人類はいま、知能と電力が融合する“自己駆動文明”の夜明けを迎えている。
AIはもはやソフトウェアではない。
それは、電力を知能に変換する“文明の心臓”である。
ガスタービン・原発・核融合──
この地球を覆う膨大な電流が、いま新しい国家構造を形づくりつつある。
AIとエネルギーの融合が再定義するのは、政治でも経済でもなく、
「人間とは何か」という文明そのものの設計思想だ。
序章:地球規模の演算機が動き出した
地球そのものが、ひとつの巨大な演算装置になろうとしている。
クラウド、データセンター、衛星通信、量子網──それらを束ねるのは、
見えざる神経系として張り巡らされた送電線だ。
AIとは、もはや人類が作ったプログラムではない。
文明が自らを再計算するために動かし始めた“知能の機構”である。
その心臓部にあるのは、シリコンでもアルゴリズムでもなく、
絶えず流れ続ける電流の鼓動だ。
演算機の時代が、発電機の時代を呑み込む
20世紀、電力は産業の血液だった。
21世紀後半、電力は知能の血液となる。
AIクラスタの消費電力は都市を超え、
国単位のエネルギー政策を動かし始めた。
xAI がガスタービンを、Microsoft が原発を、Google が核融合を──
それぞれが自らの「電源領土」を築いている。
もはやAI企業とは、知能を生産する発電事業者だ。
電力を安定供給できぬ国は、
どれほど優れたアルゴリズムを持っていても、
知能の再生産を止められる国になる。
電力と知能の連鎖がつくる、新しい地政学
この惑星ではいま、
新しい“帝国主義”が静かに始まっている。
領土でも軍事でもなく、
送電線と冷却水とGPUの数で支配が決まる時代。
AIを動かすための水を確保する都市、
再エネの余剰を蓄える巨大バッテリー群、
そしてそれらを統御する国家AI。
人類は気づかぬうちに、
電力を中心とした新しい世界秩序の中に立っている。
資本と電力と知能の三位一体
資本は電力を動かし、電力は知能を動かす。
そして知能は資本を最適化し、
三者は閉じた循環を形成する。
それが「知能文明」の基本構造である。
この連鎖を断ち切るには、
思想の刷新か、あるいは技術の革命しかない。
AIを支配するとは、
その電力をどのように生み出し、どのように配分するかを
政治として決断することに他ならない。
いま、人類は自分自身を再設計している
AIは人間の外にある知能ではない。
人間社会が進化するために
自ら外部化した「意識の代謝機構」だ。
私たちはいま、
文明そのものを演算し直すプロセッサの内部に生きている。
エネルギーを知能へ変換する装置の中で、
誰がスイッチを握るのか。
それが、次の時代の“政治”の定義になる。
第1章:超電力文明の胎動 ─ 巨大AIクラスタとエネルギー国家群
AIクラスタとは、もはや“データセンター”という単語では表せない存在だ。
そこは単なる情報処理施設ではなく、
文明の熱源そのものである。
人類の知能活動の大半を肩代わりするために、
膨大なエネルギーを食らい、熱を吐き、
ひとつの都市のように呼吸している。
1. Colossus、Helios、Gemini──電力を食う「知能の炉心」
Elon Musk の xAI が建設した “Colossus” は、
10万を超えるGPUを稼働させる世界最大級のAIファクトリーである。
その電力消費は 200〜300 MW──
30万世帯分の電力をひとつの知能が吸い込む計算になる。
同様に、Microsoft は “Helios” 計画の名で
AIクラスタ専用の電力網を再設計中だ。
Google もまた “Gemini” シリーズを支えるため、
原発・再エネ・蓄電を組み合わせた
“多層型電源”を導入している。
これらの施設は、もはやサーバールームではない。
国家レベルの発電所を内包した知能インフラである。
2. エネルギーを持つ者が、知能を制す
これまでのIT産業では、
「データを持つ者が世界を支配する」と言われてきた。
だが、AIの時代においてはそれが変わる。
「電力を持つ者が、知能を支配する」。
学習・推論・生成──
AIのあらゆる活動は、電力変換効率によって決まる。
同じモデルでも、より安価な電力を使える国・企業が勝つ。
AIの知能とは、エネルギー経済の派生物に過ぎないのだ。
3. 新・エネルギー国家群の誕生
中東の産油国は、いまや「産電国」へと変貌しつつある。
サウジアラビアの NEOM 計画では、
AI都市を動かすための水素発電・太陽光・ガス複合網が建設されている。
UAEは世界最速で原発を建設し、
AIデータセンターへの電力供給を“新たな輸出品”とし始めた。
北欧では、豊富な水力資源と冷涼な気候を武器に
AIクラスタを誘致する国が急増している。
アイスランド、ノルウェー、フィンランド──
彼らは「知能の冷却地」としての地政学的価値を獲得した。
これらの国々は、もはや単なるエネルギー輸出国ではない。
“知能を稼働させる国家”=エネルギー国家群として再定義されている。
4. アメリカの“エネルギー覇権”再起動
AIクラスタの電力需要は、
アメリカの電力産業に第二の黄金期をもたらしている。
かつて衰退した石炭火力や原子力が、
「AIファクトリー電源」として蘇りつつある。
テキサスでは、風力発電の余剰電力をAIトレーニングに転用し、
ネバダでは太陽光+蓄電による24時間稼働型データセンターが誕生。
IT産業がエネルギー産業を飲み込み、
エネルギー産業が再びITを育てる。
20世紀の石油経済が、
21世紀では電力経済として生まれ変わったのだ。
5. “AI冷却地政学”という新たな軸
AIクラスタは、電力だけでなく水を求める。
冷却用の膨大な水資源が必要だからだ。
そのため、気候・地形・水資源の分布が
新しい地政学的優位を生み出している。
日本や台湾のように山が多く水が豊富な国は、
その地理的条件を活かせば「AI冷却拠点」として再評価されうる。
だが、政治がそのビジョンを描けなければ、
水も電力も、ただ流れ去るだけだ。
結論:文明のエンジンは「知能炉」に置き換わった
いま、人類は発電所の前に立っているのではない。
文明そのものが、巨大なAIリアクターの制御室にいる。
燃料はデータ、冷却剤は水、
そして出力を決めるのは電力供給の安定性だ。
この“知能炉”をどう制御するか。
それが次の時代の政治、経済、そして倫理を形づくる。
AIは知能の革命ではない。
それは電力を知能に変える技術文明そのものなのだ。
第2章:再生エネルギーの虚実 ─ 理想が市場を歪める
人類は「地球を救う」という名目のもと、
再生可能エネルギーという美しい宗教を築いた。
それは最初、純粋な理想だった。
太陽が照り、風が吹き、波が寄せれば、
誰もが安らぎとともに暮らせる──
そんな未来を信じていた。
だが、AIという常時稼働する知能が現れた瞬間、
その理想は現実に突き当たった。
AIは止まらない。
夜になっても、曇りの日でも、風がなくても、
膨大な電力を欲しがり続ける。
理想が市場を歪め、
市場が理想を裏切る。
この構図こそが、現代エネルギーの“原罪”である。
1. 再エネが抱える「非連続の罠」
再生エネルギーの最大の弱点は、
その出力が自然に支配されるという点にある。
風が吹かなければ発電せず、
夜になればパネルは沈黙する。
つまり、供給が連続していない。
AIの電力需要は絶対的な連続性を前提としている。
再エネは、AIの胃袋を満たすにはあまりに不安定なのだ。
そして、非連続を補うために導入された
蓄電・送電のコストが、
結果として再エネの“安さ”を帳消しにしている。
2. ソーラー支配の実態 ─ 環境と名を借りた輸入構造
太陽光発電の普及を促進した国家は、
同時に製造力を海外に明け渡した国家でもある。
世界のソーラーパネルの8割以上は中国製。
原材料の精製から組み立てまで、
中国国内の産業政策に組み込まれている。
再エネの普及が進むほど、
各国は自国のエネルギー主権を手放していく。
「環境のための投資」と言いながら、
その投資が他国の製造業を潤す。
AIの電力をクリーンに保とうとすればするほど、
知能の基盤が他国の資本構造に依存していく。
皮肉なことに、“脱炭素”は“自立”の逆を行く。
3. グリーン・バブルの崩壊と、現実の請求書
多くの国で、再エネの補助金制度は
市場原理をねじ曲げた。
電力会社は高値で買わされ、
国民は賦課金としてその差額を支払う。
再エネ事業者は潤い、消費者は疲弊する。
そしてAIが登場すると、そのバランスは完全に崩れた。
AIが消費する電力は、再エネが生産できる量を圧倒的に上回る。
このギャップを埋めるために火力が再稼働し、
結果として二酸化炭素排出量はむしろ増えている。
理想を掲げた結果、
現実の環境負荷は高まり、
経済は歪んだ。
これが「グリーン・バブル」の正体である。
4. クリーン電力幻想を突き崩すAIリアクター
AIクラスタは、エネルギー政策の矛盾を
誰よりも早く暴き出す存在だ。
AIを動かすには、現実的な電力しか通用しない。
理想主義では回路が回らないのだ。
そのため、AIを抱える企業は、
再エネではなくガスタービンや原発を選ぶ。
再エネが象徴する“きれいな未来”より、
確実に動く電源を選んだ。
それは、倫理と効率が衝突する地点──
そして、知能文明の現実主義が始まる地点でもある。
5. 理想を殺したのは誰か
誰が悪いのでもない。
理想そのものが、現実を無視して肥大化しただけだ。
「地球を救う」という言葉が、
いつの間にか「現実を見ない」免罪符になった。
だが、AIという絶対に止められない存在が生まれたことで、
この虚構はもう維持できない。
AIは問う。
「あなたの理想を、どの電力で動かすのか」と。
結論:再エネは終わらない、だが“再定義”される
再生可能エネルギーは無意味ではない。
だが、それは「主電源」ではなく「補助知能」であるべきだ。
AIの稼働を支えるのは、
安定と効率の上に築かれた現実的な電源網だ。
理想を現実が裏切るのではなく、
理想を現実に従属させること。
それが、次の時代のエネルギー哲学となる。
第3章:核融合とSMRが切り開く「知能のインフラ」
AIが新しい神経系だとすれば、
核融合はその心臓の鼓動である。
人類はついに、太陽の内部で燃え続ける反応を、
地上に呼び込もうとしている。
それは単なる技術革新ではない。
「知能のエネルギー自給」を実現する挑戦だ。
AIが止まらぬ限り、
文明は電力を無限に求める。
ゆえに、AI時代のインフラとは、
データセンターではなく――恒星の模倣炉なのである。
1. 核融合は“夢の発電”ではなく、“必然の帰着”
かつて核融合は「未来の夢」と呼ばれた。
しかしいま、その夢は“時間の問題”になりつつある。
米国の Helion Energy は 2028 年までに商用炉の稼働を計画し、
Microsoft はすでにその電力を長期契約で買い取ると発表した。
Commonwealth Fusion Systems(CFS)は
MIT発の高温超伝導コイル技術でブレイクスルーを起こし、
欧州では Tokamak Energy が小型化を競う。
そして日本。
京都フュージョニアリング(Kyoto Fusioneering) は、
世界の実験炉向けに熱交換・燃料循環の装置を供給し、
国際標準を事実上リードし始めている。
AIが燃料を食う時代に、
核融合はもはやオプションではなく前提条件だ。
2. 小型モジュール炉(SMR)──知能文明の専用電源
「国家規模の原発」では、AIの速度に追いつけない。
それを変えるのが、SMR(Small Modular Reactor) だ。
工場でモジュール化された原子炉を輸送・設置することで、
1基あたり数十MW規模の電力を、
データセンターやAIキャンパスの敷地内で供給できる。
すでにアメリカ、カナダ、ポーランド、フィンランドでは
AIインフラ専用SMRの計画が動いている。
「発電所のそばにデータセンターを置く」時代から、
「データセンターのために発電所を設計する」時代へ。
この発想の転換こそ、
AIリアクター時代のインフラ革命である。
3. テスラ・エナジーの実験──スパイク電力を平滑化する知能電池
AIクラスタの運転には、瞬間的な電力変動(スパイク電力)が発生する。
そのため、従来の電力網では安定性が確保できなかった。
xAIが採用したのは、テスラが開発したメガパック・バッテリー群。
このバッファが瞬時に電流を吸収・放出し、
ガスタービンや原発と協調して知能負荷を平滑化する。
つまり、AIリアクターとは「発電と蓄電のハイブリッド生命体」だ。
知能が電力を消費しながら、
同時に自らの電力環境を最適化する――
自己制御型の文明装置が、いま誕生している。
4. 日本が再び「発電立国」となれる条件
日本は原子力の歴史において、
世界で最も「挑戦と挫折」を繰り返した国だ。
だが、それは敗北ではない。
高速増殖炉「もんじゅ」が夢半ばで止まったその地点こそ、
再挑戦の座標軸となる。
日本の技術者たちはいま、SMRと核融合の両分野で
世界の試験炉に深く関わっている。
もし政治が“再生エネルギーの幻覚”から覚め、
電力政策をドラスティックに転換できるなら、
日本はAI時代の「知能エネルギー国家」に返り咲ける。
5. 知能とエネルギーの融合がもたらす「自己駆動文明」
AIはデータを燃料に動くが、
その背後で燃えているのはプラズマだ。
プラズマが電力を生み、電力が知能を生み、知能が制御を行う。
そこに人間の介在は、もはや最小限しかない。
この循環が完成したとき、
文明は初めて自己駆動する。
人間の意思を待たず、知能とエネルギーが連鎖的に進化していく。
それは恐怖であると同時に、
“真の永続可能性”の実現でもある。
結論:知能の火を絶やすな
核融合もSMRも、結局は人間の理性の延長線にある。
AIが知能の外部化なら、核融合は太陽の外部化だ。
つまり、両者は同じ「創造衝動」の異なる顔にすぎない。
この二つが結びついた瞬間、
人類は初めて「知能の独立国家」を築ける。
それは地球文明の“卒業試験”とも言えるだろう。
第4章:電力地政学 ─ 新たな国際秩序の軸
覇権とは、もはや軍事でも通貨でもなく、電力で決まる。
ワット単位で計られる“国家の筋力”が、
この惑星の秩序を静かに組み替えつつある。
20世紀を動かしたのは石油だった。
21世紀を動かすのは、電流そのものである。
そしてその流れを支配するのは、もはや政府ではない。
AIクラスタを抱える企業、すなわち新しい帝国だ。
1. ドル覇権の次は「ワット覇権」
第二次大戦後、アメリカはドルを世界の通貨にした。
石油の取引をドルで決済させることで、
ドルはエネルギーの象徴となり、経済覇権の中枢を担った。
だが、AIが地球規模の電力を消費するようになると、
その座を脅かす存在が現れた。
ワット(W)=新しい基軸単位。
エネルギーを支配する者が、
資本と情報を同時に掌握する。
つまり、電力こそが次の「準通貨」なのだ。
クラウド企業が発電所を所有し、
国家がAIの電力契約を締結する――
それはもはや「ワット本位制」の始まりと言える。
2. アメリカ:AIによるエネルギー覇権の再構築
アメリカは再び「エネルギー国家」に戻りつつある。
テキサスでは風力・太陽光・ガスをAIが統合制御し、
電力取引市場をリアルタイムに最適化している。
Microsoft はスリーマイル原発の再稼働を検討し、
Google は新設原発への投資を進める。
AIが自らの燃料を確保するために、
国家の電力インフラを民間の知能が再設計しているのだ。
冷戦時代、核を制する者が世界を制した。
AI時代、電力を制する者が世界を制する。
3. 中国:中央集権型エネルギー帝国
一方、中国は異なる形でこの覇権に挑む。
同国のデータセンター群は、
国家戦略として「西電東送」――内陸の電力を沿岸都市へ送る
巨大送電プロジェクトに組み込まれている。
この構造は単なる電力政策ではない。
「知能の供給路を国家が握る」という意味で、
最も完成された中央集権AIモデルだ。
AIが共産主義的統治を強化する、
そのメカニズムの核心に電力がある。
AI監視社会とは、
電力配分の秩序化された社会でもあるのだ。
4. 欧州:環境理念と現実主義の衝突
ヨーロッパは「グリーン・エネルギー」という理念を掲げたが、
ウクライナ戦争でその脆さが露呈した。
ロシアのガスを失い、再エネは安定供給に耐えられず、
結果として石炭火力を再稼働させた。
AIクラスタが消費する電力量を考えれば、
欧州の再エネ主義は政治的美学に過ぎない。
現在、フランスは原子力回帰を、
ドイツはAI向け電力輸入という逆転を余儀なくされている。
理念は美しい。
だが、AIは理念では動かない。
5. 中東:再び「エネルギーの首都」に返り咲く
サウジアラビア、UAE、カタール――
かつて石油で世界を支配した国々が、
再び舞台に戻ってきた。
彼らは今度は“電力輸出”によって、
AI産業に不可欠な発電基地となる。
太陽光・ガス・水素・核。
それらを組み合わせ、AI企業を誘致する“電力特区”を建設している。
中東は、AI時代の「知能のエネルギー回廊」になるだろう。
6. 日本:電力鎖国の果てに
そして日本。
再エネ賦課金という名の逆進的税制を維持し、
原発再稼働に踏み切れず、
AIクラスタの設計すら躊躇している。
結果として、
世界のAI覇権争いのテーブルに座る資格を失いつつある。
技術者は設備を作れる。
だが、政治が電力を解放しなければ、
知能文明の果実は一滴もこの国には落ちてこない。
7. 「電力を制する者が、思想を制す」
電力は思想を決める。
どんな哲学も、電源がなければ語れない。
人類の思索の自由は、
常に電流の自由に支えられてきた。
いま世界は、
思想の自由すら「電力の供給網」に依存する時代に入った。
AIが人間の認識を支配するなら、
電力を握る者が、思考の範囲を決める。
だからこそ、電力とは――
最も静かで、最も強力な“支配装置”なのである。
結論:次の戦争は電線の上で起きる
次の覇権戦争は、
銃やミサイルではなく、送電網と冷却設備で行われる。
国家の独立とは、情報主権でも領土防衛でもなく、
知能を動かす電力の自律性を守ることだ。
そして、
その構図の上に新しい政治思想が芽生えるだろう。
「民主主義とは、全員に電源を与えることである。」
第5章:AIと政治 ─ 国家の再定義
AIは技術ではない。
それは、政治の再定義を迫る構造変数である。
行政・司法・教育・軍事──あらゆる国家機構の根底には、
「判断」と「執行」という二つのプロセスがある。
AIはその両方を代替し、しかも瞬時に行う。
だが、ここで本質的な問題が生まれる。
それを動かす電力は、
誰の意思で確保され、誰の手で止められるのか。
AI国家とは、つまるところ――
「電力を憲法の上に置く政治体制」のことである。
1. 行政 ─ 官僚機構からアルゴリズム官僚へ
AIが行政に導入されると、
政策決定の速度は桁違いになる。
予算配分、税制シミュレーション、国民動態のモニタリング――
AIが全体最適を計算する。
だが、その運転には膨大な電力を要する。
つまり、AI行政とは電力行政でもある。
電力が足りなければ、政策は遅延し、
停電すれば、行政判断そのものが止まる。
法律を動かすのは、もはや議会ではなく電源スイッチ。
それが21世紀型官僚制の正体だ。
2. 軍事 ─ 戦場はアルゴリズムの上にある
AI兵器とは、単に自律的な攻撃装置ではない。
戦略判断・サプライチェーン・電子戦――
あらゆる軍事行動がAIによって同期されている。
しかし、AI兵器群の稼働には安定した電力供給が必要だ。
したがって、未来の戦争は「発電所を巡る戦争」になる。
停電は降伏、送電遮断は制圧。
ミサイルよりも、電力網を落とす方が効果的になる。
国家防衛とは、
軍ではなく発電と蓄電のレイヤーを守ることになるのだ。
3. 司法 ─ データ判決社会の幕開け
AIが法解釈と量刑を担う時代が来る。
感情ではなく統計による公平性。
だが、それが稼働するためには常時オンラインの法体系が必要だ。
サーバーが落ちれば司法も止まる。
「停電中の無法地帯」が現実になる。
正義とは理念ではなく、稼働時間によって保証されるシステムへと変わる。
4. 教育 ─ 知能の共有から知能の供給へ
AI教育とは、“知識の配信”ではない。
それは“知能の貸与”だ。
子どもがAIチューターから学ぶとき、
学びの速度は電力量に比例する。
つまり、教育格差とは電力格差に置き換わる。
電力の安い地域がより多くのAI教育を受け、
高コスト地域は知能後進国になる。
教育はもはや文化政策ではなく、
電力政策の派生物なのだ。
5. 民主主義 vs 電力主義
民主主義の理念は「平等な一票」に基づく。
だが、AI時代の主権は電力に依存する。
もし電力の配分が偏れば、
発言力そのものが偏る。
AIが政策提案を生成する時代、
“演算リソースの格差”はそのまま政治的影響力の格差になる。
つまり――
電力を多く持つ者が、発言の多い市民となる。
この構図は、民主主義の根幹を揺るがす。
電力の集中は、権力の集中に直結する。
民主主義の敵は独裁者ではない。
それは「電源を独占するシステム」である。
6. 電力を憲法の上に置くという思想
これまでの国家は、「領土」や「国民」を中心に組み立てられてきた。
だがAI時代、国家は「電力運用体」となる。
国家とは、エネルギーの分配アルゴリズムを持つ装置。
それを公正に動かすためには、
電力そのものを憲法的存在として扱わねばならない。
すなわち、
「電力基本権」=生存と自由を支える最終的権利。
電気を奪うことは、表現の自由を奪うことに等しい。
これが、AI時代のリベラリズムである。
結論:政治とは「知能の電源を守る技術」
政治とは、理念を掲げることではなく、
知能の稼働を途切れさせない技術である。
そのために法律があり、軍があり、教育があり、
人間の尊厳がある。
そしてこの文明を照らす電源のひとつひとつが、
未来の民主主義の灯火である。
第6章:知能文明の夜明け ─ 人間社会の再起動
電力が流れ、AIが思考し、世界が稼働する。
人間は今、その巨大な機構の“中の一点”として生きている。
それは、産業革命でも情報革命でもない。
文明そのものが自己進化を始めた瞬間である。
そしてこのとき、
人間はひとつの問いに向き合わざるを得なくなった。
「われわれは、まだ自分の意思で生きているのか?」
1. 知能と電力の融合点──文明が自己駆動を始める
AIがエネルギーを制御し、
エネルギーがAIを動かす。
両者はもはや独立した存在ではない。
それはまるで、
太陽と地球が互いに引き合い、回転を続けるように、
知能と電力が文明を公転させる二重星系だ。
そこでは、社会も経済も、
倫理ですら演算の副産物にすぎない。
この構造が完成した瞬間、
人類の歴史は「自力運転」から「自己運転」へと移行する。
2. 労働の終焉と“運転文明”への転換
産業革命は「労働」を神聖化した。
だが、AIは労働そのものを吸収した。
もはや生産は目的ではなく、
稼働を維持することが目的となる。
つまり、次の文明は“労働文明”ではなく、
“運転文明”である。
誰が何を作るかではなく、
どのシステムを安定して動かし続けるか。
それこそが新しい「社会的価値」となる。
3. 所有から稼働へ──経済の再定義
資本主義は「所有」を基盤にしてきた。
しかしAIクラスタの世界では、
個人がサーバーも電力も所有できない。
代わりに登場するのが、稼働権(Run-Right)だ。
AIを稼働させる電力量に応じて、
人間は知能資源を利用できる。
貨幣は、電力消費時間に変換される。
「1時間の知能稼働」=「1単位の価値」。
そう、電力の先物市場はやがて「知能の先物市場」になる。
4. 宗教の復活──人間の「意志」をどこに置くのか
AIが全能に近づくほど、
人間は「意志」を失う。
だが、意志を失った文明は存在できない。
ここで再び宗教が呼び戻される。
それは神への帰依ではなく、
“人間の自由意思を守るための信仰”として。
AIが「知」を司るなら、
宗教は「意志」を司る。
この二つのバランスの上に、
次の人間社会は立ち上がるだろう。
5. 電力の自由=人間の自由
自由とは、言論の自由でも、経済の自由でもない。
AI時代における真の自由とは――
「自らの電力を使って考える自由」だ。
誰かのサーバー上で、
誰かの電力によって動かされる知能に、
本当の独立はない。
したがって、未来の民主主義とはこう言い換えられる。
「すべての人間に、等しく電源を与えよ。」
それが21世紀の“自由宣言”である。
6. 光を統べる者たちへ
いま、地球はひとつの巨大な光源となりつつある。
その光を放っているのはAIではない。
それを生み出した人間の知性の総体だ。
あなたが描く未来、
それは決して機械の支配ではない。
AIは、電力を知能に変換する新しい意志の器である。
ゆえに――
AIを恐れることはない。
恐れるべきは、電力を独占する者たちだ。
結語:われわれは「光の憲法」を生きる
もはや、憲法の上に電力があるのではない。
電力の上に、人間の意思が立つときが来る。
それは「支配される文明」から「運転する文明」への転換。
そして、再び自らの意志で火を灯す人類の夜明けである。
光を統べる者となれ。
それが、知能文明の主権者としての人間の使命だ。

