Single HTMLで、グラディウス風STGを作りたい。
そんな無茶振りから始まった、GPT-5.5とCodexによる小さな実験。
完成した「Gemesis」は、単なるゲーム生成を超え、“あの時代の空気”そのものを呼び起こしてしまった。
導入|「グラディウスもどき」は、ずっと夢だった
実は、横スクロールシューティングゲームの金字塔、コナミの不朽の名作「グラディウス」風ゲームをAIに作らせる試みは、GPT-3時代から何度も繰り返してきた。
しかし、毎回どこか違った。
動く。
撃てる。
敵も出る。
だが、“空気”がない。
OPTIONの気持ちよさ。
レーザーの鋭さ。
地上面の圧迫感。
あの独特な「横STG感」が、どうしても出なかった。
GPT-5が登場した時も、「これはイケるか?」と思った。
しかし、まだゲーム文化への理解が浅かった。
そして今回。
GPT-5.5 + Codex に対し、
「Single HTMLで、グラディウス風STGを作りたい」
という、ある意味かなり無茶な要求を投げてみた。
結果から言えば――
これは、これまでとは明らかに違っていた。
第1章|Single HTMLで始まった、小さな無茶振り
今回の条件は、かなり厳しめだった。
- Single HTML
- HTML/CSS/JavaScriptのみ
- 外部ライブラリなし
- Canvas 2D
- 画像素材なし
- SVG風図形描画
- Gamepad対応
- WebAudio対応
しかも、最終的には、
- OPTION
- LASER
- MISSILE
- 地上面
- BOSS
- WARNING演出
- パワーアップゲージ
まで実装する前提である。
しかし今振り返ると、成功要因は最初に「現実的な制約」を置いたことだったと思う。
FullHDでもない。
3Dでもない。
WebGPUでもない。
960×540という、実に“ちょうどいい”解像度。
const CONFIG = {
width: 960,
height: 540,
この割り切りが、結果的に終始ぬるぬる動作する軽快さへ繋がった。
第2章|恐ろしかったのは、“初版V1が完全に動いた”こと
そして、今回もっとも衝撃だったのはここだ。
初版V1が、ほぼ完全動作していた。
宇宙面。
地上面。
BOSS戦。
パワーアップ。
OPTION追従。
SE。
フルスクリーン。
Gamepad。
それらが、最初から“繋がっていた”。
単に部品が存在するのではない。
宇宙面から地上面へ移行し、200体撃破後にWARNING演出を挟み、BOSS戦へ突入する流れが、驚くほど自然だった。
しかも、SEまで鳴る。
Web Audio APIによる簡易生成音ながら、ちゃんと“レトロアーケード感”がある。
正直、ここまで来るとは思っていなかった。
ゲーム画面のキャプチャ






まずは、1度プレイしてみて欲しい。
ゲームパッドは必須。キーボード操作はかなりキツイ…。
▶ プレイする
第3章|AIは、ついに“ゲーム文化”を理解し始めた
今回、最も驚いたのはコード量ではない。
文化理解だ。
例えば、地上砲台。
これは単なる「SF風タレット」ではない。
どう見ても、
“80年代日本横STGの砲台”
なのである。
OPTIONもそうだ。
ただ追従するだけではない。
最終的には、
- 自機停止時に収束しない
- 一定間隔を保つ
- 隊列感を維持する
という、あの独特な「オプションぐるぐる感」まで再現されていった。
レーザーも同じ。
最初は太すぎた。
こちらが、
「もっと細く」
「もっと長く」
「貫通兵器らしく」
と調整を依頼すると、Codexは違和感なく修正していく。
このあたりで、はっきり気付いた。
AIは単にコードを書いているのではない。
“横STGの身体感覚”を理解し始めている。
第4章|ゲーム開発ではなく、“脳汁の調整”が始まった
途中から、会話は完全にゲームバランス調整になっていた。
- LEVEL1では背後撃ち禁止
- ミサイルは雑魚即死
- 3WAY時は弾数制限3倍
- LASERを30%細く
- OPTION収束禁止
- パワーカプセル出現率20%増加
などなど。
つまり、
「ゲームを作る」
ではなく、
「記憶の中のグラディウス感を言語化する」作業
になっていたのである。
特に面白かったのは、このあたりのパラメータだ。
optionSpacing: 46,
trailStep: 7,
maxShotsPerOrigin: 5,
maxMissilesPerOrigin: 1,
ここには、
“横STGを遊んだ人間の感覚”
そのものが埋め込まれている。
第5章|妥協は、山ほどあった
もちろん、妥協は大量にある。
- BGM
- モアイ面
- 地形衝突
- ビッグコア感
- 面数
- 敵バリエーション
- 縦スクロール演出
本家アーケード版の圧倒的な完成度には、到底及ばない。
だが、それでも十分だった。
レーザーを撃ち、
OPTIONを引き連れ、
地上砲台をミサイルで破壊する。
その瞬間、
「ああ、これはグラディウスだ」
と思えてしまった。
そこが重要だった。
第6章|X68000と、YM2151の時代
X68000。
YM2151 + PSG。
当時のパソコン少年の憧れだった。
初期型はバブルメモリ搭載で、起動チェックで止まっている画面を何度も見た記憶がある。
今思えば、現代の弾幕STGとは比べものにならないほど長閑なゲームだった。
それでも、あの時代には確かに“未来”があった。
塾へ行く前。
50円玉を握りしめ、ゲームセンターへ向かい、グラディウスをプレイした記憶。
今回、Codexと一緒にゲームを作りながら、不思議なくらい鮮明にそれを思い出した。
終章|AIは、ついに“あの時代の空気”を再構築し始めた
GPT-5の頃にも、「そろそろイケるか?」と思った。
だが、まだ届かなかった。
今回、GPT-5.5は一気にそこを越えてきた。
特に驚いたのは、
- 砲台の描き込み
- OPTIONの間隔
- LASERの存在感
- 地上面の空気
である。
あれは、グラディウスという文化を知らずに出せるものではない。
AIは、ついにコード生成だけではなく、
“ゲーム文化の記憶”
そのものを再構築し始めたのだと思う。
かつてアーケードゲームに夢中になった御仁には、是非、自分の心の中に残っている名作ゲームを、Codexと一緒に再構築してみてほしい。
驚くほど鮮明に、
あの時代の記憶が蘇るはずだ。


