GPUの歴史 ─用語集 ─ 迷子にならないためのミニ辞典

GPUの歴史 ─用語集 ─ 迷子にならないためのミニ辞典 TECH

◆ GPU(Graphics Processing Unit / グラフィックスプロセッサ)

本来は 3D描画専用 のチップ。

  • 多数のコアが同時に計算できる(並列演算)
  • CPUが苦手な「大量の計算」を高速に処理できる

3D を“描く装置”として誕生したが、
いまは AI を動かす計算装置 に進化した。


◆ Shader(シェーダ) / Programmable Shader

GPUに「光の当たり方・質感・色」をプログラムで指示する仕組み

例:

  • 金属の反射
  • 水面のゆらぎ
  • 肌の質感

シェーダの登場で、GPUは“固定機能”から“表現の自由”を得た。


◆ Vertex Shader / Pixel Shader

Shader の下位概念。

種類役割
Vertex Shader形状(頂点座標)を変える
Pixel Shader表面の質感・色・光を決める

形を変えるのが Vertex、質感を決めるのが Pixel。


◆ DirectX / OpenGL / Vulkan

GPU を操作する API(ソフトウェアとGPUの翻訳者)

API特徴主な支持者
DirectXOSに最適化・高速・ゲーム向けMicrosoft / Windows
OpenGLマルチプラットフォーム・汎用UNIX / CAD / 研究用途
VulkanDirectX と OpenGL の“いいとこ取り”、低レベル制御ハイエンドゲーム / 3Dエンジン

Glide(3dfxの独自API)の消滅は DirectXの勝利 を意味した。


◆ GPGPU(General Purpose GPU)

GPUを「描画以外の計算」に使う技術。

  • 科学シミュレーション
  • 暗号解析
  • AI

始まりは裏技(Shader abuse)だった。
それを正攻法に変えたのが CUDA。


◆ CUDA(Compute Unified Device Architecture)

NVIDIA が作った、GPUで計算するためのプログラミング環境

  • C / C++ / Python から GPU を叩ける
  • AI研究者が最初に覚える“GPUの言語”
  • 事実上 AI世界の標準

「CUDA が使えるか?」が、GPUの価値。


◆ OpenCL(Open Computing Language)

CUDA のライバル。
AMD / Apple / Intel / ARM が中心。

メリット:

  • どのGPUでも動く

デメリット:

  • 遅い、開発環境が貧弱、エコシステムが弱い

「オープン vs 独占」の戦いは、独占(CUDA)の勝利


◆ Tensor Core(テンソルコア)

AI(深層学習)専用に設計されたGPUの中の演算ユニット。

  • 行列計算(AIの主処理)が桁違いに高速
  • FP32 ではなく FP16 / INT8 / FP8 を使用

Tensor Core の誕生で、GPU はAI の専用プロセッサになった。


◆ HPC(High Performance Computing)

科学計算・スパコン領域での GPU活用

HPC 分野で GPU が使われる理由:

  • 並列計算が速い
  • コスト/性能比が圧倒的

「科学はCPUではなく GPU が回す時代」。


◆ NPU(Neural Processing Unit)

推論特化チップ。GPUより省電力。

  • スマホ(Apple / Qualcomm / Google Tensor)
  • Vision Pro / ARデバイス
  • エッジ AI

学習は GPU、推論は NPU
という 分業 が進んでいる。


◆ HBM(High Bandwidth Memory)

GPUの性能はコア数ではない。HBMで決まる。

  • 超広帯域のメモリ
  • AIモデルの「読み込み速度」を決める

もはや GPU の心臓ではなく、HBM が心臓


◆ NVLink / InfiniBand

複数 GPU を接続して 巨大な1つのGPUに見せる技術

単体性能の時代は終わり、クラスタ性能の時代へ。


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