Firefoxもついに「AI」を語り始めた。
Mozillaの新CEOは、今後3年間でFirefoxをAI対応させると宣言している。
だが、その発表をGoogleのAIブラウザ「Disco」と並べた瞬間、
この話は「未来への挑戦」ではなく、
立場の違いが露呈した瞬間に見えてしまう。
第1章:FirefoxのAIは「何に支えられているのか」
MozillaがAI対応を謳くとして、現実的な選択肢は多くない。
- Firefox有償化:現実的ではない
- 自前AIインフラ:不可能
- AIパートナー提携:ほぼ唯一の道
そしてそのパートナー候補は、皮肉にも
収益の大半を支えているGoogleしか存在しない。
AIを掲げながら、依存構造は一切変えられない。
ここに、Mozillaの苦しさがある。
第2章:Google「Disco」は“後発の完成形”
一方のGoogle Discoは、まったく別の存在だ。
- 検索
- Gmail
- Docs
- YouTube
- Maps
- Android
- 広告
AIブラウザは「入口」にすぎず、
背後にはすでに満艦飾のサービス基盤がある。
Discoは挑戦ではない。
統合の仕上げだ。
Firefoxが3年後に到達しようとする地点に、
Googleは「後発の有利」で一気に到達してしまった。
第3章:反トラストの“象徴”としてのFirefoxは、もう弱い
Firefoxのシェアは、もはや数%以下。
反トラスト法対策としての実効性も、正直微妙な水準だ。
GoogleがFirefoxを延命させてきた理由は明確だが、
Chrome Cloneを本気で望んでいるかと言えば、かなり疑わしい。
- 生かすが、強くはしない
- 競わせるが、勝たせない
その距離感は、今も変わっていない。
第4章:Mozillaが「怖くなった」瞬間
このAI宣言が象徴しているのは、技術選択ではない。
- AIに乗り遅れたと思われる恐怖
- ステークホルダーへの説明責任
- 「何をしている組織か」と問われる不安
新参のCEOが最初に見るのは、
ユーザーではなく、評価者の顔だ。
結果として、
Firefoxが最も嫌ってきたはずの
「AI!AI!」という言葉を、自ら口にしてしまった。
第5章:唯一あり得た“か細い道”
3年後、NPU搭載機が主流になれば、
エッジデバイスで完結する「小さなAI」という道は、理論上は存在する。
- ローカル完結
- 非主張的
- UIに出ない
- プライバシー前提
だがこれは、
- 派手ではない
- 評価されにくい
- CEOの任期に成果として残らない
選ばれにくい道でもある。
結語
Firefoxは裏切ったのではない。
怖くなったのだ。
GoogleのDiscoが「完成形」である以上、
FirefoxのAIはどうしても「理由づけ」に見えてしまう。
これは、AIの勝ち負けの話ではない。
組織が、自分たちの存在理由を見失った瞬間の記録だ。
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