Windows11 対応 8世代 core i5 搭載のジャンク ThinkPad X390 再評価とSSD換装

HowTo

私にとってThinkPadは、ただの道具ではなく“仕事仲間”のような存在でした。
最初に手にしたのは ThinkPad 230Cs。当時のモバイルノートとしては重さも分厚さもそれなりでしたが、赤ポチ(トラックポイント)と堅牢な作りは、すぐに「他とは違う」ことを感じさせてくれました。

その後は ThinkPad 560 / 560x。薄さを極めた“石のような剛性感”の筐体は、今でも鮮明に記憶に残っています。
さらに ThinkPad 240 で本格的なモバイルPCの世界に踏み出し、
X200 → X230 と続く「王道モバイルThinkPad」の完成形に行き着きました。

──そして現在、手元にあるのは ThinkPad X390
X200系譜に連なりながら、なぜか「300番台」を与えられた不遇のモデル。
わずか1世代で消滅し、X13へとバトンを渡した存在です。

型番的には目立たないマイナー機ですが、使ってみるとこれが意外とよくできている。
FHD液晶が前提となり、軽量・堅牢で、なおかつ 第8世代Core搭載でWindows 11に正式対応
リース落ちの中古市場では、今も玉数が豊富で価格も1万円台から手が届きます。

本稿では、そんな 「不遇だけど隠れた名機」ThinkPad X390 を改めて評価し、
実際にSSD換装でどこまで快適に蘇るのかを確かめていきます。

なぜX390を選んだのか

Windows 11 の登場で、私の手元にあるThinkPadたちは軒並み「非対応」の烙印を押されてしまいました。
愛用してきたX230も、性能的にはまだまだ現役で通用するのに、OSの世代交代という壁は越えられない。日常用途に支障はないとはいえ、記事執筆や実機検証をする上で「Win11が動くThinkPad」でないのは、さすがに不便でした。

そんな折にヤフオクを覗いてみると、リース落ちの ThinkPad X390 が大量に出回っているのを発見。しかも落札価格は1万円前後から。
私が手に入れたのもそのひとつで、SSD256GB搭載・ACアダプターなしという条件付きでしたが、迷わず入札して落としました。

ACがない? 昔のThinkPadなら困りものでしたが、X390はUSB-C給電に対応しています。手元の Thinkpad E585用 ACをとりあえず流用できましたし、いまどき45WクラスのUSB-Cアダプターはいくらでも手に入ります。むしろ「ACなし」だからこそ安く落札できるのは、ちょっとした狙い目でもあります。

「とりあえずWin11対応 ThinkPad が欲しい」という実用一点張りで迎え入れたX390。
ところが実際に使ってみると、その印象は大きく変わっていきました。
地味で不遇な型番を背負いながらも、筐体の作り込みや表示環境、そして軽快な使い心地。
「あれ、これ意外と“当たり”の機種なのでは?」と気づかされるのに、時間はかかりませんでした。

X390の歴史的位置づけと特徴

ThinkPadの系譜を振り返ると、X390は少し奇妙な立ち位置にあります。
2018年に登場したX280は、薄型軽量化を進めた意欲作でしたが、当時主流だったHD液晶を多く採用していたため、解像度面で不満が残りました。表示領域が狭く、長時間作業には疲れやすい──その弱点が足を引っ張ったのは否めません。

そこで翌年に投入されたのがX390です。
筐体サイズはX280をほぼ踏襲しつつ、液晶は13インチのフルHDが標準に。
CPUも第8世代Core(Whiskey Lake-U)に刷新され、ようやく「現代的なモバイルThinkPad」として完成度を増しました。

しかし、ここで不可解なのが型番の「300番台」。
X200系譜の延長でありながら、なぜかX390と名付けられ、その後はX13へと引き継がれてしまいます。
わずか1世代で消滅したため、存在感が薄く「不遇のモデル」と語られることが多いのです。

それでも、実際に使ってみるとこの世代ならではの強みが随所に見えます。

  • フルHD液晶前提:X280の最大の弱点を克服
  • 第8世代Core搭載:Windows 11公式対応ラインに入る
  • 堅牢な筐体:ビジネスモバイルとして安心の作り
  • 軽量設計:約1.2kg台で持ち運びやすい

一方で、弱点もはっきりしています。
メモリはオンボードのみで8GB固定構成が多く、増設はできません。
また、型番の継続性がないため、中古市場では「地味な存在」として扱われがちです。

そうした「光と影」の入り混じった特徴こそ、X390を面白くしているポイントだと感じます。
表舞台では短命に終わったモデルですが、リース落ちの今こそ再評価すべき1台なのです。

実際に入手した個体の状態

Thinkpad X390 蓋を閉じた上部
Thinkpad X390 のロゴマーク
Thinkpad X390 でWindows11を起動した時の画面

比較的、きれいな状態でした。端子類も元気。ボタンの反応もよし。トラックポイントもドリフトなく快適に動かせました。

SSD換装で快適さを取り戻す

リース落ちのX390は、多くが128GBや256GBのSSDを搭載しています。
オフィス用途だけならまだしも、Windows 11環境で長く使うには容量があまりに心許ない。更新プログラムやOffice、ブラウザキャッシュであっという間に空きが圧迫されます。

今回の個体もSSDは256GB。メモリがオンボード8GBで増設できない以上、延命の余地は SSD換装がすべて と言っても過言ではありません。

作業自体はシンプルです。
裏蓋を外し、M.2 NVMeスロットのSSDを1TBに交換するだけ。特殊な工具は不要で、ネジの数が少し多いくらい。難易度は★2/5程度でしょう。

注意点としては、X390のインターフェースは NVMe Gen3止まり なので、Gen4のSSDを入れても性能は頭打ちになります。また筐体が薄型な分、発熱にはややシビアです。換装時に放熱シートを追加しておくと安心です。

換装後は、体感で大きな差が出ます。

  • 起動時間が数十秒から10秒台へ短縮
  • Windows Updateも滞りなく処理
  • ブラウジングやOffice作業がストレスなく快適
  • データ保存用としても余裕の1TBクラス

「メモリ8GB固定で拡張できない」という弱点は残りますが、SSD容量に余裕があるだけで体感の快適さは大きく改善されます。

要するに──X390の延命策はSSD換装一択。
それさえ済ませてしまえば、リース落ちの中古機でも十分に現役として活躍できるのです。

使い勝手と評価

実際にSSDを換装し、しばらく使ってみて感じたのは「やはりビジネスモバイルとしての完成度は高い」ということです。

まず画面サイズ。X280が12.5インチFHDだったのに対し、X390は13.3インチFHDに拡大されました。解像度は同じでも、表示領域の余裕が生まれることで文字やUIが少し大きくなり、長時間作業でも目が疲れにくいと感じます。リモートワークや外出先での作業が多い人にとっては、この「わずか0.8インチの差」が思いのほか効いてきます。

搭載CPUは Core i5(第8世代 Whiskey Lake-U)。最新のRyzenや第13世代以降のCoreと比べればもちろん見劣りしますが、一般的な用途なら十分です。ブラウジング、Office作業、オンライン会議、軽めの画像編集程度ならストレスを感じません。SSDを1TBに換装したことで、容量不足やストレージ速度に起因するイライラも解消されました。

Intel CORE i5 8th Gen のシールエンブレム

キーボードの打鍵感はThinkPadらしく安定感があり、筐体剛性も健在。リース落ち品でも「安っぽさ」が出ないのは法人モデルならではの強みでしょう。重量も1.2kg台と軽量で、持ち運びも苦になりません。

一方で弱点もはっきりしています。

  • メモリはオンボード8GB固定(増設不可)
  • バッテリーは経年劣化しやすく、個体差が大きい
  • ファン音は負荷時にやや目立つ

とはいえ、純粋に「モバイルノートとして必要十分な性能」を備えていることに変わりはありません。今回は幸いバッテリは80%以上生きていました。
特に「Win11対応かつ安価に入手できる」という条件を満たす点では、リース落ち市場でいま狙う価値があると感じます。

主な仕様

私の個体の仕様です。

 OSWindows 11 Pro ※発売当時はWin10
CPUCore i5-8265U
メモリー8GB / on board
ストレージSSD 256GB NvNE
無線LAN○IEEE 802.11ac
有線LAN
SDカードスロットmicro SD
ディスプレイ出力端子 HDMI
USBポートUSB3.1 × 3
USB Type-C × 1
ディスプレイFull HD
サイズ13.3インチ
重量約1.2kg

ThinkPad血統との比較

ThinkPadを長く使ってきた人間にとって、X390を評価するうえで無視できないのが「血統」の存在です。
IBM時代に大和研究所で培われた設計思想──それは「剛性感」「信頼性」「携帯性」の三本柱でした。

私自身も 230Cs → 560/560x → 240 → X200 → X230 と歩んできましたが、それぞれの世代に独自の魅力がありました。

  • 230Cs:赤ポチに出会った最初の衝撃
  • 560:石のような剛性感、薄型ノートの象徴
  • 240:真のモバイル化を実現した軽量モデル
  • X200/X230:王道モバイルThinkPadの完成形

その流れの先にあるのがX390です。
X200系譜を受け継ぎながら、型番としては突然「300番台」を振られ、わずか1世代で姿を消した不遇のモデル。表舞台では注目されにくかったかもしれません。

しかし実際に触れてみると、確かにそこには大和研究所のDNAを感じる瞬間があります。

  • キーボードの打鍵感は、モバイルノートとは思えない安定感
  • トラックポイントによるパームトップでの優秀な操作性
  • 小型筐体でありながら剛性は十分、リース落ちでも安心して使える作り
  • モバイル重視の軽量設計と、FHD液晶による作業性の両立

つまりX390は、短命に終わった型番の陰に隠れながらも、「ThinkPadらしさ」をしっかりと継承していた機体だったのです。

最新のX1 CarbonやX13がさらに洗練を重ねているのは事実ですが、X390はその橋渡し役として、いま改めて評価されるに値する存在だと感じます。

まとめ

ThinkPad X390は、型番的には不遇の存在でした。
X280の後継として登場しながら、わずか1世代で姿を消し、X13へと引き継がれてしまったからです。中古市場でも知名度は低く、注目されることはほとんどありません。

しかし実際に触れてみると、その評価は大きく変わります。
フルHD液晶が前提となった見やすい画面、軽量かつ堅牢な筐体、そして第8世代Core i5によるWindows 11対応。メモリ増設はできないものの、SSD換装で快適さを取り戻せば、日常用途やビジネスモバイルとして十分に現役を張れる実力があります。

リース落ち品がヤフオクで豊富に出回っており、今も1万円前後から狙えるのも大きな魅力です。ACアダプターが付属しない個体も多いですが、USB-C給電対応のおかげで運用に困ることはありません。むしろ「ACなしだからこそ安い」というお得感さえあります。

ThinkPadの歴史を振り返ると、X390は「歴史に名を残さなかった隠れた名機」として再評価されるべき存在でしょう。
Windows 10終了が迫るこれからのタイミングに、中古市場でお手頃に手に入るWin11対応機として──X390は再び光を浴びるチャンスを迎えています。