WebGL vs WebGPU:見た目は拮抗、未来は分岐する?

WebGPUvsWebGL HowTo
  1. GPU描画の世代交代は本当に来たのか?
    1. でも、そんなに変わるの?
    2. 技術の進化 ≠ 実用の進化
    3. だからこそ、やってみた
    4. 本当に世代交代は来ているのか?
  2. 100万粒子のsinアニメでガチ対決
    1. 検証条件:可能な限り公平なデモ
    2. 🎯 検証条件:完全に公平なデモ
    3. なぜ“パーティクル100万個”なのか?
  3. 結果スクリーンショット
    1. WebGPU(Three.js v0.175)
    2. WebGL(Three.js v0.158)
    3. FPSは? → 実はほぼ同等
    4. 見た目に差が出た理由
      1. WebGPUの拡散傾向の原因(推定):
    5. 見栄えか性能か、それが問題だ
  4. パフォーマンス神話を斬る:WebGPUは万能じゃない
    1. 描画だけならWebGLと大差ない理由
    2. むしろWebGLは今が最終進化形?
    3. WebGPUの真価は「描画」ではなく「計算」にある
      1. WebGPUならできることの例:
    4. それでも注意点は多い
    5. 結論:使い分けが大事
  5. じゃあWebGPUはいつ使うのか?実戦ユースケースと限界
    1. WebGPUの「使いどころ」を見極める
    2. WebGPUが「刺さる」ユースケース
      1. ① GPUによる並列計算がボトルネックになる場面
      2. ② 大規模な粒子・頂点処理
      3. ③ AI推論処理やリアルタイム画像処理
    3. 実際に作ってみた感想:「地力が求められる」
    4. WebGPUの「限界」も忘れずに
      1. ❌Apple環境の足並みの悪さ
      2. ❌ モバイル端末での実行が不安定
      3. ❌ ブラウザ依存が強く、最適化は手探り
    5. とはいえ「遊べる技術」ではある
  6. WebGPUの未来と『TypeGPU』の可能性
    1. TypeGPUとは何者か?
    2. WebGPUが「選ばれにくい」理由を潰す試み
    3. どんな開発をラクにしてくれるのか?
      1. ✔ 型エラーをビルド時に検出
      2. ✔ bindGroupの型チェック
      3. ✔ WebGPU資産との共存
    4. ③ 他にもある実用例
    5. ④ 「Three.js+TypeGPU」の相性
    6. ⑤ 結論:今こそTypeGPUに“触れてみる時期”
  7. Three.jsは頼りになる味方
    1. Three.jsの現在地
    2. WebGPUへの進化を自然に体験できる
    3. 難しい部分はライブラリが吸収してくれる
    4. ④ バイブコーディングにも相性よし
    5. まとめ:Three.jsがいる限り、WebGLもWebGPUも怖くない
  8. まとめ:描画技術は「使い分け」の時代へ
    1. WebGLは今も現役、死んでいない
    2. WebGPUは使い所を見極めてこそ
    3. 今は“二刀流”の時代
    4. TypeGPUや新世代ライブラリで、未来はさらに手軽に
    5. 結論:次世代Web開発は、“心地よさ”と“爆速”の二兎を追え

GPU描画の世代交代は本当に来たのか?

GPUによるブラウザ描画と聞いて、あなたが真っ先に思い浮かべるのは何だろうか。
おそらく「WebGL」、あるいは「Three.js」だろう。どちらも、Webブラウザ内で本格的な3D描画を可能にする仕組みとして、10年以上前から実績を重ねてきた。

ところが2023年以降、「WebGPU」という新しい言葉が急激に存在感を増してきた。

WebGPUは、Direct3D 12、Vulkan、MetalといったネイティブGPU APIに準じた設計を持つ新世代のグラフィックスAPIである。言ってみれば、WebGLがOpenGL ESをベースにした「旧世代API」だとすれば、WebGPUはDirectX12世代のモダンAPIと同じ土俵に立っている。特にバッファやバインドグループといった低レベル構造を直接制御できる点が決定的に異なる。

でも、そんなに変わるの?

ここで一歩引いて考えてみたい。

「WebGPUってそんなにすごいの? 速いの? じゃあもうWebGLは終わり?」

…そんなふうに思ってしまう人もいるだろう。実際、WebGPUという単語だけが一人歩きし、
「WebGLはもう古い」などという表現を安直に見る機会も増えてきた。

しかし、実際のところはどうなのか?
この問いを真っ正面からぶつけてみるのが、この記事の出発点だ。

技術の進化 ≠ 実用の進化

確かに、APIとしてのWebGPUは「新しい」。
だが、新しい=優れている/速い/便利 という保証にはならない。

むしろ、新しい技術というのは常に不安定・未成熟・情報不足というリスクを抱えている。

特にWebGPUは以下のような現実的な制約を持つ:

  • Safari(Apple系ブラウザ)は未対応。iOSのWebViewでも動かない
  • AndroidではVulkanとの棲み分けが曖昧で、モバイルでの普及見通しは不透明
  • スマホブラウザはWebGL 2.0ですらサポート状況がバラバラ。ましてやWebGPUは…

つまり、「WebGPUはすごいぞ!」という話と「自分のサービスで使えるかどうか」は完全に別の話である。

だからこそ、やってみた

この記事では、「WebGPUが本当にすごいのか?」を確かめるために、
あえて WebGLとWebGPUでまったく同じ描画をしてみて、FPS・描画品質・使用感などを比較してみた。

使ったのは超定番のThree.js。
幸いにもThree.jsは v0.150 以降で WebGPURenderer が統合されており、同じコード構造でWebGLもWebGPUも描ける環境が整ってきている。

さらに最近、Software Mansionから「TypeGPU」という WebGPU の TypeScriptラッパーまで登場し、「そろそろ始めてみる時期かな?」と思える状況が整ってきた。

本当に世代交代は来ているのか?

この記事では、単なる理論比較ではなく、実際のスクリーンショット、実測FPS、細かい描画の違いまですべて比較する。

そしてそのうえで、

  • WebGPUは本当に“次のスタンダード”になれるのか?
  • WebGLはまだ現役で戦えるのか?
  • TypeGPUやThree.jsなど、今どこに着目すべきか?

を、開発者の視点で総ざらいしていく。

100万粒子のsinアニメでガチ対決

「本当にWebGPUは速いのか?」

それを確かめるために、筆者はWebGL版とWebGPU版の“まったく同じシーン”をTwo-Wayで実装し、挙動・描画・パフォーマンスを比較した。

検証条件:可能な限り公平なデモ

「本当にWebGPUは速いのか?」

それを確かめるために、筆者はWebGL版とWebGPU版の“まったく同じシーン”をTwo-Wayで実装し、挙動・描画・パフォーマンスを比較した。


🎯 検証条件:完全に公平なデモ

条目内容
描画対象100万個のパーティクル
構成THREE.Points + BufferGeometry + PointsMaterial
アニメーション各点が sin(t + 位相) で上下に揺れる
vertexColors によるRGB変調
レンダラーWebGLRenderer / WebGPURenderer(Three.js)
解像度window.innerWidth × window.innerHeight(4K環境)
カメラ位置camera.position.z = 320 で統一
テスト環境Windows 11 / Chrome 138 / RTX 3060

実装には Three.js v0.158(WebGL)と v0.175(WebGPU対応)を使用。
特にWebGPU版は await renderer.init() を明示的に呼び出すことで、Three.js側の初期化ルートを通して描画を開始している。

なぜ“パーティクル100万個”なのか?

よくある「WebGPU vs WebGL 比較」は、ベンチマークツールのようなものを使って表面的なfps差だけを比べがちだ。
だが現実のアプリでは、GPUのボトルネックになるのは「描画対象数」と「アニメーション処理量」だ。

そこで、1フレームに100万個の点を描画・揺らし、GPUの帯域・データ更新・シェーダ処理の全てに負荷がかかる構成を用意した。

positions[i * 3 + 1] = Math.sin(time + phases[i]) * 20;

この sin() アニメーションは、CPUでもGPUでもコストが大きい。
さらに vertexColors で1点ごとの色情報も保持するため、データ転送量も無視できない。

結果スクリーンショット

WebGPU(Three.js v0.175)

webgpu particle

FPS:45fps

粒子がやや拡散気味に描画され、上下方向に広がりを持つ

明度にムラがあり、少し「もや感」

WebGL(Three.js v0.158)

FPS:45fps

粒子は帯状に収束し、視認性が高く感じられる

色分布がシャープでコントラストが強め

webgl particle

FPSは? → 実はほぼ同等

最初は「WebGPUの方が速いだろう」と予想していたが、実際にはどちらも45fps前後で拮抗していた。
RTX 3060というそこそこのGPUを使っても、描画だけでWebGPUが圧倒的に速くなる、ということはなかった。

見た目に差が出た理由

画数・配置・色設定・カメラ位置は完全一致しているにもかかわらず、見た目には明確な差が出た。

WebGPUの拡散傾向の原因(推定):

  • geometry.attributes.position.needsUpdate = true の適用タイミング差(WebGPUでは反映が遅い可能性あり)
  • PointsMaterial の内部シェーダ処理がまだ未最適化(WebGPU側は進化中)
  • setPixelRatio() の影響で粒の大きさ・アンチエイリアス効果に違いが出ている
  • カメラZが同じでも、描画の精度処理が違えばパースに差が出る

結果的に、WebGPUは自然で柔らかい表現、WebGLは密度のあるくっきり描画となった。

見栄えか性能か、それが問題だ

もしあなたがWebサイトの装飾や視覚効果、UIパーツとしての“粒子”を使いたいなら、WebGLの方が安定して「見たまま作れる」という印象を持つだろう。

一方でWebGPUは、将来的にコンピュート処理や変形メッシュ、大規模パーティクルに進化する余地を持つ

「今すぐにWebGPUで大勝利!」とはならなかったが、見えない部分での“地ならし”は着実に進んでいると感じられる結果となった。

パフォーマンス神話を斬る:WebGPUは万能じゃない

WebGPUの名前を聞くと、「とにかく速い」「もうWebGLには戻れない」といった期待を抱く人も多い。
確かに、それはある面では正しい。だが、少なくとも描画パフォーマンスにおいては、WebGPUはまだ「無条件で優位」とは言い切れない。

描画だけならWebGLと大差ない理由

実際の開発で、WebGPUがWebGLとほぼ同等のパフォーマンスになる理由を以下にまとめよう。

比較軸WebGLWebGPU
描画効率十分高い(GPUパスに乗る)より細かく制御できるが、冗長な設定も必要
ドライバ最適化10年以上の蓄積がある各ブラウザ実装がまだ発展途上
利用ライブラリThree.jsなどで超成熟対応ライブラリはようやく整い始めた
コンピュート用途不可可能(ここが最大の武器)

つまり、「単なる描画」「ただのエフェクト」であれば、WebGLでも十分戦えるどころか、手軽で扱いやすいという現実がある。

むしろWebGLは今が最終進化形?

WebGLはOpenGL ES 2.0/3.0ベースであるため、確かに最新のGPU制御能力には限界がある。
だが、それが逆に“こなれた技術”としての安定性・互換性の高さ”に繋がっている。

  • iOS・Android・Chrome・Firefox・Edge あらゆる環境で高い動作実績
  • 企業サイトやインタラクティブ広告など、信頼性重視の場面でWebGLが選ばれ続けている
  • Three.jsやPixiJSなど、WebGLをベースにしたエコシステムは今なお拡張中

特に、ちょっと動くお洒落なWeb装飾を求めるだけなら、WebGLで十分すぎる。

WebGPUの真価は「描画」ではなく「計算」にある

WebGPUの真骨頂は、描画だけではない。
Compute Shader(コンピュートシェーダ) を使って、GPUで直接データ処理を行う機能がWeb上でも正式解禁されたことこそが最大の革命なのだ。

WebGPUならできることの例:

  • 物理エンジンの衝突判定をGPUで並列処理
  • 数百万体のパーティクルに「相互作用」を持たせる
  • 動的な地形変形(リアルタイム頂点生成)
  • スキンメッシュの骨格アニメーションをGPUオフロード
  • AIモデルの推論処理(ONNXランタイムなど)

つまり、“GPUを使ってリアルタイムにガチ処理したい”層にとっては、WebGPUはまさに希望の星となる。

それでも注意点は多い

ただし、WebGPUを触ってみて分かったのは「簡単に触れるようで、奥が深すぎる」という点だ。

  • ドキュメントが少ない(W3C仕様がややこしい)
  • 各ブラウザのサポート状況が異なる
  • Apple(Safari)はMetal推し → WebGPU対応は極めて不透明
  • モバイル(Android)はVulkanベースだが、実装にバラツキ
  • 低レベルAPIゆえに、ラップライブラリがなければハードルが高い

結果、せっかくWebGPUを使っても、WebGLより遅くなることも珍しくない。

結論:使い分けが大事

WebGPUは決して「WebGLの完全上位互換」ではない。
むしろ、目的が明確にハマる領域(高負荷なデータ処理)でこそ、その力を発揮する。

「見せる」ならWebGL、「計算する」ならWebGPU

その棲み分けが、今後ますます重要になっていく。

じゃあWebGPUはいつ使うのか?実戦ユースケースと限界

WebGPUの「使いどころ」を見極める

ここまでの話を踏まえると、「WebGPUって結局、どこで使えばいいの?」という疑問にぶつかる。
答えはシンプル。

WebGPUが「刺さる」ユースケース

① GPUによる並列計算がボトルネックになる場面

  • 流体シミュレーション
  • 群集行動AI(Boids系)
  • ソフトボディ物理演算
  • GPUレイトレーシング(Path Tracer系)

GPUの「1万コアが一斉に動く」力を使って初めて意味があるような処理は、WebGPUでこそ威力を発揮する。

② 大規模な粒子・頂点処理

  • 10万点を超える点群やパーティクルの動き
  • GLSLでは表現しきれない複雑な相互作用
  • Compute→Vertex変換での頂点座標更新など

今回制作したThree.jsベースのWebGPUパーティクルデモはまさにこの応用の第一歩。
WebGLでも同じことはできるが、拡張性・演算密度ではWebGPUに軍配が上がる

③ AI推論処理やリアルタイム画像処理

  • ONNX Runtime WebGPU backend
  • Style Transfer、画像分類、顔認識のローカル実行
  • GPGPUベースのフィルター適用(高速ブラー、エッジ検出など)

今後、AI + WebUIの組み合わせは爆発的に増える。そこにWebGPUが不可欠となる。

実際に作ってみた感想:「地力が求められる」

WebGPUはとにかく低レベル
昔のOpenGLと同じで、バッファもパイプラインも全部自分で構成する必要がある。

  • 頂点バッファ生成
  • シェーダーコード記述(WGSL)
  • バインドグループ設計
  • 描画ループの制御
  • シェーダーで使う構造体の設計まで明示的に指定

たとえThree.jsを使ったとしても、内部的にかなりの知識が求められる。

「かじってすぐにリッチな表現!」とはいかない。
むしろ「踏み込んでこそ面白い」領域。

WebGPUの「限界」も忘れずに

❌Apple環境の足並みの悪さ

  • SafariのWebGPU実装は未完成
  • Metalベースで独自路線を推進
  • iOS/iPadOS系の対応は今後も不透明

❌ モバイル端末での実行が不安定

  • Android Chrome はVulkanベースだが、端末差が大きい
  • 消費電力、サーマルスロットリングの懸念
  • モバイル用途での継続描画・リアルタイム処理はまだ過酷

❌ ブラウザ依存が強く、最適化は手探り

  • FirefoxはそもそもまだWebGPU対応が弱い
  • 仕様自体が更新中 → 将来的に非互換リスクあり

とはいえ「遊べる技術」ではある

特筆すべきは、WebGPUでもThree.jsが使えるという事実。
これにより、GLSLに慣れたクリエイターが比較的軽い負担でWebGPU表現に踏み込める。

MITライセンスで商用利用も可能、今後の主力技術への布石としては十分すぎる素材だ。

WebGPUの未来と『TypeGPU』の可能性

WebGPUは、非常にパワフルなAPIでありながら、開発者にとっては決して敷居の低いものではない
その複雑さと低レベルさは、まさに「プロ向け」の道具である。

そこで登場したのが TypeGPU──
GitHub+13typegpu.com+13GitHub+13

TypeGPUとは何者か?

TypeGPUは、WebGPUの持つ複雑なAPI構造をラップし、より直感的かつ型安全に利用できるようにしたライブラリだ。
正式にはまだ開発途上だが、その思想と設計は非常に先進的である。

特長として以下が挙げられる:

  • TypeScriptフル対応:強力な型システムによる安全な記述が可能
  • 宣言的なレンダーパイプライン定義:シェーダーやバッファの構成をモジュール的に扱える
  • モダンなフロントエンドとの親和性:Next.jsやViteなどとの連携を意識した設計

公式ドキュメントでは「next-generation WebGPU library」と謳っており、
従来のImperativeなAPI呼び出しからの脱却を目指している。

WebGPUが「選ばれにくい」理由を潰す試み

現状のWebGPUが敬遠される理由は明確だ。

  • セットアップが煩雑
  • 記述が冗長で習得コストが高い
  • デバッグが困難で、動かない理由が分かりづらい

TypeGPUは、こうした問題を「構文の抽象化」によって吸収しようとしている。

  • 高度な処理は背後で動かし、記述は簡潔に
  • シェーダーやレンダーパスの管理を構造化された形式で記述
  • WebGPUの知識が浅くても、構文と型だけで正しく書ける世界を目指している

これはまさに「React以前のJavaScriptに戻れない」という現象に似ている。
TypeGPUがそのような存在になる可能性を秘めているのだ。

どんな開発をラクにしてくれるのか?

✔ 型エラーをビルド時に検出

たとえば、{ position: vec3f; } というシェーダー構造体に対し、TypeScript上でも同じ型定義で扱えるため、

const buf = root.createBuffer(d.vec3f);
buf.write([1,2,3]);

とすれば buf に誤った形状のデータを書き込む心配が強く減る。

✔ bindGroupの型チェック

シェーダー側で @binding(0)uniform が必要なのに、JSコードで間違った bindGroup を作成すると、コンパイルエラーで即検出できる 。

✔ WebGPU資産との共存

既存のGPUバッファを取り込んで TgpuBuffer として扱うことも可能で、既存コードベースに段階導入しやすい構成だ 。

③ 他にもある実用例

  • typegpu-confetti:React Native向けにGPUで演算する紙吹雪アニメーションコンポーネント
  • React Native用Workletsと統合し、UIスレッドの滑らかなアニメーションを可能にする仕組みも動き出している

さらに、公式にMNIST推論などのサンプルも公開されており、AI向けの用途にも広がり始めている 。

④ 「Three.js+TypeGPU」の相性

  • WebGPUへの初歩的な導入は Three.jsの WebGPURenderer だけで実現可能
  • しかし高度な用途ではWGSLやbindGroup周りの制御は複雑になる
  • そんなときTypeGPUで型保証付きに書き換えてしまえば、メンテ性もUP
  • 「バイブコーディング×Pure JS」 な開発体験にも自然に馴染む選択肢です

⑤ 結論:今こそTypeGPUに“触れてみる時期”

TypeGPUは未成熟ながらも:

  • MITライセンスで商用利用できる
  • 型安全な開発スタイルを保証する
  • JS/WGSLの齟齬を減らす
  • 既存プロジェクトにも統合可能

という点で非常に魅力的です。
「まず試してみる」価値は十分あり、この先WebGPUを本気で使うならTypeGPUは“覚えておいて損はない”ツールになるでしょう。

Three.jsは頼りになる味方

Three.jsの現在地

Three.js は、2010年代初頭から続く老舗の3Dグラフィックスライブラリであり、現在も現役バリバリだ。
その理由は、以下のような柔軟性と実用性のバランスの良さにある。

  • WebGLとWebGPUの両方をサポートしている(WebGLRenderer / WebGPURenderer
  • 数行のコードでシーン/カメラ/オブジェクト/ライティングが整う
  • コミュニティが大きく、豊富なサンプルと拡張ライブラリが揃っている
  • MITライセンスのため、商用プロジェクトにも安心して使える

加えて、GLSLやWGSLを直接書かずとも、シェーダー風の表現が手軽に実現できる点も大きい。


WebGPUへの進化を自然に体験できる

Three.js の最新バージョン(v0.150〜)では、WebGPURenderer が統合されている。
これにより、次のような移行フェーズでの負担を大幅に軽減できる。

  • 既存のThree.jsコードを一部書き換えるだけで WebGPU が試せる
  • カメラやマテリアルなどの基本構成は従来と同じ
  • WebGPU 対応の環境が限定的な場合でも、条件付きで WebGL にフォールバックできる

たとえば以下のような初期化コードで、両対応を実現できる。

const useWebGPU = isWebGPUSupported();
const renderer = useWebGPU ? new WebGPURenderer() : new WebGLRenderer();

このように、Three.js はWebGL世代からWebGPU世代への橋渡し役として最適な存在となっている。


難しい部分はライブラリが吸収してくれる

本来 WebGPU では、以下のような手間のかかる手続きが必要となる。

  • GPUバッファの生成とメモリマッピング
  • WGSL(WebGPU Shading Language)による明示的なシェーダー記述
  • bindGroup や pipelineLayout の詳細な指定

これらは非常にパワフルではあるが、アプリ開発の視点では“面倒”な作業ともいえる。
Three.js や TypeGPU のようなラッパーライブラリを利用すれば、これらの複雑性を吸収しつつ、パフォーマンスの恩恵を享受することが可能だ。


④ バイブコーディングにも相性よし

昨今話題となっている「バイブコーディング(Vibe Coding)」──
これは、AIと対話しながら雰囲気で作る新しいスタイルのコーディングだ。

Three.js はその代表格として最適である。

  • 試しにオブジェクトを1個描画 → 反応を見て調整
  • カメラの位置、ライティングの強さ、色味などをノリで即変更
  • 「雰囲気で動かす」ことと「結果を即座に確認できる」ことが一致する

バイブコーディングは、“完成を急がず、流れに乗る”開発スタイルだ。
Three.js の即時性・柔軟性・視覚性
は、このムーブメントと極めて相性が良い。


まとめ:Three.jsがいる限り、WebGLもWebGPUも怖くない

  • Three.jsは、WebGLとWebGPUの両方を跨ぐ“次世代向け汎用エンジン”である
  • 難しいことはお任せして、本質的な表現や演出に集中できる
  • TypeGPUなどとの組み合わせにより、型安全な新世代開発体験も可能
  • そして、バイブコーディングとの融合で、誰もが気軽に“創造”に手を伸ばせる時代になった

まとめ:描画技術は「使い分け」の時代へ

WebGL vs WebGPU──この比較は、あたかも「古い vs 新しい」「遅い vs 速い」という単純な図式で語られがちだ。
だが現実は、そんな単純な話ではない。

WebGLは今も現役、死んでいない

確かに、WebGPUは最新のAPIであり、今後の本命と言われている。
だがそれは「全てにおいて優れている」という意味ではない。

むしろ、一般的なUI装飾や軽い3D表現なら、WebGLで十分という場面は多い。
対応ブラウザも広く、開発者も多い。リソースや知見の蓄積が段違いである。

WebGLは、“枯れた技術”として信頼できる選択肢であり、まだまだ第一線で戦える。


WebGPUは使い所を見極めてこそ

一方で、WebGPUは構造的に優れたアーキテクチャを持つ。
本格的にGPUを使いたいなら、これ以上ない選択肢だ。

  • 数万、数十万の粒子の並列計算を伴う表現
  • コンピュートシェーダーによる物理演算やAI推論
  • ポストプロセスやレイトレーシングの最適化処理

こういった領域では、WebGLではそもそも表現しきれない

ただし、開発のハードルは高い。環境も限られ、対応ブラウザ・OSにも差がある。
「誰でも手軽に触れるもの」では、まだないのが現状だ。


今は“二刀流”の時代

WebGLとWebGPU。どちらが正しいか?ではない。
どちらも目的によって使い分ける時代に入っている。

Three.js などのライブラリを使えば、どちらも同じコードベースで試せる
WebGPU未対応環境ではWebGLにフォールバックすればよい。

  • サイトの装飾やインタラクション → WebGL
  • データビジュアライゼーションやリアルタイム演算 → WebGPU

このような技術の最適配置が、今の開発者に求められている視点だ。


TypeGPUや新世代ライブラリで、未来はさらに手軽に

そして、TypeGPU のような新たな抽象化ライブラリが登場したことで、
WebGPUの敷居は大きく下がる可能性が出てきた。

  • 型安全・モジュール指向・フレームワーク統合など
  • 複雑なWebGPU APIを隠蔽し、直感的な構成で使える未来が近づいている
  • そして「バイブコーディング」のような、創造と即応が融合する時代に突入しつつある

これまで「GPUを触るのは職人芸」とされていたが、
今後は 誰もが感覚的にGPUパワーを利用できる世界がやってくる。


結論:次世代Web開発は、“心地よさ”と“爆速”の二兎を追え

  • 手軽に、楽しく、ノリで作るなら WebGL × Three.js × バイブコーディング
  • ハードな処理・本格演算なら WebGPU × TypeGPU × モダン構成

そのどちらにも、確かな活路がある。

描画技術の世代交代は、単なる“置き換え”ではなく、
多様性と選択肢の拡充として私たちの手元にやってきている。