Nextcloudの「Memories」が圧倒的な快適さでGoogle Photos代替に。Pentium+HDDでもヌルヌル動くその実力を検証しました。
Memoriesは写真枚数20,000枚を超える環境でどこまで実用なのか──
第1章:はじめに — 生成AIが生む“画像資産”の洪水
生成AIブームが始まってからというもの、私たちはかつてないペースで画像を生み出すようになりました。
Stable Diffusion、Fooocus、Midjourney… クリックひとつで「とりあえず保存」されたファイルが、気がつけば数百、数千、数万。まさに“画像資産の洪水”です。
ところが、この膨大な資産を整理・活用する段階になると、多くの人がこう嘆きます。
- エクスプローラが遅すぎる(スクロールすると固まる、落ちる)
- FooocusのHTMLはプロンプト付きだが一覧性が悪い(ページ遷移地獄)
- 結局、良い画像を見つけるのに時間がかかる

つまり、「作る」フェーズは爆速でも、「探す」フェーズで足がもたつく。これでは宝の持ち腐れです。
そんな中、Nextcloud向けのギャラリーアプリ Memories が、この問題に強烈な解決策を提示します。
シンプルに言えば、大量画像を“スカスカ”動かしながら閲覧できる。しかもタグ付け、お気に入り、日付・場所による整理までワンストップ。
本稿では、特に生成AIユーザーにとってのMemoriesの真価を、実際の利用感とベンチマークを交えてお伝えします。
次章からは、Memoriesと従来のPhotosアプリとの実力差を、1フォルダ1,000枚級の実データで検証していきましょう。
第2章:性能比較 — Memories vs Photos
0. Memoriesとは?
Memories は、Nextcloudの拡張アプリとして公開されているフォトギャラリーです。
公式アプリストアでも高評価を集めており、特徴は次の通りです。
- 高速なサムネイル生成とスムーズなスクロール
- 日付や位置情報による自動整理
- お気に入りやタグ付け機能
- 大量ファイルを扱っても安定動作
特に、大量の画像を扱うユーザーからは「標準のPhotosより快適」との声が多く、
生成AIで膨大な画像を生み出す私たちにとっても非常に魅力的な選択肢です。
利用にあたっては、ただアプリからインストールするだけの簡単操作。
1. テスト条件
今回のテストは、あえて最低限の環境で実施しました。
- CPU: Pentium G4560
- ストレージ: HDD
- PHPメモリ上限: 512MB
- ネットワーク: 1GbE
- テストデータ: AI生成画像 1,162枚(PNG、約1,000×1,000px、1枚あたり1MB前後)
このスペックで快適に動くなら、最近のSynologyやQNAPなど一般的なNASでも十分期待できます。Nextcloudは、TrueNASホストで Charts からインストールしました。NextcloudのPodへのメモリ割り当ては8GBです。
もし、ご自身で立ち上げたいなら、Windows11アップグレードに焙れてしまった古いマシンで十分実用的に動作させることができます。
2. Photosアプリの挙動
Nextcloud標準のPhotosアプリでは、次のような現象が見られました。
- 下方向にスクロールすると画像は一応表示されるが、上に戻ると再表示されない(ピンボケ状態)
- サムネイルの再描画が追いつかない
- スクロールを数回ブンブン繰り返すとアプリが落ちる
結論:1フォルダあたり1,000枚規模のハンドリングは想定外と考えられます。
3. Memoriesの挙動
一方のMemoriesは、同じデータでも挙動がまったく違いました。
- スクロールを激しく上下してもサムネイル表示が途切れない
- サムネイル生成が安定しており、1,000枚超でも“スカスカ”動く
- お気に入り機能で良質な画像だけ即ピックアップ可能
テスト開始直後こそサムネイル生成で負荷がかかり、500エラーが一瞬出る場面もありましたが、生成完了後は快適そのもの。
エクスプローラでの閲覧や標準Photosの挙動とは雲泥の差を体感できました。
この差は、単なる体感ではなく効率の差に直結します。
AI生成画像の中から「次のプロジェクトで使える一枚」を探す作業は、Memoriesの方が圧倒的に有利です。
第3章:Memories に対するユーザー評価と信頼性
Memoriesは公式Nextcloudアプリストアで非常に高い評価を得ています。
実際のユーザーから寄せられた声を一部ご紹介します。
※公式ページより引用
「Probably the best Nextcloud app of the whole App Store. The dev managed to build something that is on par with Immich in terms of features, but also fully integrated into Nextcloud.」
「おそらくNextcloud App Storeで最高のアプリ。Immichと同等の機能を持ちながら、Nextcloudに完全統合されている。」
— devnoname120
「This is the single-greatest FOSS alternative to Google Photos! LOVE IT!」
「Googleフォトに代わる最高のオープンソース。大好きです!」
— Seth
「Memories is super fast, has a very responsive (and mobile compatible) timeline view with EXIF support that sorts photos correctly the first time.」
「動作が非常に速く、モバイル対応のタイムライン表示も快適。EXIFに基づく正しいソートが最初から効くのも素晴らしい。」
— MeIchthys
「Even in NC25 the photos app is ways too slow and sluggish when you have several thousand photos. Memories has great performance — and the timeline is exactly what’s needed.」
「数千枚の写真を扱うと、PhotosアプリはNC25でも遅すぎる。Memoriesはパフォーマンス抜群で、必要なタイムライン機能も備えている。」
— Marco Jakobs
こうしたコメントからも、Memoriesが単なる代替アプリではなく、
高速性・機能性・統合性で多くのユーザーを満足させていることが分かります。
第4章:Memoriesの実力を検証 — 大規模画像セットでのパフォーマンス
今回の検証環境は、あえてかなり非力な構成にしました。
テストマシンは Pentium G4560 + HDDストレージ + PHPメモリ512MB + 1GbE という、
現行のNASやサーバー環境と比べるとかなり厳しい条件です。
テストデータには、AI画像生成ツールで作成した約1,162枚のPNGファイル(1枚あたり約1MB、解像度約1000×1000px程度)を使用。
これは生成AI利用者がよく直面する「1フォルダあたり数千枚規模の画像管理」を想定しています。
実際の挙動
- Memories
- サムネイル生成完了後は、スクロールを高速で上下しても表示遅延なし。
- お気に入り機能により、将来使えそうな画像を素早くマーキング可能。
- 大量の画像もタイムラインでスムーズに一覧できるため、「ネタ探し」が容易。

- Photos(標準アプリ)
- 画像の一部が「ピンボケ状態」で表示され、スクロールを繰り返すと表示が崩れる。
- 5〜6回程度の高速スクロールでクラッシュ。
- 1フォルダあたり1,000枚規模のハンドリングはほぼ実用外。

体感の差
Photosアプリではフォルダを開くだけでも待たされ、操作中に固まることもしばしば。
一方、Memoriesは同じデータでも快適に動作し、ストレスなくブラウズできました。
「Photosでは耐えられない環境でもMemoriesなら使える」というのは、誇張ではありません。
この結果から、Memoriesはスペックの低いNASや旧世代PC上のNextcloudでも十分実用的であり、
特に大量画像管理を日常的に行うユーザーにとって強力な選択肢になります。
第5章:まとめと実用的な導入ポイント
Memoriesは、Nextcloudにおける写真・動画管理を大きく変える存在です。
とくに、大量ファイルを一度に扱う場面や、高速なスクロール・タイムライン表示が必要なユーザーにとって、その快適さは圧倒的です。
今回の検証環境は
- CPU:Pentium G4560
- ストレージ:HDD
- メモリ割り当て(PHP):512MB
- ネットワーク:1GbE
という、現行機では下限に近いスペックでしたが、Photosアプリでは負荷が高すぎて不安定になる場面でも、Memoriesは軽快に動作しました。なぜ、これはNextcloudのフォトアルバムの標準アプリに採用されていないのか謎なくらいです。
これは、SynologyやQNAPなどのNAS環境、あるいは低価格な自宅サーバー上でも十分に快適な運用が期待できることを意味します。Xserverなど、SSDストレージが使えるレンタルサーバなら、クラウド運用で、もっと快適なスピードでの動作が期待できます。
導入のヒント
- 公式アプリストアから簡単にインストール可能
Nextcloudの管理画面から「Memories」を検索し、有効化するだけで利用開始できます。

- 既存のフォルダ構成をそのまま利用できる
特定のメディアフォルダを指定することで、不要なファイルを読み込まずに効率的な管理が可能です。 - サムネイル生成は初回に時間がかかるが、その後は高速
大量のファイルを一気に読み込む場合は、夜間や余裕のある時間帯に初回スキャンを実行するのがおすすめです。
最後に
生成AIによる大量の画像や、スマホ・カメラで撮りためた膨大な写真も、Memoriesならサクサク管理できます。
Photosアプリでの遅延や不安定さに悩まされている方には、まず試してほしい拡張機能です。
そして、もしあなたがエクスプローラや標準ビューアでの一覧遅延にうんざりしているなら、その不満はMemoriesが解消してくれるかもしれません。
第6章:補足と注意点
Memoriesは高性能で評判の高いNextcloud拡張アプリですが、いくつかの補足と注意点を押さえておくことで、より安定した運用が可能になります。
1. 初回インデックス作成の負荷
Memoriesは、初回起動時に指定したフォルダ内のメディアファイルを走査し、サムネイルやメタデータ(EXIFなど)を生成します。
数千枚規模の写真を一度に読み込む場合、低スペック環境ではCPU負荷やディスクI/Oが一時的に高くなることがあります。
- 対策:夜間やアクセスの少ない時間帯に実行する/フォルダを小分けにして追加する。
2. EXIF情報の有無によるソート精度
MemoriesはEXIF情報に基づいてタイムライン表示を最適化しますが、生成AI画像など、EXIFが無い画像は撮影日順での並び替えが効きません。
- 対策:必要に応じてEXIFを付与するツールを活用するか、ファイル名に日付を含める運用を検討。
3. ブラウザ再生の動画フォーマット
Memoriesは動画もサポートしますが、ブラウザが再生できる形式(例:H.264/MP4)である必要があります。
H.265やAV1はブラウザによっては未対応、または変換が必要になる場合があります。
4. 他アプリとの連携
Memoriesは単体でも使えますが、RecognizeなどのAIタグ付け系アプリと組み合わせることで、顔認識や物体検出によるタグ検索が可能になります。
ただし、AI機能のセットアップは環境依存が大きく、TrueNASなどのコンテナ環境では追加調整が必要になる場合があります。
5. バックアップの重要性
写真・動画は失われると取り返しがつきません。MemoriesはあくまでNextcloud上でのビューアであり、ストレージ自体のバックアップ戦略は別途確保しておく必要があります。
6. DOM効率化が生む「ヌルヌル感」
Memoriesの「速さ」は単なるサーバー側のキャッシュやインデックス化だけではありません。
フロントエンドの作りにも工夫があります。
- 仮想スクロール(Virtual Scrolling)
DOM上には「見えているサムネイル+前後の少し分」だけを生成し、それ以外は破棄します。
これにより、数千枚の画像でもブラウザが重くならずスクロールが滑らかに動きます。 - 遅延読み込み(Lazy Loading)
スクロールで画像が表示領域に近づくまで実際の画像データをロードしません。
ネットワーク負荷を減らし、初期描画が爆速になります。 - DOMリサイクル
見えなくなったサムネイル要素は再利用するため、生成・破棄のコストを最小限に抑えています。
これはGoogleフォトやImmichと同じアプローチです。
要するに、Memoriesは単に「Nextcloudに写真ビューアを付けました」ではなく、数千〜数万枚の写真を前提としたUI設計をしているわけです。
Photosアプリが1000枚で息切れするのに比べ、Memoriesがブン回せるのはこの設計思想の違いが大きいです。

