2025年10月、Windows 10のサポートがついに終了する。
古いPCをまだ動かしているユーザーにとって、これは避けがたい“終活”のタイミングだ。
そんな中、Googleが打ち出した「Chrome OS Flex」が救世主のように見える。
無料で、軽く、インストールも簡単──。
だが、結論から言えばそれは延命策にはなっても、代替にはならない。
Flexは「再利用OS」であって「代替OS」ではない
Chrome OS Flexの本質は、企業や教育機関で使われた古いPCを“ブラウザ端末”として再利用するためのもの。
つまり、「使えるようにする」ではなく「見られるようにする」ことに特化している。
アプリを入れる自由もなく、ファイル操作もGoogleドライブ経由。
オフライン作業? そんな贅沢はFlexにはない。
Googleアカウントでログインし、クラウドの上で完結する――それがFlexの世界観だ。
日本のPCでまともに動かない現実
Flexが想定しているのは、海外法人リース落ちPC(ThinkPad、Latitude、EliteBook)だ。
一方、日本の量販機──NEC、dynabook、FMVなど──は独自ドライバと固有設計の塊。
結果、Flexを入れるとこうなる:
- 音が出ない(ALCオーディオ未対応)
- Wi-Fiが死ぬ(Atheros/Broadcom系)
- スリープから帰らない
- Fnキー無反応、輝度調整不可
それでもGoogleの公式リストには「Supported」とある。
要するに、「起動する」=「動く」と言い張っているだけなのだ。
業務利用には致命的に向かない
FlexをOffice端末代わりにしようと思った瞬間、絶望が始まる。
- プリンタが動かない。
Googleクラウドプリントはすでに終了済み。
EpsonもCanonも、Flexでは沈黙する。 - Microsoft Officeは使えない。
Google Docsで代替? 日本語レイアウトは崩壊。
図形も段落もズレまくり。 - 周辺機器のドライバがない。
スキャナ、ICカードリーダー、バーコードリーダー──業務用機器は軒並み無反応。
Flexは「働くOS」ではなく、「起動してくれるだけのOS」だ。
Flexを選んでいい人/選んではいけない人
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| ブラウザだけ動けばいい人 | Office・印刷・ファイル操作を必要とする人 |
| 教育・実験用に使う人 | 日常業務・事務作業を担う人 |
| Chromebook文化に慣れている人 | Windows文化を引きずっている人 |
| 動作よりエコを重視する人 | 実用性を求める人 |
Linuxという現実的な延命ルート
同じ再生でも、Linuxには“再生して暮らせる”だけの生命力がある。
Linux Mint、Zorin OS、MX Linux、Xubuntu…。
これらは旧機種にも優しく、音も出てWi-Fiも生きる。
しかもLibreOfficeでWordやExcel互換も十分。
Flexが「生きている風のPC」を作るなら、Linuxは「生き直すPC」を作る。
結論
Chrome OS Flexは確かに環境に優しい。
だがその優しさは、ユーザーにとっての優しさではない。
プリンタもOfficeもない世界で、「まだ動く」という錯覚を提供してくれるだけだ。
Flexは“地球にやさしい棺桶OS”。
延命はできても、復活はできない。
真に息を吹き返す道を探すなら、Linuxの世界に目を向けよう。
そこには、まだ「使う楽しさ」が残っている。

