DSPy(宣言型 AI フレームワーク)を巡る動き

TECH

プロンプトを超えた“構造化LLM設計”の始まり

スタンフォードNLPグループが開発するオープンソース・フレームワーク DSPy(Declarative Self-improving Python) が、AI開発における新しい設計思想を提示している。
DSPyは従来のプロンプトエンジニアリングに依存せず、「宣言型の構造設計」+「自動最適化」 でLLM(大規模言語モデル)を扱うアプローチを採用している。

この仕組みでは、開発者はプロンプト文を直接書くのではなく、入力と出力の関係を定義する「シグネチャ(Signature)」 を記述し、そこに推論・最適化モジュールを接続する。
たとえば dspy.Predictdspy.ChainOfThought などのモジュールを組み合わせ、AI処理を構造的に記述できる。
また、最適化器(Optimizer) が内部でプロンプトやfew-shot例を自動的に調整し、モデル精度を高めるよう設計されている。

GitHub上では、バージョン3.0.0でモジュール設計と運用性の強化が進み、MLflow連携、非同期処理、安全なスレッド実行などもサポート。
MITライセンスで公開されており、商用利用も視野に入る成熟度を持つ。

DSPyの狙いは明快だ。
AIアプリを「試行錯誤のプロンプト集」ではなく、「再利用可能なコード構造」として再定義すること。
この抽象化はLangChainやPromptFlowの延長線にあるが、“LLMを1つの関数として設計する” という発想はより根源的で、AIシステム開発の生産性と可観測性を同時に高める。

その意味でDSPyは、華やかな体験型プロジェクト(Vibe Kanbanなど)のような即時の話題性はないものの、AIエンジニアリングの根幹を静かに変えつつある技術基盤といえるだろう。

DSPy
The framework for programming???rather than prompting???language models.
GitHub - stanfordnlp/dspy: DSPy: The framework for programming—not prompting—language models
DSPy: The framework for programming—not prompting—language models - stanfordnlp/dspy