Broadcomは何者か? AI時代にGPUの陰で“床下”を支配する企業の正体

Broadcomは何者か? AI時代にGPUの陰で“床下”を支配する企業の正体 TECH

NVIDIAがAI時代の主役なら、Broadcomはその舞台装置を支配する黒子だ。
なぜこの“地味な会社”は、GPUを作らずにAI時代で最も居心地のいい場所を手に入れたのか。

  1. 導入:なぜ今、Broadcomなのか
  2. 第1章:Broadcomの正体は「技術企業」ではない
    1. HPから始まる“継ぎ接ぎの系譜”
    2. 「発明する会社」ではなく「収穫フェーズに最適化する会社」
    3. ホック・タンという“ウォール街仕様の経営マシン”
    4. M&Aで企業を作り替えるという経営スタイル
  3. 第2章:なぜQualcomm買収は止められたのか
    1. 5Gは「商品」ではなく「国家基盤」だった
    2. Broadcomに預けた場合の“別の未来”
    3. 「育成」ではなく「収穫」に最適化する企業への警戒
    4. 経済安全保障とは「未来の競争力」を守ること
  4. 第3章:VMwareが示したBroadcomの本性
    1. ライセンス改変と顧客選別という“収益最大化ムーブ”
    2. プロダクトは壊さず、エコシステムを焼き畑する手法
    3. なぜ投資家は評価し、現場は悲鳴を上げるのか
    4. 「もしQualcommがこうなっていたら」という仮想歴史
  5. 第4章:Broadcomの本業は「カスタムASIC屋」である
    1. NICとスイッチは、もともと“顧客仕様書の塊”だった
    2. Google TPUの“黒子”というポジション
    3. 汎用GPUと正面衝突しない賢い戦い方
    4. 「売らないチップ」で稼ぐという逆説
  6. 第5章:AI時代の立ち回り ─ GPUではなく“床下”を押さえる
    1. AIデータセンターは「計算」より「搬送」がボトルネックになる
    2. ネットワーク・I/O・メモリ階層という“血管系ビジネス”
    3. OpenAIとのカスタムアクセラレータ構想の意味
    4. 推論最適化時代に“専用シリコン”が増殖する理由
  7. 第6章:なぜBroadcomの利益率は異常になるのか
    1. ハードの景気循環 × ソフトのサブスク固定収益
    2. 「一度入ったら抜けない」インフラ課金モデル
    3. SaaS企業の皮をかぶった半導体会社、という歪んだ構図
    4. 株価が“半導体の文脈”で説明できなくなった瞬間
  8. 第7章:技術的アドバンテージはどこにあるのか
    1. 最先端プロセス競争ではなく「設計最適化の現場力」
    2. 巨大顧客とすり合わせる“実装力”という武器
    3. ハードと運用(VMware)を束ねられるポジション
    4. 「性能」より「構造」を売る会社の強さ
  9. 第8章:リスクと限界 ─ 強すぎるがゆえの不安定さ
    1. 大口顧客依存という構造リスク
    2. 規制・地政学に巻き込まれやすい立場
    3. VMware路線が生む“静かな離反”の可能性
    4. 技術トレンドの転換で“床下”の場所が変わるリスク
  10. 終章:BroadcomはAI時代の何者になるのか
    1. イノベーターではなく“インフラ徴税官”という役割
    2. NVIDIAとは別の軸で支配力を強める企業
    3. AIが社会に溶けるほど、目立たず強くなる存在
    4. 「派手ではないが、一番いやらしい勝ち方をする会社」
  11. 参照
    1. Broadcom 2025年度決算(公式 IR)
    2. Broadcom Investor Relations – Quarterly Results
    3. OpenAI × Broadcom 戦略協業(公式/Broadcom側プレス)
    4. Reuters:OpenAI と Broadcom のカスタムAIチップ報道
    5. Broadcom – Wikipedia(M&A・VMware)

導入:なぜ今、Broadcomなのか

AI時代の勝者はNVIDIAだ。
この一文に異論は少ないだろう。GPUはAIという産業のエンジンになり、NVIDIAはそのエンジンの製造元として、かつてない影響力を手にした。

けれど、工場はエンジンだけでは動かない。
電力、配管、ベルトコンベア、制御盤、そして工場全体を止めないための運用システム。AIが「研究室のおもちゃ」から「社会インフラ」へ変わるほど、主役ではない部分の重要性が急激に増していく。

Broadcomは、まさにそこにいる会社だ。

派手なデモも、開発者の熱狂もない。
あるのは、ネットワーク、I/O、スイッチ、NIC、専用チップ、そして運用ソフトウェア。止まれば世界が止まる場所。AIが増えれば増えるほど、必ず通過しなければならない“床下”だ。

最近のBroadcomの決算を見ると、粗利率や営業利益率が、半導体企業の数字とは思えない水準に達している。株価もまた、まるで「再評価」というより「再定義」に近い勢いで上がっている。

ここで素朴な疑問が生まれる。

なぜ、あの地味なBroadcomが?
なぜ、GPUを作らない会社がAI時代にこれほど強いのか?
そして、なぜこの会社は、Qualcommの買収を止められ、VMwareをああいう形に作り替えたのか?

この答えは、「Broadcomは何者か」という一点に集約される。

結論から言ってしまうと、Broadcomは技術で夢を売る会社ではない
Broadcomは、夢がインフラになった瞬間に、通行料を取りに来る会社だ。

その性格は、AI時代に入って突然生まれたものではない。
最初から、そういう会社として作られてきた。


第1章:Broadcomの正体は「技術企業」ではない

HPから始まる“継ぎ接ぎの系譜”

Broadcomの系譜を辿ると、いわゆる「シリコンバレー神話的スタートアップ」とは、かなり違う風景が見えてくる。

源流の一つは、HP(ヒューレット・パッカード)の半導体部門だ。
それがAgilentへ分離され、さらにAvagoへと姿を変える。そして2015年、Avagoが「Broadcom」というブランドと事業を買収し、最終的に社名もBroadcomへ寄せた。

つまり、今のBroadcomは“Broadcomという名前を買った会社”でもある。

この時点で、企業の性格はかなりはっきりしている。
ゼロから新しい世界を切り拓くというより、すでに価値が証明された資産を買い、組み替え、収益構造を作り替える。そのための企業体だ。

「発明する会社」ではなく「収穫フェーズに最適化する会社」

世の中には、大きく二種類の技術企業がある。

一つは、技術で新しい地平を切り拓く会社。
もう一つは、技術が社会インフラになった“その後”を、最も効率よく収益化する会社。

Broadcomは、迷いなく後者だ。

彼らは、最先端プロセス競争の先頭に立って話題をさらうタイプではない。
代わりに、標準が固まり、産業が「逃げられなくなった」地点に入り込み、その構造そのものを収益装置に変えるのが得意だ。

ネットワーク、ストレージ、スイッチ、NIC、そして最近では仮想化基盤。
どれも「一度入ったら、簡単には抜けない」場所ばかりである。

ホック・タンという“ウォール街仕様の経営マシン”

この性格を体現しているのが、CEOのホック・タンだ。

出自はアジアだが、経営スタイルは徹底してウォール街仕様
ロマンより数字、ビジョンよりキャッシュフロー。M&Aで事業を組み替え、利益率を極端なまでに最適化する。

ここで重要なのは、彼が「技術が嫌いな経営者」ではないという点だ。
むしろ逆で、技術を“コストと収益の塊”として冷静に扱えるタイプだと言った方が近い。

どの技術が戦略的に重要か。
どの顧客層が最も利益率が高いか。
どこを切り、どこを残せば、企業全体の収益構造が最も美しくなるか。

その判断は、驚くほど非情で、そして驚くほど一貫している。

M&Aで企業を作り替えるという経営スタイル

Broadcomにとって、M&Aは「規模拡大のためのイベント」ではない。
企業の性格そのものを作り替えるための道具だ。

半導体だけをやっていた時代から、インフラソフトを取り込み、景気循環の波をならし、収益の予見可能性を高める。
その結果、Broadcomは「半導体会社の顔をした、インフラ課金装置」に近い存在へと変質していった。

ここまで来ると、はっきり言える。

Broadcomは、イノベーションを生む会社ではない
Broadcomは、イノベーションが社会に定着した“その後”を、最も効率よく収穫するために存在する会社だ。

この性格を理解すると、次の章で扱う
「なぜQualcommの買収は止められたのか」
「なぜVMwareはああなったのか」
そして
「なぜAI時代にBroadcomが強いのか」
という話が、一本の線でつながって見えてくる。

第2章:なぜQualcomm買収は止められたのか

Broadcomという会社の性格を最もはっきり浮かび上がらせた事件が、2018年のQualcomm買収阻止だ。

当時、BroadcomはQualcommに対して敵対的買収を仕掛け、最終的にはトランプ大統領の大統領令によって、この取引は強制的に止められた。理由は「経済安全保障」。
普通の独禁法案件ではない。国家が“それはダメだ”と割って入った、かなり異例のケースだった。

ここが重要なのは、
「Broadcomが嫌われたから止められた」のではない、という点だ。
止められたのは、Qualcommという企業の“役割”が、すでに国家インフラ級だったからである。

5Gは「商品」ではなく「国家基盤」だった

Qualcommは、単なるスマホ向けSoCベンダーではない。
本質は、無線通信技術と特許の塊だ。とくに当時は、5Gの標準化を巡って世界中が神経を尖らせていた時期でもある。

5Gは、動画が速くなるだけの話ではない。
自動運転、産業機械、医療機器、スマートシティ、そして軍事・安全保障用途まで含めて、国家の神経系そのものになる技術だ。

その中核にいるQualcommは、すでに
「一企業」ではなく「戦略資産」に近い存在になっていた。

ここで米国政府が恐れたのは、
Broadcomが外国企業だから、という単純な話ではない。
むしろ問題は、Broadcomの“経営スタイル”だった。

Broadcomに預けた場合の“別の未来”

Broadcomは、第1章で見た通り、
技術がインフラ化した後の“収穫フェーズ”を最適化する会社だ。

これはビジネスとしては極めて優秀だが、Qualcommに適用した場合、何が起きるか。

  • 長期的な基礎研究や標準化活動は「コスト」に見える
  • 収益性の低い分野は縮小・整理の対象になる
  • 短中期でリターンが見える領域にリソースが寄る
  • 結果として、技術覇権レースの“持久力”が削れる可能性がある

Broadcomのやり方は、企業価値を高める。
だが同時に、国家として必要な“時間のかかる投資”を削る誘惑にも強い。

米国政府から見れば、これはこういう話になる。

「5Gという次世代インフラの心臓部を、
“収穫フェーズ特化型”の経営マシンに預けていいのか?」

答えは、ノーだった。

「育成」ではなく「収穫」に最適化する企業への警戒

ここで勘違いしてはいけないのは、
これは「Broadcomは悪い会社だから」という話ではない、という点だ。

Broadcomは、成熟したインフラを最大効率で運営する能力において、ほぼ無敵に近い。
だが、Qualcommは当時まだ、
「標準化競争の最前線で殴り合っている研究開発エンジン」でもあった。

この二つは、フェーズが違う。

  • Broadcomは「刈り取るのが上手い会社」
  • Qualcommは「まだ畑を広げ続ける役割を背負っている会社」

米国政府は、この役割の不一致を、安全保障リスクとして認識した。

もしQualcommがBroadcomの傘下に入り、
研究開発のテンポが落ち、標準化競争で主導権を失えば、
その空白を埋めるのはどこか。
当時の国際情勢を考えれば、その答えは誰の目にも明らかだった。

経済安全保障とは「未来の競争力」を守ること

この買収阻止は、「市場の自由」を重んじるアメリカにしては、かなり踏み込んだ介入だった。
だが、それは同時に、経済安全保障という概念が“単なる資本の話ではなくなった”瞬間でもあった。

重要なのは、
守ろうとしたのが「今の利益」ではなく、「10年後、20年後の技術主導権」だったことだ。

そして皮肉なことに、
この判断の妥当性は、後にBroadcomがVMwareに対して何をしたかを見ると、よりはっきりしてくる。

もしQualcommがあの手法で“最適化”されていたら?
もし5Gの心臓部が「収益最大化装置」に組み替えられていたら?

それは、企業の株価にとっては正解でも、
国家の技術戦略にとっては、かなり危うい賭けだったはずだ。

次の章では、その「答え合わせ」とも言える事例、
VMwareがBroadcomに買収されて何が起きたのかを見ていく。
ここで、この会社の“本性”は、さらに露骨な形で現れる。

第3章:VMwareが示したBroadcomの本性

Qualcomm買収が止められた理由は、「そうなってはいけない未来」を恐れたからだった。
では実際に、Broadcomが巨大なインフラ企業を手に入れたら、何が起きるのか。

その実例が、VMwareだ。

VMwareは長年、仮想化という分野で事実上の標準だった。
データセンターの足回りを支える基盤ソフトとして、数えきれない企業のシステムに深く入り込み、“一度入れたら簡単には抜けない存在”になっていた。

Broadcomがこの会社を買ったとき、市場はこう見ていた。
「半導体の景気循環をならすために、安定収益のソフトを手に入れたのだろう」と。

それは半分正しい。
だが、起きたことは単なる“ポートフォリオの多角化”ではなかった。

ライセンス改変と顧客選別という“収益最大化ムーブ”

買収後、まず大きく変わったのがライセンスと販売モデルだった。

永続ライセンスは事実上終わり、サブスクリプション前提へ。
製品はバンドルされ、シンプルになった代わりに、価格は大きく跳ね上がった
さらに、サポートする顧客層も絞り込まれ、中小規模のユーザーは事実上「お客ではなくなった」。

これは混乱ではない。
事故でもない。
極めて意図的な“収益構造の作り替え”だった。

Broadcomは、VMwareを「たくさんの企業に広く使われる基盤ソフト」から、
「大企業が高い金を払って使い続けるインフラ課金装置」へと変換した。

第1章で触れた、この会社の性格が、そのまま実行に移された形だ。

プロダクトは壊さず、エコシステムを焼き畑する手法

重要なのは、BroadcomがVMwareの技術そのものを壊したわけではない、という点だ。
機能は残っている。品質も維持されている。

壊したのは、エコシステムの“広がり”のほうだ。

  • 「誰でも使える標準」から
  • 「選ばれた大口顧客のための高級インフラ」へ

この変換は、プロダクトの中身をいじらなくても実現できる。
価格と契約とサポート範囲を変えればいい。

結果として何が起きたか。

現場では不満と困惑が広がり、
代替製品への移行を検討する動きが一気に加速した。
一方で、Broadcomの決算には、より美しい利益率が積み上がっていく。

これは偶然ではない。
Broadcomは、“広く薄く”より“狭く深く”のほうが、はるかに効率が良いことを知っている。

なぜ投資家は評価し、現場は悲鳴を上げるのか

ここに、VMware買収をめぐる評価の分裂がある。

投資家から見れば、

  • 収益は予測しやすくなり
  • 利益率は改善し
  • 事業ポートフォリオはより“美しく”なった

つまり、模範的な資本効率改善だ。

一方、現場から見れば、

  • 価格は上がり
  • 選択肢は減り
  • 「事実上の標準」という安心感は崩れた

つまり、生態系の終わりに近い。

どちらが正しい、という話ではない。
これは、フェーズの違いだ。

Broadcomは、VMwareを「育てるフェーズの企業」として扱っていない。
すでに成熟し、刈り取りに入るフェーズの資産として扱っている。

そして、その判断は、彼らの流儀からすれば一貫している。

「もしQualcommがこうなっていたら」という仮想歴史

ここで、話は第2章に戻る。

もし、QualcommがBroadcomに買収されていたら?
もし、5Gの心臓部を担う企業が、VMwareと同じロジックで“最適化”されていたら?

  • 研究開発は「コスト」として圧縮され
  • 標準化競争は「リターンの薄い活動」として優先度が下がり
  • 短期・中期で収益が見える分野に資源が寄る

企業価値は、たぶん上がっただろう。
株価も、きっと喜んだはずだ。

だが、国家としての技術主導権はどうなっていただろうか。

VMwareの事例は、Qualcomm買収阻止が「過剰反応」ではなかったことを、むしろ裏側から証明している。
あれは、“こういう会社に、この資産を預けると、こうなる”という未来予測を避けるための判断だった、と見ることもできる。

VMwareは、Broadcomの“本性”を隠さずに示した。
それは冷酷だが、同時に非常に合理的で、そして一貫している。

次の章では、少し視点を変えて、
Broadcomの本業――カスタムASIC屋としての顔を掘り下げる。
ここを理解すると、この会社がなぜAI時代にこれほど“居心地のいい場所”にいるのかが、もっとはっきり見えてくる。

第4章:Broadcomの本業は「カスタムASIC屋」である

VMwareの件で見えたのは、Broadcomの経営スタイルだった。
だが、そもそもこの会社はどんな技術で飯を食ってきたのか。ここを押さえないと、AI時代の立ち位置も、TPUやOpenAIの話も、ただのニュースの羅列になってしまう。

結論から言うと、Broadcomの本業は昔から一貫している。
「顧客仕様をそのままシリコンにする会社」、つまりカスタムASIC屋だ。

NICとスイッチは、もともと“顧客仕様書の塊”だった

ネットワークの世界を少しでもかじったことがある人なら分かるはずだ。
NICやスイッチのチップは、CPUやGPUのような“汎用演算器”とは性格がまるで違う。

  • 帯域はいくつ必要か
  • レイテンシはどこまで削るか
  • バッファはどの段にどれだけ積むか
  • どのプロトコルをハードで落とすか
  • どこまでオフロードするか

これらはすべて、運用する側の都合で決まる
つまり、仕様書そのものが“設計の本体”で、チップはその写像に近い。

Broadcomは、この世界で長年やってきた。
クラウド事業者、通信事業者、ストレージベンダー。それぞれの「うちの都合」を、量産できるシリコンに落とす。派手さはないが、逃げ場のない仕事だ。

ここで培われたのは、最先端プロセス競争の筋力ではない。
顧客の要求を、現実の回路に落とし込み、安定して量産する実装力だ。

Google TPUの“黒子”というポジション

この文脈で見ると、GoogleのTPUにBroadcomが関わっている、という話は少しも不思議ではない。

TPUは「Googleが設計したAIアクセラレータ」だ。
だが、設計思想を量産できるシリコンにするのは、別の能力が要る。

  • 歩留まり
  • 電力と熱
  • パッケージング
  • インターフェース
  • 量産体制

ここは、研究者よりもインフラ屋の世界だ。

Broadcomは、ここで“前に出ない”。
「TPUはうちのチップです」とは言わない。
その代わり、確実に動くものを、必要な量、必要な品質で届ける

この“黒子”のポジションこそ、Broadcomの最も居心地のいい場所だ。

汎用GPUと正面衝突しない賢い戦い方

NVIDIAは、汎用GPUという“開発者のための計算機”で覇権を築いた。
Broadcomは、その土俵には乗らない。

彼らが狙うのは、

  • 特定のワークロード
  • 特定の運用条件
  • 特定の顧客

最適化された専用シリコンだ。

汎用性は捨てる。
その代わり、効率と制御性とコスト構造を取りに行く。

これは、ビジネスとしても非常に美味しい。
なぜなら、比較対象が“市販GPUの価格表”ではなく、“顧客のインフラコスト全体”になるからだ。

「このチップにすると、電力とラックとネットワーク構成がこう変わって、全体でこれだけ得になります」
この話ができる瞬間、値付けの主導権は完全に握れる。

「売らないチップ」で稼ぐという逆説

BroadcomのカスタムASICは、多くの場合、市場には出てこない
Amazonのカタログにも、代理店の見積にも載らない。

それでも、いや、それだからこそ、強い。

  • 価格比較されない
  • 代替品が存在しない
  • 顧客のインフラ設計に組み込まれる
  • 抜けるときのコストが非常に高い

これは、第1章で触れた「一度入ったら抜けない場所」を、ハードウェア側から作るという話でもある。

ソフトではVMware、
ハードではカスタムASIC。

Broadcomは、両側から“逃げ場のない場所”を作るのがうまい会社だ。

この視点で見ると、次に出てくる
「AI時代にBroadcomがどこを押さえに行くか」
という話は、かなり分かりやすくなる。

彼らはGPUを倒しに行くわけではない。
AI工場の“床下と配管”を、専用シリコンで押さえに行く

次の章では、そのAI時代の立ち回り――
GPUではなく“床下”を取りに行く戦略を、もう少し具体的に掘り下げよう。

第5章:AI時代の立ち回り ─ GPUではなく“床下”を押さえる

AI時代と聞くと、どうしても視線はGPUに集まる。
実際、計算能力の塊としてのGPUがこの産業を引っ張ってきたのは事実だし、NVIDIAが主役であることも揺るがない。

だが、AIが「研究室の実験」から「産業インフラ」へと変わるにつれて、ボトルネックの位置は少しずつズレていく。

計算そのものよりも、
データをどう運び、どう詰め込み、どうさばくか
つまり、工場で言えば“床下の配管と搬送ライン”の話になってくる。

Broadcomは、最初からそこにいる会社だ。

AIデータセンターは「計算」より「搬送」がボトルネックになる

巨大なAIクラスタを想像してみるといい。
ラックに並ぶアクセラレータ、何万枚ものカード、何十万本ものリンク。

ここで問題になるのは、単体のチップが何TFLOPS出るか、ではない。

  • GPU間をどうつなぐか
  • メモリとどう行き来するか
  • ノード間の通信遅延をどう隠すか
  • 帯域が詰まったとき、どこで渋滞するか

これらはすべて、ネットワークとI/Oとデータ配置の問題だ。

AIが小規模なうちは、「とにかく速いGPUを積めばいい」で済む。
だが規模が指数関数的に大きくなると、工場全体の流れ設計が支配的になる。

ここで必要になるのが、

  • スイッチ
  • NIC
  • 光インターコネクト
  • メモリ階層とI/Oの設計

という、まさにBroadcomの守備範囲だ。

ネットワーク・I/O・メモリ階層という“血管系ビジネス”

AIデータセンターを人体にたとえるなら、
GPUは筋肉で、Broadcomの世界は血管と神経に近い。

血管が詰まれば、筋肉はいくら強くても動かない。
神経の伝達が遅ければ、反応は鈍る。

Broadcomは、長年この“血管系”を売ってきた会社だ。

  • スイッチASICでトラフィックをさばく
  • NICで計算ノードとネットワークをつなぐ
  • I/OとオフロードでCPUやGPUの負担を減らす

AI時代になっても、やっていることの本質は変わらない。
ただし、規模と金額の桁が一気に跳ね上がっただけだ。

そして重要なのは、ここが置き換えにくい場所だということ。
ネットワーク設計は、後から気軽に変えられない。
一度決めたら、数年単位で引きずる。

つまり、ここを押さえたベンダーは、
“AI工場の構造そのもの”に入り込むことになる。

OpenAIとのカスタムアクセラレータ構想の意味

ここで出てくるのが、OpenAIとBroadcomのカスタムチップの話だ。

これは、「NVIDIAを倒すためのチップを作る」という物語ではない。
むしろ、

「自分たちの運用に最適化した、専用の部品を工場の一部として組み込みたい」

という発想に近い。

とくに推論(inference)の世界では、

  • 汎用GPUほどの柔軟性はいらない
  • その代わり、電力効率とコストと配置密度が効く
  • ワークロードはかなり固定化できる

こうなると、専用シリコンを作る合理性が一気に高まる。

Broadcomは、ここで「黒子の量産パートナー」になる。
設計思想は顧客側、だが現実の工場に流し込める形にするのはBroadcom、という役割分担だ。

これは、第4章で見たカスタムASICの延長線上に、そのまま乗っている。

推論最適化時代に“専用シリコン”が増殖する理由

学習(トレーニング)は、まだまだ汎用GPUが強い。
だが、サービスとしてAIを回す世界では、コスト構造が支配的になる。

  • 1リクエストあたり何円か
  • 1ラックあたり何ユーザーさばけるか
  • 電力と冷却にいくらかかるか

この最適化は、汎用性を削ってでもやる価値がある領域だ。

つまり、これから増えるのは、

  • 「万能だけど高い計算機」ではなく
  • 「用途は限られるが、圧倒的に効率のいい部品」

だ。

Broadcomは、その部品を作る文化と実績を、すでに持っている。

だからこの会社は、AI時代において
主役を張らずに、構造の一部として入り込み続けることができる。

GPUの王様にはならない。
その代わり、AI工場の配管と床下を押さえる大家になる。

次の章では、ここまでの話を「数字の正体」という観点から見ていく。
なぜBroadcomの利益率は、半導体企業のものとは思えない形になるのか。
そこには、ハードとソフトを組み合わせた、かなり歪で、かなり強力な収益構造がある。

第6章:なぜBroadcomの利益率は異常になるのか

Broadcomの決算を初めて見た人は、だいたい同じ反応をする。
「これ、本当に半導体会社の数字か?」と。

粗利率、営業利益率、どれを見ても、装置産業の匂いがしない。
むしろ、SaaS企業かインフラ課金ビジネスの数字に近い。

だが、これは会計マジックでも、偶然の産物でもない。
意図して作られた収益構造の結果だ。

ハードの景気循環 × ソフトのサブスク固定収益

半導体ビジネスは、本来とても景気循環が激しい。

  • 市況がいいときは設備投資が一気に走る
  • 悪くなると、在庫調整で急ブレーキがかかる
  • 売上も利益も、波打つのが普通

Broadcomも、昔はこの波をもろに被る側だった。

そこに持ち込まれたのが、インフラソフトという“重り”だ。
VMwareに代表されるソフト事業は、

  • サブスクリプションと保守が中心
  • 一度入ると簡単には抜けない
  • 売上の予測可能性が極端に高い

つまり、半導体の荒波の上に、重たい錨を下ろしたような構造になる。

景気がいいときは、ハードもソフトも伸びる。
悪いときでも、ソフトの収益はそこまで落ちない。

結果として、企業全体の利益率は“削れにくい形”に固定化されていく。

「一度入ったら抜けない」インフラ課金モデル

ここで効いてくるのが、これまで何度も出てきたキーワード、
「一度入ったら抜けない場所」だ。

  • データセンターのネットワーク構成
  • ストレージのI/Oパス
  • 仮想化基盤とその運用
  • カスタムASICが前提のインフラ設計

これらは、後から簡単に入れ替えられない。

だから価格決定の基準は、
「競合製品はいくらか」ではなく、
「これを入れ替えるコストはいくらか」に寄っていく。

この瞬間、ビジネスは製品売りから構造課金に変わる。

Broadcomは、この“構造に課金する”ポジションを、
ハードとソフトの両側から取りに行っている。

SaaS企業の皮をかぶった半導体会社、という歪んだ構図

結果として生まれるのが、少し歪な会社像だ。

  • 売っているものは、半分はシリコン
  • もう半分は、インフラソフト
  • だが、利益の質はSaaSに近い

だから、財務諸表の顔つきも、半導体企業っぽくなくなる。

  • 利益率が高い
  • キャッシュフローが安定する
  • 市況の悪化に対する耐性が強く見える

投資家が「これはもう半導体の文脈で評価する会社じゃない」と考え始めるのも、自然な流れだ。

株価が“半導体の文脈”で説明できなくなった瞬間

ここで、最近の株価の動きに話がつながる。

もしBroadcomが、
「景気循環の波をもろに受ける純粋な半導体会社」
のままだったら、今の評価はつかなかったはずだ。

だが実際には、

  • ハードでAIインフラの構造を押さえ
  • ソフトで運用と契約を押さえ
  • その両方が「抜けにくい場所」に組み込まれている

この構造は、インフラ課金ビジネスに近い。

つまり市場は、Broadcomを
「シリコンを作る会社」ではなく、
「AI時代のインフラから通行料を取る会社」
として再評価し始めている。

利益率が“異常”に見えるのは、
この会社が、もはや半導体企業の皮をかぶったインフラ企業になっているからだ。

次の章では、この強さをもう少し技術寄りの視点から整理する。
Broadcomのアドバンテージは、プロセスの最先端でも、演算性能の誇示でもない。
「設計と実装と運用をつなぐ場所に立てること」、その構造的な強さにある。

第7章:技術的アドバンテージはどこにあるのか

Broadcomの強さは、スペック表では測りにくい。
最先端プロセスで何ナノに行ったとか、ベンチマークで何点出たとか、そういう話題の中心にこの会社の名前が躍ることは、あまりない。

だが、データセンターの設計図を思い浮かべると、話は変わる。
そこには必ず、ネットワーク、I/O、スイッチ、専用ロジック、運用レイヤがあり、“構造としての技術”が支配している領域がある。

Broadcomは、ずっとそこにいる。

最先端プロセス競争ではなく「設計最適化の現場力」

NVIDIAやAppleのような企業は、プロセス世代の更新とともに、性能の天井を押し上げていく。
Broadcomは、そのレースの観客席にいる。

彼らの戦場は、別の場所だ。

  • このワークロードは、どこで詰まるのか
  • どこをハードで落とせば、全体が一番軽くなるのか
  • メモリとI/Oの配置をどう切れば、ラック全体の効率が上がるのか
  • ネットワークのトポロジーとバッファ設計をどう組み替えるか

こういう“地味だが効く最適化”の積み重ねが、Broadcomの技術だ。

言い換えると、
彼らは「1チップの性能」を売っているのではない。
「システム全体の無駄を削る設計力」を売っている。

これは、プロセスが1世代進んだら終わり、という話ではない。
インフラが存在する限り続く仕事だ。

巨大顧客とすり合わせる“実装力”という武器

Broadcomの顧客は、だいたい規模がおかしい。

  • ハイパースケーラー
  • 大手通信事業者
  • 世界中にデータセンターを持つ企業

こういう相手は、「カタログ品を買って終わり」では済まない。
設計の初期段階から、運用前提でのすり合わせが始まる。

  • この構成で本当に回るか
  • 障害時にどこが詰まるか
  • 何年運用して、どこが限界になるか

こうした話を、設計段階で織り込んでしまうのが、Broadcomのやり方だ。

その結果できあがるのは、「そこにしか合わない部品」。
そしてそれは、そこにしか使えないが、そこでは最適という、最も置き換えにくい存在になる。

これは技術というより、工学と運用の境界領域の職人芸に近い。

ハードと運用(VMware)を束ねられるポジション

ここに、VMwareというピースが加わった意味が出てくる。

これまでは、

  • ハードはハードの最適化
  • 運用は運用の最適化

という分業だった。

Broadcomは今、
「このハード構成なら、運用はこう組むべきだ」
という話まで、同じ企業の中で描ける位置にいる。

これは地味だが、とても強い。

なぜなら、データセンターの現実は、

ハードだけ良くてもダメ
ソフトだけ良くてもダメ
両方の“噛み合わせ”が悪いと、全部ダメ

だからだ。

Broadcomは、その“噛み合わせ”を、
設計段階から握れる側に回った。

「性能」より「構造」を売る会社の強さ

ここまで来ると、この会社の技術観ははっきりする。

Broadcomは、

  • 世界最速のチップ
  • 世界最高の演算性能

を売りたい会社ではない。

彼らが売っているのは、

  • 逃げ場のない場所に組み込まれる構造
  • 入れ替えが高コストになる設計
  • 運用と一体化したインフラの骨格

つまり、“構造そのもの”だ。

構造を売る会社は、強い。
なぜなら、顧客は製品ではなく、前提条件を買ってしまうからだ。

GPUは、次の世代に乗り換えられる。
だが、ネットワーク構成や運用基盤や専用シリコン前提の設計は、簡単には引き剥がせない

Broadcomの技術的アドバンテージは、ここにある。
派手さはないが、時間が経つほど効いてくる種類の強さだ。

次の章では、この会社の“危うさ”にも目を向ける。
ここまで強い構造を持つ一方で、Broadcomは
集中リスク、政治リスク、技術トレンドの転換リスクから逃れられない。

第8章:リスクと限界 ─ 強すぎるがゆえの不安定さ

ここまで見てきた通り、Broadcomは
構造のど真ん中を押さえることで、非常に強いポジションを築いている。

だが、この強さは同時に、逃げにくさでもある。
構造に深く入り込むビジネスは、環境が変わったときの揺れもまた大きい。

Broadcomのリスクは、「競合に負ける」よりも、
時代の力学が変わったときに、構造ごと揺さぶられるタイプのものだ。

大口顧客依存という構造リスク

カスタムASIC、ネットワーク、インフラソフト。
これらの顧客は、だいたい顔ぶれが決まっている。

  • ハイパースケーラー
  • 大手通信事業者
  • 超大規模エンタープライズ

つまり、一社あたりの影響がとても大きい

もし、

  • ある大手顧客が内製化に舵を切ったら
  • 別の設計思想へ大きくシフトしたら
  • 調達戦略を変えたら

その影響は、売上の“点”ではなく、構造の“面”で効いてくる

これは、量販向けチップのように
「別の顧客で埋め合わせる」
という逃げ方がしにくい世界だ。

カスタムで深く入り込むほど、
顧客集中リスクもまた、深くなる

規制・地政学に巻き込まれやすい立場

第2章で見たQualcommの件は、偶然ではない。

Broadcomは、

  • 通信
  • データセンター
  • 仮想化基盤
  • AIインフラの中枢

という、国家にとって“触りたくなる場所”に事業を持っている。

これは裏を返せば、

  • 買収
  • 事業再編
  • 顧客関係
  • サプライチェーン

のあらゆるところで、政治と安全保障の文脈が入り込む余地がある、ということだ。

Qualcommは止められた。
今後も、似た構図の話が出てきても不思議ではない。

構造を押さえるビジネスは、
市場だけでなく、国家からも見られる位置に立ってしまう。

VMware路線が生む“静かな離反”の可能性

VMwareの件で、Broadcomは収益構造を美しく作り替えた。
だがその一方で、現場には確実に、「別の選択肢を探そう」という動きが生まれている。

  • すぐに全面移行はできない
  • だが、新規案件では別を検討する
  • 次の更新タイミングで、少しずつ外す

こういう動きは、決算にはすぐ表れない
だが、数年単位で見ると、じわじわ効いてくる。

インフラビジネスの怖さは、
「壊れるときは音を立てない」ことだ。

今日は盤石に見えても、
気づいたときには次の標準が別の場所に育っている、ということが起きる。

技術トレンドの転換で“床下”の場所が変わるリスク

Broadcomは、常に「床下」を押さえてきた。
だが、その床下の位置そのものが変わる可能性は、常にある。

たとえば、

  • ネットワークの構成思想が変わる
  • メモリ階層のあり方が変わる
  • アクセラレータとCPUの関係が変わる
  • データセンターの形そのものが変わる

こうした変化が起きたとき、
これまで“逃げ場のない場所”だったポジションが、急に相対化されることもありうる。

Broadcomは、これまで何度もポートフォリオを組み替えて生き延びてきた。
だが、その柔軟性が常に通用する保証はない。

構造に深く入り込む会社ほど、
構造転換の衝撃もまた、深く受ける

終章:BroadcomはAI時代の何者になるのか

ここまで見てきたように、Broadcomは一度も「時代の主役」を演じてきた会社ではない。
GPUの王様でもなければ、開発者コミュニティの偶像でもない。
だが、AIが産業として根を張るほど、この会社の居場所はむしろ目立たなく、しかし動かしがたい場所になっていく。

イノベーターではなく“インフラ徴税官”という役割

Broadcomは、イノベーションを生む会社ではない。
その代わり、イノベーションが社会に組み込まれた瞬間に、必ず通る場所に立つ会社だ。

ネットワーク、I/O、スイッチ、専用シリコン、運用基盤。
どれも、サービスの表側からは見えない。
だが、そこを通らずに大規模システムは動かない。

このポジションに立つ企業は、製品を売っているようで、実際には構造に課金している。
それは税金のようなものだ。
払いたくなくても、通らなければ先に進めない。

BroadcomがAI時代に取りに来ているのは、まさにこの“インフラ税”だ。

NVIDIAとは別の軸で支配力を強める企業

NVIDIAは、開発者と計算資源の覇権を握った。
Broadcomは、その計算資源が工場として運用される段階で、支配力を持つ。

  • NVIDIAは「何が計算できるか」を支配する
  • Broadcomは「どうやってそれを回すか」を支配する

この二つは競合ではない。
むしろ、産業が成熟するほど両方が必要になる関係だ。

だが、評価のされ方は大きく違う。
NVIDIAはヒーローになる。
Broadcomは、請求書を送る側になる。

どちらが強いか、という話ではない。
強さの質が違う、という話だ。

AIが社会に溶けるほど、目立たず強くなる存在

AIが特別な技術であるうちは、主役はGPUだ。
だが、AIが電気や水道のように「使っていて当たり前」の存在になったとき、
価値を持つのは止めずに回し続ける仕組みになる。

そのとき評価されるのは、

  • 何が速いか
    ではなく
  • 何が壊れず、何が抜けられず、何が置き換えにくいか

Broadcomは、その条件を満たす場所を、
ハードとソフトの両側から押さえに行っている。

派手さはない。
だが、時間が経つほど効いてくる種類の支配力だ。

「派手ではないが、一番いやらしい勝ち方をする会社」

ここまでの話を、少し乱暴に一文で言うなら、こうなる。

Broadcomは、
時代の勝者が作ったインフラから、黙って通行料を取り続ける会社だ。

Qualcommが止められた理由も、
VMwareがああなった理由も、
TPUやカスタムAIチップで黒子に回る理由も、
すべてこの性格で説明がつく。

この会社は、夢を語らない。
代わりに、夢がインフラになった瞬間を待っている

そして、その瞬間が来たとき、
一番いい場所に立って、
一番静かに、
一番確実に、
お金を取りに行く。

AI時代にBroadcomが強い理由は、革新性ではない。
変化を、構造に変換し、構造から収益を抜き続ける能力が、異常なまでに高いからだ。

派手ではない。
だが、たぶん――
一番いやらしく、そして一番長く勝ち続けるタイプの会社である。

参照

Broadcom 2025年度決算(公式 IR)

Broadcom Inc. Announces Fourth Quarter and Fiscal Year 2025 Financial Results
👉 https://investors.broadcom.com/news-releases/news-release-details/broadcom-inc-announces-fourth-quarter-and-fiscal-year-2025

Broadcom Investor Relations – Quarterly Results

Quarterly Results – Broadcom Investor Relations
👉 https://investors.broadcom.com/financial-information/quarterly-results

OpenAI × Broadcom 戦略協業(公式/Broadcom側プレス)

OpenAI and Broadcom announce strategic collaboration to deploy 10 GW of AI accelerators
👉 https://investors.broadcom.com/news-releases/news-release-details/openai-and-broadcom-announce-strategic-collaboration-deploy-10

Reuters:OpenAI と Broadcom のカスタムAIチップ報道

OpenAI taps Broadcom to build its first AI processor
👉 https://www.reuters.com/business/openai-taps-broadcom-build-its-first-ai-processor-latest-chip-deal-2025-10-13/

Broadcom – Wikipedia(M&A・VMware)

Broadcom – Wikipedia
👉 https://en.wikipedia.org/wiki/Broadcom

TPU「Ironwood」 の一般提供開始と推論時代を支える新しい Axion VM を発表 | Google Cloud 公式ブログ
Google Cloud のコンピューティング製品群に、Ironwood TPU および Axionベース の N4A 仮想マシンと C4A ベアメタルが新たに追加されました。