n8nが新しく発表した Chat Hub は、正直いって「ちょっとした機能追加」のレベルを超えている。
これは、n8nを 自動化エンジンの裏方 から 社内AI活用の“正面玄関” に引き上げる一手だ。

これまでのn8nは、Zapier代替や業務自動化のハブとして、エンジニアや情シス寄りの道具だった。
ノードをつなぎ、APIを叩き、データを流す。強力だけど、使う人は限られる。
一方で現場では、営業もサポートもマーケも、各自がChatGPTやら何やらを勝手に使い始めている。
いわゆる Shadow AI(野良AI利用) の問題が、どこの会社でも静かに広がっている。
Chat Hubは、その“入口”をまとめに来た。
ユーザー側から見ると、やることはシンプルだ。
ChatGPTのようなUIで「お願い」を投げるだけ。
裏側では、そのリクエストが n8nのワークフロー(Workflow Agent) として実行され、
社内ツールを叩き、DBを更新し、レポートを作り、必要なら外部APIまで連携する。
つまりこれは、
「チャットで指示する」=「業務フローが動く」
という構図を、n8nの上に載せた、という話だ。
重要なのは、これは“AIチャットを付けました”では終わらない点にある。
n8nはもともと、SaaS連携や社内システム連携の資産を山ほど持っている。
そこにChat Hubを置くことで、AIの会話UIと、業務オートメーションが直結 してしまった。
さらに、運営側のメッセージはかなり露骨だ。
認証情報、使っていいモデル、誰がどのワークフローを叩けるか。
それを 中央集権的に管理したい。
要するに、「勝手にAI使うのはやめて、ここを正規ルートにしよう」という宣言でもある。
これはDifyのような「AIアプリ基盤」とも少し立ち位置が違う。
n8nは すでに業務の血管網を握っている。
そこに“会話UI”を被せたことで、n8nは「自動化ツール」から 社内AIポータルの中枢 に一段進化した、と見る方が自然だ。
地味に予告されている MCP対応 も、方向性はかなりはっきりしている。
「AIが道具を使う世界」を、企業の権限管理と監査ログつきで運用する。
これはもう、趣味の自動化ツールの話ではない。
良くも悪くも、n8nはここで一線を越えた。
Zapier代替の便利ツール、というポジションから、
“社内AIの玄関口”を取りに行くプロダクト に化けた、というのが率直な印象だ。
派手なバズはしないかもしれない。
でも、これが静かに効いてくるタイプのアップデートなのは、たぶん間違いない。



