS Enterprise storage. Secure, scalable, high-performance data platform for every w...

本質は「VM構成である」こと

この記事で伝えたい本質は、ただ一つ。

Nextcloud と Collabora を
VM として分離して動かすと、
2025年現在でも“確実に”動く

という事実だ。

その VM を載せるプラットフォームは、

  • TrueNAS SCALE
  • Proxmox
  • ESXi
  • 素の KVM
  • VMware Workstation

どれでも構わない。

TrueNAS を使っていない人は、
自分の仮想化基盤に読み替えてほしい。


なぜ「TrueNASでの例」を使うのか

それでも本記事で TrueNAS を使う理由は明確だ。

  • 日本の個人ユーザーに利用者が多い
  • 自宅サーバー用途として現実的
  • VM とストレージ管理が一体化している
  • スナップショットで「やり直し」が効く

つまり、

失敗しにくく、検証しやすい

という点で、
説明用の土台として適しているだけだ。

これは「推奨」ではない。
例示だ。


前回の記事との関係について

以前の記事では、
TrueNAS SCALE の k3s時代のApps 機能を中心に構成していた。

当時としては合理的だったが、
現在の Nextcloud / Collabora 環境では

  • Apps(k3s / Docker)構成が複雑化
  • ドキュメントとの乖離
  • トラブルシュート不能

という問題が顕在化している。

本記事は、
その反省の上に立った「再構築」である。

※この記事の方法は今では通用しない


この記事のゴール

この章では、この記事が目指している「到達点」を示す。

読者が、自分の環境で
Nextcloud Office を「動かせる」こと

思想でも、比較でも、布教でもない。

動いたら、正義。
動かなければ、失敗。

その一点にのみ、焦点を当てる。


あなたが走り切った先には、
この「当たり前の利便性」が待っている。

――Google Workspace と同じ体験を、
自分のサーバーで。

これはデモではない。
実際に“動いている”Nextcloud Office だ。

Nextcloud Office 上で新規プレゼンテーションを作成し、日本語UIで編集できている状態。
この記事の手順をすべて完了すると、この環境が自分のサーバー上に構築できる。

2025年現在の結論構成

本記事の結論は、最初に提示してしまう。

2025年時点で 最も安定し、再現性が高い構成は、これだ。

2025年時点で TrueNAS上で Nextcloud を最も安定して動作させる構成

ポイントは以下の通り。

  • Nextcloud と Collabora は 別VM
  • SSL は 使わない
  • Reverse Proxy は 使わない
  • 名前解決は IPアドレス直指定
  • Apps / k3s / Helm は 一切使わない

これが「逃げ」ではなく、
2025年の現実解である理由は、
後の章で順を追って説明する。


なぜ VM 構成なのか

ここで、多くの人が疑問に思うはずだ。

Docker で全部まとめた方が楽では?

答えは NO

Docker 版 Nextcloud + Collabora は、
確かに一見スマートに見える。
だが実際には、次の問題を抱える。

  • DB / Redis / WOPI のネットワークが複雑化
  • コンテナ間通信の名前解決問題
  • Reverse Proxy 前提の設計
  • トラブル時にログの所在が分からない

一度詰まると、
「どこが悪いのか」を切り分けられなくなる。

一方、VM構成では――

  • 公式ドキュメントと完全一致
  • Apache / PHP / DB の挙動が素直
  • 壊れたら VM ごと捨てられる

これは“古いやり方”ではない。
「保守可能なやり方」だ。


Nextcloud VM 構築

Nextcloud VM 側は、とにかく公式に寄せる

  • OS:Ubuntu Server 22.04 LTS
    (24.04 でも可。本記事では 24.04.3 を使用)
  • Web:Apache2
  • PHP:8.1 / 8.2
  • DB:MariaDB

ここで重要なのは、

Webインストーラーを使うこと

だ。

理由は単純で、

  • PHP モジュールを勝手に最適化してくれる
  • Nextcloud 側の想定構成から外れない
  • 後続の Collabora 連携で “癖” が出ない

この時点で、
Docker 版 Nextcloud を選ぶ理由はない。

まずはVM構築

Ubuntu Server の ISO ファイル取得

OSの選択は、公式にならって Ubuntu Server を選択するのが無難。
公式サイトから、ISOファイルをダウンロードしてこよう。

私が使用したのは、ubuntu-24.04.3-live-server-amd64.iso

Get Ubuntu Server | Download | Ubuntu
Get Ubuntu Server one of three ways; by using Multipass on your desktop, using MAAS to provision machines in your data c...

TrueNAS で Virtual Machine を作成

TrueNAS SCALE のメニューから「VIrtual Machines」を選択

TrueNAS のメニューから「VIrtual Machines」を選択。

TrueNAS SCALE の VIrtual Machines 画面右上の「Add」を押下。

VIrtual Machines 画面右上の「Add」を押下。

TrueNAS SCALE の Create Virtual Machine画面。

パラメータは環境に合わせて設定。以下は参考値。

名前:Nextcloud

Virtual CPUs:
2
Cores:
2
Threads:
2
Memory Size:
8 GiB
Boot Loader Type:
UEFI
System Clock:
UTC
Display Port:
5902
説明:
Shutdown Timeout:
90 seconds

OSインストールのために、Devices 画面から「Add」を押下。

OSインストールのために、Devices 画面から「Add」を押下。

OSインストールのために、Add Devices 画面から「CD-ROM」を選択。
CD-ROM Path は Samba Share 配下にダウンロードしたISOをコピーして指定。

OSインストールのために、Add Devices 画面から「CD-ROM」を選択

VMをCD-ROMからブートして、Ubuntu Server のインストール。

Ubuntu Server のインストール解説は行わない。
数多ある解説サイトを参照するか、ChatGPTに相談してインストールを完了して欲しい。
それができない人は、この先に進んでもどこかで詰む。

必ずSSH接続をONにすること。
SPICEによる画面操作は、オマケと割り切る。

今回、IPは 192.168.1.151

Nextcloud 環境構築

Web + PHP + DB を入れる

SSHで接続してコマンド実行。

sudo apt update
sudo apt install -y \
  apache2 \
  mariadb-server \
  libapache2-mod-php \
  php \
  php-cli \
  php-gd php-curl php-zip php-xml php-mbstring php-intl php-bcmath \
  php-mysql \
  unzip
Apache 起動確認

systemctl status apache2

ブラウザから:

http://192.168.1.151/

→ Apache のデフォルト画面が出ればOK。

データベース準備

初期化:

sudo mysql_secure_installation

DB作成:

CREATE DATABASE nextcloud;
CREATE USER 'ncuser'@'localhost' IDENTIFIED BY 'strongpassword';
GRANT ALL PRIVILEGES ON nextcloud.* TO 'ncuser'@'localhost';
FLUSH PRIVILEGES;

Webインストーラーを配置

cd /var/www/html
sudo rm index.html
sudo wget https://download.nextcloud.com/server/installer/setup-nextcloud.php
sudo chown -R www-data:www-data /var/www/html

ブラウザでインストール

http://192.168.1.151/setup-nextcloud.php

あとは画面の指示どおり:

  • 管理者ユーザー作成
  • データフォルダ(例 /var/ncdata)
  • DB:MariaDB
  • ユーザー / パスワード / DB名

設定するだけ。

ダッシュボートの画面が表示されたらOK。

Nextcloud Hub 25 Autumn (32.0.3)のダッシュボード画面

Collabora VM 構築

Nextcloud Office 最大の難所は、
Collabora 側の設定だ。

多くの失敗は、ここで起きている。

  • coolwsd.xml を直接編集
  • server_name を無理に指定
  • SSL を強制しようとして破綻
  • 0.0.0.0 や hostname の亡霊に悩まされる

本記事では、これらを 一切やらない

Collabora VM では、

  • Ubuntu Server
  • Docker
  • collabora/code(CODE)

これだけを使う。

設定も 最小限に留める。

「触らないこと」が、
最大の安定化要因になる。

VM構築

Nextcloud 同様に構築。Cloneして、環境をクリーンアップするほうが早いかも。

今回IPは、192.168.1.150

Docker 起動

sudo docker run -d \
  --name collabora \
  -p 9980:9980 \
  -e "username=admin" \
  -e "password=NEWPASS" \
  -e "domain=192\.168\.1\.151" \
  -e "extra_params=--o:ssl.enable=false" \
  --restart always \
  collabora/code

ポイント

  • username / password は Collaboraの管理コンソールログインに必要
  • domain は Nextcloud 側のVMのIPを指定する
  • ssl.enable=false ローカル/VM構成では SSL を無効化するのが現実解

Collabora ダッシュボードに接続

http://192.168.1.150:9980/browser/dist/admin/admin.html

ID/PASSは、username / password で設定したもの。
これでダッシュボードが見えればOK。

Collabora ダッシュボード

Nextcloud と Collabora を接続する

ようやく、Nextcloud Office の起動設定だ。

Nextcloud Office アプリをインストール

[アプリ] – [Office & テキスト] – [Nextcloud Office] をインストール&有効化

Nextcloud Office アプリをインストール

Nextcloud Office の Collabora 接続設定

[管理者設定] – [オフィス] 画面で、CollaboraサーバーのURLとポートを指定。

  • [自分のサーバーを使用する]にチエック
  • [Collabora OnlineサーバーのURL (とポート)]に以下を設定
  • [ 証明書検証の無効化(安全ではありません) ]に✓をいれて [ Save ] ボタンを押下
http://192.168.1.150:9980

すると、緑背景で接続完了を示すメッセージが表示される。

Nextcloud Office の Collabora 接続設定。[管理者設定] - [オフィス] 画面で、CollaboraサーバーのURLとポートを指定。

ポイント

表示される WOPI 許可リスト警告は、

エラーではない

個人利用・自宅・PoC 環境では、
無視して問題ない


これで、すべての準備は整った。


実際に動かしてみる

[ ファイル アプリ ] 画面 の [ +新規作成 ] ボタンを押下すると、Officeファイルが選択できるようになっているのが分かるだろう。

Nextcloud ファイルからオフィスドキュメントを新規作成

Nextcloud Office は、LibreOffice のサブセットに゙該当する。

  • 新規スプレッドシートは Calc 相当
  • 新規ダイアグラムは Draw 相当
  • 新規ドキュメントは Writer 相当
  • 新規プレゼンテーションは Impress 相当
LibreOfficeNextcloud Office
Writer
Calc
Impress
Draw
Charts△(付随)
Base
Math

ドキュメントを新規作成する

[ 新規ドキュメント ] をクリックしてみよう。
ファイル名は適当でいい。

Nextcloud Office で 新規ドキュメント作成画面

この通り、LibreOffice 互換の UI が、ブラウザ上に立ち上がる。

Nextcloud Office で 新規ドキュメントの初期画面イメージ

[ 新規スプレッドシート] をクリックしてみよう。

Nextcloud Office で 新規スプレッドシート作成画面
Nextcloud Office で 新規スプレッドシートの初期画面イメージ

[ 新規プレゼンテーション] をクリックしてみよう。

Nextcloud Office で 新規プレゼンテーション作成画面
Nextcloud Office で 新規プレゼンテーションの初期画面イメージ

どれも、日本語 UI。日本語フォント。
言語設定すら不要。
英語を怖れる国民性の日本人にも安心設計。

コラム:Nextcloud Officeで新規作成すると「.docx」になる理由

Nextcloud Officeで「新規ドキュメント」を選択すると、
デフォルトの拡張子が .odt ではなく .docx になっている。
LibreOfficeベースであることを知っている人ほど、ここで一瞬戸惑う。

だが、これはバグでも偶然でもない。
明確に意図された仕様だ。

Nextcloud Office(Collabora Online)は、内部エンジンとしては
LibreOfficeをそのまま利用している。
Writer / Calc / Impress / Draw といった構成も同一だ。

しかし、外部に出ていくファイル形式については、
現実的な判断が優先されている。

現在のビジネス現場・教育現場・行政文書において、
事実上の標準は依然として

  • 文書:.docx
  • 表計算:.xlsx
  • プレゼン:.pptx

である。

ODF(.odt / .ods / .odp)は理念的には優れた標準だが、
「相手が必ずLibreOfficeを使っている」前提でなければ、
共有時の摩擦が発生しやすい。

そこで Nextcloud Office は、

  • 編集は LibreOffice エンジンで行い
  • 保存形式は OOXML(Microsoft互換)を既定にする

という 実務優先の割り切りを選んでいる。

実際、新規作成時に
ファイル名を .odt に変更すれば、
ODF形式での作成も問題なく可能だ。

つまり、

  • ODFが捨てられたわけではない
  • ただし「推奨の初期値」ではない

という立ち位置になる。

この設計から見えてくるのは、
Nextcloud Officeが掲げている思想だ。

理念よりも、まず事故らないこと
互換性で揉めないこと
現場で使われ続けること

LibreOfficeの思想を内部に保ちつつ、
外向きには Microsoft Office 互換を選ぶ。

これは妥協ではなく、
現実を見据えた戦略的判断と言っていい。

「LibreOfficeなのに .docx なのか?」と驚いたなら、
それは健全な違和感だ。
そして、その違和感の正体を理解した時、
Nextcloud Officeというプロダクトの立ち位置が
はっきり見えてくる。

やってはいけないこと集(重要)

  • TrueNAS Apps に戻ろうとする
  • SSL を無理に通そうとする
  • coolwsd.xml を直接編集する
  • Reverse Proxy を挟みたくなる
  • 一度動いた構成を壊す

「動いている状態」を
神聖視する勇気が必要だ。


SSL とセキュリティについての正直な話

ローカル環境での SSL は、

  • Let’s Encrypt が使えない
  • オレオレ証明書は UX を悪化させる
  • セキュリティ的価値は限定的

HTTP/2 のメリットはあるが、
本構成では 安定性を優先する。

今回の構成は、グローバルなVPSで安易にデプロイしていいものではないことを肝に銘じて欲しい。


まとめ

Nextcloud Office は、再び「使える」状態に戻った

かつて動いていた人へ。
一度諦めた人へ。

Nextcloud Office は、
もう一度、選択肢として成立する

それは趣味ではない。
逃げでもない。

「自分のデータを、自分で持つ」
そのための、実用的な手段だ。

動作環境について

それでは、実際に動作確認を行った環境について説明する。

最初に断っておくが、本章は
堅牢性・冗長性・セキュリティを極限まで詰める話ではない。

あくまで、

  • 正しく構成すれば
  • 現実的なハードウェアで
  • Nextcloud Office は「普通に使える」

という事実を示すための説明である。


基盤となるのは TrueNAS SCALE

本記事では、仮想化基盤として TrueNAS SCALE を使用している。

TrueNAS SCALE は、ストレージOSとして設計されており、
GUIによる管理、ZFS、スナップショットなどが標準で揃っている。

また、

  • 日本語対応
  • VM とストレージ管理が一体
  • 失敗しても「戻れる」設計

という点で、
自宅サーバー用途として非常に現実的な選択肢だ。

ただし、誤解してほしくない。

TrueNAS は 必須条件ではない

本記事で伝えたい本質は、

Nextcloud と Collabora を
VM として分離して動かすこと

であり、
その VM を載せる基盤は Proxmox でも ESXi でも KVM でも構わない。

TrueNAS は、
あくまで「説明に適した舞台装置」に過ぎない。


サーバー側ハードウェア(検証環境)

今回使用したサーバーは、
7年前のリース落ち機(NEC iStorage NS100Th)である。

当時でも決して高性能とは言えない、
いわゆる 底辺クラスのサーバー だ。

構成は以下の通り。

  • CPU:Intel Pentium G4560
  • メモリ:DDR4 non-ECC 8GB ×2(計16GB)
  • ストレージ:HDD 1TB ×2(計2TB)
  • NIC:内蔵 1GbE
  • OSブート:SSD120GB(SATA接続)

耐障害性は皆無。
検証用として割り切った構成である。

それでも、後述する通り
Nextcloud Office は問題なく動作する。


ブートドライブとメモリについて

このサーバーは M.2 スロットも余剰 SATA ポートもなく、
やむを得ず 光学ドライブを殺してのSATA接続のSSDを採用している。

可能なら SSD をブートドライブにすることを勧める。

  • 容量は 120GB クラスで十分
  • 速度よりも安定性を重視
  • アプリは載らなくても問題ない

一方で、
メモリだけは絶対にケチるべきではない。

TrueNAS SCALE 自体が 8GB を最低ラインとして要求する。
それ以上は、余裕があるほど安定する。

サーバーのメモリ不足は、
体感速度を劇的に悪化させる最大の要因だ。


クライアント側ハードウェアの重要性

Nextcloud Office は、
サーバー上で描画処理を行わない。

実際に画面を描画しているのは
クライアント側の Web ブラウザ だ。

そのため、

  • サーバー性能よりも
  • クライアントPCの性能のほうが
  • 体感速度に直結する

という構造になっている。

今回使用したクライアントは以下の通り。

  • CPU:Intel Core i7-8700
  • メモリ:32GB
  • ストレージ:SSD 1TB
  • GPU:NVIDIA RTX3060

GPU は必須ではない。
だが、古すぎなければ十分に快適だ。


Collabora の実測リソース消費

実際に Collabora を稼働させた際の状態を見てみよう。

  • 同時オンラインユーザー:2
  • 開いている文書:1
  • メモリ消費量:約737MB

文書単体では、

  • 1ドキュメントあたり
    50MB 程度のメモリ消費

が確認できた。

現在は Collabora VM に 8GB を割り当てているため、
単純計算でも 10〜20 ドキュメント程度は十分捌ける。


現実的なメモリ配分の目安

体感と実測を踏まえた目安は、次の通りだ。

  • 8GB:個人利用・検証用途
  • 16GB:小規模(〜5人程度)
  • 32GB:余裕を持った安定運用

TrueNAS 側のメモリも含めると、
全体で 32GB 程度あると安心だ。


伝えたいことは一つだけ

ここまでの話を、ひと言でまとめる。

二束三文のジャンクPCでも、
正しい構成を取れば、
Nextcloud Office は十分「実用」になる。

起動してしまえば、
快適性を決めるのはサーバーではない。

使う側の PC だ。

この事実を知っているかどうかで、
構成判断は大きく変わる。

これからの選択肢としての Nextcloud Office

  • Windows 11 に対応できない PC がまだ使えるのに余っている
  • 業務は回っているが、OS更新の話になると止まる
  • Office のサブスクリプション費用が、じわじわ効いてきている

その結果として選ばれがちなのが、

とりあえず Windows 10 のまま使い続ける

という判断だ。

だが、これは「現状維持」ではない。
もっともリスクの高い選択だ。

セキュリティアップデートを失った OS を業務に使い続けることは、
トラブルが起きた瞬間に「説明不能な責任」を背負うことを意味する。


一方で、Linux への移行という言葉には、
今でも過剰な警戒心が付きまとう。

  • 難しそう
  • 特別な知識が必要そう
  • 業務が止まりそう

だが、ここで考えるべきは
「すべてを置き換える」ことではない

まず切り出すべきは、

  • ファイル共有
  • ドキュメント編集
  • 共同作業の基盤

といった、OS依存の少ない領域だ。

その受け皿として、
Nextcloud と Nextcloud Office は筋がいい。


本記事で見てきた通り、

  • 特別なハードウェアは不要
  • 7年落ちのジャンクサーバーでも動く
  • Windows 11 に弾かれた PC がそのまま使える
  • ブラウザさえあれば、Office ドキュメントは編集できる

これは理想論ではない。
実際に動いている構成だ。

Office の値上げで首が締まっているなら、
Nextcloud Office は十分に現実的な選択肢になる。


また、Nextcloud は
単なる個人プロジェクトではない。

EU 圏を中心に公共機関や自治体での採用実績を積み重ね、
半ば「公式クラウド基盤」としての地位を築いている。

今日明日で消えるサービスではない。
流行り廃りで終わるプロダクトでもない。


これは革命ではない。
Microsoft を捨てろという話でもない。

「依存し切らない」という選択肢を、手元に持つ

そのための現実的な手段が、
Nextcloud Office だ。


もし、あなたの手元に
Windows 11 に対応できず眠っている PC があるなら。

もし、
この先の OS 更新やライセンス費用に
不安を感じているなら。

まずは、試してほしい。

この構成で。
この規模感で。

動かしてみれば分かる。
これは“趣味の遊び”ではない。

Nextcloud Office は、
再び「使える」段階に戻ってきている。

そしてそれは、
小さな組織にとっての
静かな逃げ道でもある。