Firefox 144公開 ─ GoogleレンズとPerplexity AI Searchが並び立つ、自由主義ブラウザの挑戦

TECH

Mozillaは最新版のFirefox 144をリリースした。今回のアップデートでは、画像検索にGoogle Lensを統合し、検索バーからPerplexity AI Searchが利用可能になるという、従来のブラウザ常識を超える方向性が打ち出された。ChromeでもEdgeでもない、Mozillaらしい“選択の自由”がにじむ構成だ。

主要な新機能と変更点は次の通り。

Perplexity AI Searchの統合

アドレスバー(統合検索メニュー)から、対話型AI検索「Perplexity」を直接呼び出せるようになった。自然文の質問に対し、検索結果と要約を提示する形式で、Google・Bingに並ぶ「第三の知能検索」としての地位を狙う。現時点では段階的提供(progressive rollout)とされ、数週間をかけて全ユーザーに展開予定。

Google Lensの統合

画像上で右クリックすると「Search Image with Google Lens」が表示される。被写体検索、テキスト抽出、翻訳、類似商品検索などをブラウザから直接利用可能。既定の検索エンジンがGoogleである必要があるが、操作性はスムーズだ。拡張ではなく本体統合という点が注目される。

プロファイル管理とUI改善

利用目的ごとに独立したプロファイルを作成できるようになり、タブや履歴を分離して扱える。加えて、Picture-in-Pictureの挙動が改善され、Shift + クリック操作でポップアウト再生を制御可能に。パスワード保存データの暗号方式もAES-256-CBCに強化され、セキュリティ面の底上げが行われた。

開発者向け変更点

View Transitions APIやElement.moveBefore()の実装を含む、Web開発者向けAPI対応の拡充も進行。CSSやDOM操作を伴うアニメーション・UI制御の自由度が増している。

考察:Firefoxが示した「選択の自由」

Google LensとPerplexityという、相反する陣営の技術を共存させる姿勢は、Mozillaが長年掲げる“自由で中立なWeb”の哲学に合致する。一方で、AI検索や外部連携によるプライバシー懸念も残る。とはいえ、Mozillaはあくまで「選択肢を与える側」であり、使う・使わないの決定権をユーザーに委ねる立場を崩していない。

EdgeがCopilotを抱き込み、ChromeがGeminiへ接近する中、Firefoxは再び「もう一つの道」を歩み出した。
その実験的なバランス感覚こそ、オープンWebの最後の砦かもしれない。


参照リンク
Firefox 144.0 Release Notes(firefox.com)
Firefox 144.0 is out! Perplexity AI Search & AES-256-CBC Encryption

Firefox 144.0, See All New Features, Updates and Fixes