Oracle、AI Database「26ai」発表 ─ MCPサーバ連携とAIエージェント機能で“データが思考する時代”へ

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米Oracleは10月14日、ラスベガスで開催中のAI Worldにて、主力製品の最新バージョン Oracle AI Database 26ai を正式発表した。従来の23aiを置き換える長期サポート版で、AIをデータ管理の中核へ組み込む構造的刷新が行われている。

AIとデータを一体化する「AI for Data」戦略

26aiでは、従来のAI Vector Searchを超え、AIがデータベース内部で動的に推論・判断する“エージェント型AI”を構築可能にした。
特に注目すべきは以下の3要素だ。

  • MCP(Model Context Protocol)サーバ対応
     LLM(大規模言語モデル)をデータベースと安全に接続し、反復的推論を伴うクエリを処理できる。これによりAIエージェントが複数の解探索パスを辿り、必要に応じて追加データを再取得する「自己改善型照会」が可能になった。
  • Select AI Agent/AI Private Agent Factory
     DB内部で動作するエージェントをノーコードで生成・管理できるフレームワーク。RESTツールや外部MCPサーバとも統合でき、“アプリ層を介さない自律処理”を実現する。
  • Unified Hybrid Vector Search
     ベクトル・リレーショナル・JSON・グラフ・空間データを統合検索し、AIが画像・文書・構造化データを横断的に参照可能に。

エンタープライズ強化:SQL Firewallと量子耐性暗号

企業利用を意識した強化点も多い。
特に目を引くのが「SQL Firewall」だ。SQL文を文脈・許可リストで検証し、動的SQLやシノニム経由の不正実行を遮断する仕組みで、Oracleはこれをカーネル統合型の“バイパス不能ファイアウォール”と位置づける。
「今頃導入?」と感じる向きもあるが、AIエージェントが自動生成するSQLを安全に監査するには、このレイヤー防御が不可欠だろう。

さらに、NIST承認の量子耐性暗号(ML-KEM)を通信経路に導入。データ静止時と合わせて二重の量子防衛層を形成し、「未来の量子攻撃への備え」を前倒しで実装した。


物理層からのAI最適化 ― Exadata × NVIDIA連携

ハードウェア層でもAI向け最適化が進む。
Exadata環境ではベクトル検索をインテリジェントストレージへオフロードすることでスループットを向上。さらにNVIDIAのNeMo RetrieverおよびcuVS(GPU-Accelerated Vector Search)と連携し、RAG(検索拡張生成)パイプラインをGPU上で実行できる構成も公開された。


まとめ:DBがAIの「思考空間」へ進化

Oracle 26aiは、単なるAI対応DBではなく、AIがデータ内部で自律思考する基盤へ踏み出した。
AIエージェントとデータベースの境界を曖昧にし、「アプリケーションよりも下、SQLよりも上」で知能が動く構造を実現した点が最大の革新である。

とはいえ、SQL FirewallやMCP連携の運用コスト、パフォーマンスへの影響は未知数。
「データが考える時代」の安全性と実効性は、これからの実運用で問われることになるだろう。


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