専用チップ時代と新興勢力
GPUさえあればAIは回る、と信じられていた時代は終わりつつある。
Google TPU、AWS Inferentia、Meta MTIA、Microsoft Athena…主要クラウドは次々に自社専用チップを打ち出してきた。
こうした巨人の動きとは別に、独立勢として台頭するのが Groq だ。
彼らが強みとするのは、RAGを「待たせない」水準に押し上げる 超低遅延処理 である。
GroqのLPUとは何か
Groqの専用アーキテクチャは LPU(Language Processing Unit) と呼ばれる。
特徴は以下の通り。
- 決定論的パイプライン処理:GPUのようにスケジューリングやキャッシュに左右されにくく、応答の遅延ばらつきを抑える。
- カーネルレス・コンパイラ:ソフトウェアが直接ハードを制御し、余計なオーバーヘッドを排除。
- 高速トークン生成:数百〜千単位の tokens/sec を叩き出すベンチ結果が公開されている。
これらの仕組みが「即時応答RAG」の基盤になっている。
公開ベンチマークが示す速度
独立検証では、Llama 3.3 70Bを 276 tokens/sec で生成した結果が報告されている。
さらにGroqが公開した新エンドポイントでは 1,665 tokens/sec という大幅改善も確認された。
この「生成中の速さ」が、RAGにおける 後段の応答フェーズ を支える。
ユーザーは「考えている間の沈黙」をほぼ感じない。
事例:即応対話を前提にしたRAG
Groqの事例ページでは、
- Vectorize:低遅延RAGで探索や検証を即応対話化
- Perigon:ニュース知識基盤をリアルタイム応答に展開
といった具体ユースケースが紹介されている。
FAQ検索や社内マニュアル参照のように、応答の速さが価値になる領域で採用が進んでいる。
RAGで即時性を出す設計ポイント
Groqの低遅延を活かすには、RAG全体の設計も重要だ。
- TTFT最小化
入力長やプロンプト設計を工夫し、最初のトークンが出るまでの時間を削る。 - 生成速度最大化
LPUの高速トークン生成を活かし、ストリーミング表示で体感遅延を縮める。 - 取得系の律速除去
埋め込み生成やベクトル検索でボトルネックが出ないよう、キャッシュや非同期処理を組み込む。 - 一貫性の担保
決定論的な実行はピーク時の安定性に寄与し、体験を均質に保つ。
コストと電力効率
Groqは「高速」だけでなく「電力効率」にも優位をうたう。
条件次第では 同等処理で10倍の効率 を示すとされ、クラウド運用コスト削減にも寄与し得る。
まとめ ─ “待たせないRAG”の現実解
大手クラウドは専用チップを自社エコシステムに最適化している。
一方Groqは独立ベンダーとして、RAGの即時応答 という具体的価値で差別化を進めている。
- FAQや社内マニュアル検索
- カスタマーサポートの自動応答
- 営業現場での即時知識検索
こうしたユースケースで「もう待たせないRAG」は現実解になりつつある。


