Frigate NVR はGPUなしで使えるのか ─ 低スペックCPUでのAI監視カメラ実測レビュー

Frigate NVR はGPUなしで使えるのか ─ 低スペックCPUでのAI監視カメラ実測レビューはオンボロサーバーでも使えるのか ─ Pentium G4560でAI監視カメラ(NVR)を実戦検証 HowTo

GPUなし・オンボロCPUでもAI監視カメラは成立するのか?

AI監視カメラ「Frigate」はGPU前提だと思っていた。
だが、手元のオンボロサーバー(Pentium G4560)でも動くのか試してみた。

結論から言うと、

重い。でも、使える。
ただし——カメラは1台が限界だ。

では実際にどこまで使えるのか。
検証結果をそのまま出す。

  1. Frigate NVRとは何か
  2. 今回の検証環境
  3. 導入でハマったポイント
    1. ■ TrueNAS App の初期設定で押さえるポイント
    2. ■ Host Networkは実質必須
    3. ■ カメラ追加はUIではなくyamlが本体
    4. 今回使用した設定(Frigate v0.17.1)
      1. ■ config.yaml(抜粋)
  4. 設定のポイント
    1. 常時録画を完全に無効化
    2. 動体検知だけの録画も無効
    3. 検知対象を限定
    4. イベント録画のみ有効化
    5. 前後5秒を確保
    6. IP固定は“気になる人だけ”
    7. まとめ
  5. 実際に動かした結果
    1. ライブビュー
    2. ■ タイムライン(履歴)
    3. ■ ブラウズ画面(イベント一覧)
    4. ■ 車イベント一覧(フィルタ)
    5. ■ イベント詳細
    6. ■ 設定画面
    7. ■ まとめ
  6. 録画の挙動
    1. 保存ファイルをチェックしてみた
      1. 録画データ
      2. スナップショットデータ
  7. 実用性の評価
    1. ■ 良い点
    2. ■ 厳しい点
    3. ■ よくある勘違い
    4. ■ なぜこうなるのか
    5. ■ 向いている使い方
    6. まとめ
  8. 交通量調査には使うな ─ Frigate最大の落とし穴
    1. ■ Frigate は交通量調査には向かない
    2. ■ イベントが“途切れない”
    3. ■ 容量効率が逆転する
    4. ■ なぜ公式が「家の周り」ばかりなのか
    5. ■ 正しい使い方
    6. ■ まとめ
  9. 最適化の余地
    1. ■ detect解像度を下げる
    2. ■ サブストリームを使う(これが本命)
    3. ■ H.264に変更(できれば)
    4. ■ Coral TPU導入(効果はあるが…)
    5. ■ 公式の前提スペック(ざっくり)
    6. ■ まとめ
  10. コラム:素人お断り ─ 最安GPUと無限の苦労で叶える最適環境
  11. 結論
  12. 後日談

Frigate NVRとは何か

Frigate NVRは、RTSPカメラの映像をリアルタイムで解析し、
「人・車・自転車」といった対象を識別して記録するローカルNVRである。

従来の監視カメラが「動き」をトリガーに録画するのに対し、
Frigateは「何が写っているか」を判断してイベントを切り出す。

つまり、

動体検知ではなく、物体検知。

この違いが、そのまま使い勝手の差になる。

Frigate NVR
NVR with realtime local object detection for IP cameras

さらに重要なのは、クラウドを一切必要としない点だ。

映像はすべてローカルで処理され、外部サービスへの送信は不要。
プライバシー面だけでなく、ランニングコストも発生しない。


そしてもう一つ、見逃せないポイントがある。

Frigateは「サーバーを一から構築するソフト」ではない。
Dockerコンテナとして提供されており、環境さえ整っていればすぐに動く。

特にTrueNAS SCALEでは、Appとして数クリックで起動できる。

従来のNVR構築にありがちな、

  • Linuxセットアップ
  • ffmpeg設定
  • 推論環境の構築

といった面倒な準備を、ほぼすべてスキップできる。


まとめると、Frigateはこういう存在だ。

  • RTSP映像を解析するローカルNVR
  • 「動き」ではなく「意味」で録画する
  • クラウド不要・完全ローカル処理
  • TrueNAS Appで即起動できる実用ツール

「AI監視」を最短距離で実現するソフト

今回の検証環境

今回の検証は、あえて厳しい条件で行った。
いわゆる“オンボロサーバーでどこまで通用するか”を確認するためだ。


■ ハードウェア構成

CPU:Pentium G4560(VM割り当て 2Core)
MEM:ホスト16GB(VM割り当て 4GB)
HDD:1GB x 2
GPU:なし


■ ソフトウェア構成

NVR:App版 Frigate v0.17.01(TrueNAS SCALE ver.25.04.2.6)


■ カメラ構成

カメラ:Wansview Q6(RTSP / ONVIF / Firmware 1.0.0)
解像度:2304×1296(H.265

※RTSPとONVIFが使えるカメラなら、使用できる可能性が高い


ポイントは3つある。

  • GPUなし(純CPU処理)
  • H.265(デコード負荷が高い)
  • フルHD超えの解像度

あえてキツい条件


この状態で、

  • AI検知は成立するのか
  • 録画は実用になるのか

を検証していく。

導入でハマったポイント

監視カメラを扱うNVRでは、Frigateは「簡単に動く」と言われるが、
実際にはいくつか“勘所”がある。

ここを外すと、普通にハマる。


■ TrueNAS App の初期設定で押さえるポイント

まず、Appの設定で重要なのはこの3つ。

  • Image Selector:Normal Image
  • Network:Host Network を有効
  • Shared Memory:64 → 256MiB に変更

特にShared Memoryは見落としやすいが、
ここを増やしておかないと映像処理が不安定になる。


■ Host Networkは実質必須

Bridgeでも動かせなくはないが、
素直にHost Networkにした方がいい。

  • ポート設定で悩まない
  • Frigateのデフォルト挙動に乗れる
  • トラブルシュートが楽

Bridgeでも動かせなくはないが、
素直にHost Networkにした方がいい。

FrigateのWeb UIはデフォルトPort:5000で以下に立つ:

Host Networkにしておけば、このポートにそのままアクセスできる。

【参考】Frigateのデフォルトポート

WebUI 5000
RTSP 8554
WebRTC 8555


■ カメラ追加はUIではなくyamlが本体

ここが最大のハマりポイント。

FrigateにはUIがあるが、
RTSPカメラの追加は基本的にconfig.yamlで行う。

実際に試したが、

UIだけではカメラはまともに動かない

Frigateのカメラ追加UI。このUIから”カメラを追加”しても、Q6では動作させることはできない。
Frigateのカメラ追加UI。このUIから”カメラを追加”しても、Q6では動作させることはできない。
Frigateの設定エディタ。ここでyamlを直接編集しよう。
Frigateの設定エディタ。ここでyamlを直接編集しよう。

文法エラーは保存できない親切設計なので、文法違いで動かなくなる心配はない。

「UIは確認用、設定はyamlが本体」

これがFrigate最大のクセ。


今回使用した設定(Frigate v0.17.1)

今回の検証では、

👉 人・自転車・車が出たときだけ録画する構成

とした。

■ config.yaml(抜粋)

mqtt:
enabled: false

cameras:
wansview:
ffmpeg:
inputs:
- path: rtsp://ユーザー:パスワード@192.168.1.159:554/live/ch0
roles:
- detect
- record

detect:
width: 1280
height: 720
fps: 5

objects:
track:
- person
- bicycle
- car

review:
alerts:
enabled: false
detections:
enabled: true
labels:
- person
- bicycle
- car

record:
enabled: true
continuous:
days: 0
motion:
days: 0
detections:
pre_capture: 5
post_capture: 5
retain:
days: 3
mode: motion

snapshots:
enabled: true
retain:
default: 3

設定のポイント

今回のキモはここ。


常時録画を完全に無効化

continuous:
days: 0

これを切らないと“ただの録画機”になる


動体検知だけの録画も無効

motion:
days: 0

「動き」ではなく「意味」に寄せる


検知対象を限定

objects:
track:
- person
- bicycle
- car

ノイズ削減(ここかなり効く)


イベント録画のみ有効化

record:
detections:

AI検知されたものだけ保存


前後5秒を確保

pre_capture: 5
post_capture: 5

これがあるから“ちゃんと使える動画”になる


IP固定は“気になる人だけ”

Wansview Q6 は IPアドレスを固定できない。

ONVIFを有効にしている場合、
Frigate側で自動検出されるため実用上は問題ない。

もし、

気持ち悪いならDHCP予約で固定で対応しよう。


まとめ

Frigateは確かに“簡単に動く”が、

何も知らずに触ると普通にハマる

  • App設定
  • yaml前提の設計

ここを押さえれば、一気に安定する。

実際に動かした結果

結論から言うと、

普通に動く。ただし軽くはない。


CPU使用率はおおよそ50%前後。
そのうち約40%をFFmpegが占めている。

Fgigateのシステムモニター画面
Fgigateのシステムモニター画面

映像のデコード処理が支配的で、
AI推論そのものよりも負荷が重い印象だ。

「AIが重い」のではなく「映像処理が重い」


ライブビュー

特定カメラのライブ映像は問題なく表示される。

Frigateのライブビューの画面。

画面上部のボタンで、

  • オンデマンド録画
  • スナップショット取得

などの操作も可能。


■ タイムライン(履歴)

ライブビューの履歴を押すと、画面の右側に、
直近の映像イベントがタイムライン表示される。

Frigateのライブビューの履歴画面
Frigateのライブビューの履歴画面

任意の時間にジャンプして再生できるのは便利だが、

正直、この操作はかなり重い。


■ ブラウズ画面(イベント一覧)

検知されたイベントはセグメント単位で一覧表示される。

Frigateのブラウズ画面
Frigateのブラウズ画面

  • 自転車

など、カテゴリ別に整理されている。


■ 車イベント一覧(フィルタ)

特定カテゴリだけを抽出することも可能。

Frigateのイベント(車)一覧画面。認識した車のスナップショットが表示されている。
Frigateのイベント(車)一覧画面。認識した車のスナップショットが表示されている。

通過車両が時系列で並ぶため、 “流れ”が一目でわかる。
カメラの選択、日付の指定、並び替えなどが可能。


■ イベント詳細

Frigateのイベント(車)詳細画面。ここから、イベント発生前後18秒程度が切り出された動画をダウンロード可能。
Frigateのイベント(車)詳細画面。ここから、イベント発生前後数秒程度が切り出された動画をダウンロード可能。

個別イベントを開くと、

  • スナップショット
  • 前後動画(クリップ)

を確認・ダウンロードできる。

追跡オブジェクトの詳細を押すと、対象オブジェクトの認識の軌跡が表示されたりする。

Frigateの追跡オブジェクトの詳細。対象オブジェクトの移動の軌跡のトレースが見られる。
Frigateの追跡オブジェクトの詳細。対象オブジェクトの移動の軌跡のトレースが見られる。

イベント発生前後数秒の動画が自動で切り出される

これが価値。大きなディスク節約になる。


■ 設定画面

設定やログ、外観の変更も可能。

翻訳に多少クセがあるが、日本語にも対応している。


■ まとめ

  • 映像取得:OK
  • AI検知:OK(人・車・自転車)
  • イベント録画:OK(前後数秒)
  • CPU使用率:約50%(うちFFmpeg約40%)

「成立している」が正しい評価

録画の挙動

Frigateは常時録画を前提にしたNVRではない。
今回の構成では、AIが検知したイベント部分だけがクリップとして保存される。

実際に保存されたファイルを見ると、出力はMP4形式で、
1ファイルあたりのサイズはおおむね1MB前後だった。
イベントの長さによっては2〜3MB程度になるものもあるし、
動きの激しさや、昼夜の差も大きい。

春日部の僻地の観測だから、参考までに見て欲しいが、
5時間の運用で生成された総イベント数は約543件。
このペースを24時間換算すると、およそ2600件前後になる。

単純計算では、1日あたりの保存容量は約3GB前後
条件によって増減はあるが、多くても数GB台に収まる印象だ。

一方、同じカメラを元のRTSPストリームのままフル録画した場合は、
5分で約18MBだった。
これを24時間換算すると、約5.18GB/日になる。

イベント録画: 約3GB/日
フル録画  : 約5GB/日

差はあるが、劇的ではない

つまり、容量差だけを見れば圧倒的な差ではない。
むしろ、イベントクリップがMP4で保存されることを考えると、
圧縮効率だけで劇的に得をするとは言いにくい。

それでもFrigateの価値は大きい。

保存された映像は、単なる動画ファイルではなく、

  • 何が写っていたか
  • いつ現れたか
  • どのカテゴリだったか

まで含めて整理される。

車だけ、人だけ、自転車だけを一覧でき、
サムネイルから直接目的のイベントへ飛べる。

つまりFrigateは、
単なる「録画ソフト」ではなく、

意味のある映像だけを索引付きで残す仕組み

なのである。

保存ファイルをチェックしてみた

録画ファイルを確認していて、もう一つ気付いた点がある。
当然だが、Frigateは動画だけでなく、スナップショットやサムネイルも同時に生成している。

実際のディレクトリを確認すると、以下のような構成になっていた。

録画データ

動画データは日ごとに複数フォルダに分けて保存されている。

# pwd
/media/frigate/recordings/2026-04-10/02/wansview
# ls -lsh
total 101M
 733K -rw-r--r-- 1 root root 723K Apr 10 11:00 00.01.mp4
 365K -rw-r--r-- 1 root root 354K Apr 10 11:00 00.10.mp4
 617K -rw-r--r-- 1 root root 605K Apr 10 11:00 00.19.mp4
 581K -rw-r--r-- 1 root root 568K Apr 10 11:00 00.31.mp4
 329K -rw-r--r-- 1 root root 319K Apr 10 11:00 00.40.mp4
 589K -rw-r--r-- 1 root root 580K Apr 10 11:01 00.49.mp4
 521K -rw-r--r-- 1 root root 497K Apr 10 11:01 01.01.mp4
 329K -rw-r--r-- 1 root root 318K Apr 10 11:01 01.10.mp4
 521K -rw-r--r-- 1 root root 505K Apr 10 11:01 01.19.mp4
 477K -rw-r--r-- 1 root root 466K Apr 10 11:01 01.31.mp4
 413K -rw-r--r-- 1 root root 402K Apr 10 11:02 02.01.mp4
 553K -rw-r--r-- 1 root root 544K Apr 10 11:02 02.10.mp4
 993K -rw-r--r-- 1 root root 984K Apr 10 11:02 02.19.mp4
 521K -rw-r--r-- 1 root root 502K Apr 10 11:02 02.31.mp4
 357K -rw-r--r-- 1 root root 348K Apr 10 11:02 02.40.mp4
 369K -rw-r--r-- 1 root root 358K Apr 10 11:03 03.01.mp4
 677K -rw-r--r-- 1 root root 665K Apr 10 11:03 03.10.mp4
 1.1M -rw-r--r-- 1 root root 1.1M Apr 10 11:03 03.19.mp4
 353K -rw-r--r-- 1 root root 344K Apr 10 11:03 03.31.mp4

スナップショットデータ

スナップショットは日ごとにフォルダ分けされていなから、総量は大きく見えている。

# pwd
/media/frigate/clips

total 229M
 512 drwxr-xr-x 2 root root    2 Apr  9 12:32 cache
 512 drwxr-xr-x 2 root root    2 Apr  9 12:32 export
 512 drwxr-xr-x 3 root root    3 Apr  9 12:38 previews
 25K drwxr-xr-x 2 root root  439 Apr 10 12:23 review
 512 drwxr-xr-x 3 root root    3 Apr  9 13:22 thumbs
129K -rw-r--r-- 1 root root 125K Apr  9 13:22 wansview-1775708548.795054-smg9zc-clean.webp
333K -rw-r--r-- 1 root root 323K Apr  9 13:22 wansview-1775708548.795054-smg9zc.jpg
 81K -rw-r--r-- 1 root root  79K Apr  9 13:57 wansview-1775708579.077763-izz5yd-clean.webp
141K -rw-r--r-- 1 root root 130K Apr  9 13:57 wansview-1775708579.077763-izz5yd.jpg
 89K -rw-r--r-- 1 root root  87K Apr  9 13:23 wansview-1775708581.465817-4vur26-clean.webp
149K -rw-r--r-- 1 root root 137K Apr  9 13:23 wansview-1775708581.465817-4vur26.jpg
 89K -rw-r--r-- 1 root root  86K Apr  9 13:23 wansview-1775708622.424094-14fg1e-clean.webp
145K -rw-r--r-- 1 root root 135K Apr  9 13:23 wansview-1775708622.424094-14fg1e.jpg

1イベントあたりの容量は概ね以下の通りだった。

・動画:約600KB
・スナップショット(JPEG+WebP):約200KB

合計すると約800KBとなり、
1200イベントで約1GB/dayに達する。

さらに、previewsやthumbsなどのキャッシュも生成されるため、
実際のストレージ消費はこれよりも多くなる。

Frigateはストレージ効率よりも、UIの応答性を優先した設計となっている。

今回は retention を3日としているため問題はないが、
長期間保存する場合は注意が必要だ。

「動画だけなら軽い」と思っていると、
思わぬところでストレージを食われる。

保存期間を30日以下にする運用ならば、目くじらを立てるほどのものではない

実用性の評価

結論から先に言う。

カメラは1台にしておけ


今回の構成(Pentium G4560 / GPUなし)では、
1カメラ運用でCPU使用率はおおよそ50%前後だった。
そのうち約40%はFFmpegによるデコード処理が占めている。

当然、他のサーバーは同時稼働させてはいない。

つまり、

ほぼ「映像処理でCPUが埋まっている」状態


■ 良い点

まず、成立している点。

  • オンボロCPUでも動く
  • 人・車・自転車の識別は実用レベル
  • イベント録画は安定
  • 誤検知は想像より少ない

「遊び」ではなく「実用」に入っている


■ 厳しい点

ただし、限界もはっきりしている。

  • CPU負荷が重い(常時50%前後)
  • H.265は特に厳しい(デコード負荷が高い)
  • UI操作もやや重い
  • カメラ追加の余力はほぼない

ここが重要。

仮に同じ条件でカメラをもう1台追加した場合、

CPUはほぼ確実に飽和する


つまり、

  • 1台 → 成立
  • 2台 → 怪しい
  • 3台以上 → 現実的ではない

■ よくある勘違い

ここでやりがちなのがこれ。

「カメラ4台くらい余裕でしょ?」

無理。

触れば分かるが、
この構成はすでに“ギリギリ成立ライン”にいる。

ただの録画装置ではないことを忘れてはならない。


■ なぜこうなるのか

原因はシンプル。

AIではなく映像デコードがボトルネック

  • H.265デコードが重い
  • フル解像度入力
  • CPUのみ処理

この3点が揃っている。


■ 向いている使い方

だから、この構成での正しい使い方はこれ。

  • 監視対象を1箇所に絞る
  • 「見る」ではなく「検知する」用途にする
  • 常時監視ではなくイベント中心で使う

“広く見る”ではなく“1点を深く見る”

無論、潤沢なハードウェアリソースを使うつもりなら、この限りではない。


まとめ

前評判通り、Frigateは確かに低スペックでも動いた。

だがそれは、

「制約の中で成立する」

という意味だ。

Pentium G4560では、

  • 1カメラ → 実用
  • 複数カメラ → 厳しい

それでも、

「意味のある映像だけ残す監視」は確かに成立した

交通量調査には使うな ─ Frigate最大の落とし穴

ここで重要な話をしておく。

Frigateは「万能な監視カメラ」ではない


■ Frigate は交通量調査には向かない

一見すると、

  • 車の通過数
  • 人の流れ

などのトラッキングに使えそうに見える。

しかし、実際に動かしてみると挙動はこうなる。

Frigateは、対象がフレーム内に入ってから出るまでを1つのイベントとして扱っていると思われる

Frigateは、対象がフレーム内に入ってから出るまでを
1つのイベントとしてまとめる

そのため、

  • 車が1台通過
  • 続けて2台目が進入
  • 自転車や歩行者も混在

このような状況でも、

すべて同一イベントに吸収される


■ イベントが“途切れない”

交通量が増えるとどうなるか。

イベントが途切れない

つまり、

  • 常に誰かが写っている状態
  • 検知が継続し続ける

結果として、

実質的に常時録画と同じ挙動、あるいはそれに限りなく近いものになる


■ 容量効率が逆転する

ここが重要。

Frigateはイベント単位で録画するが、

  • イベントが長時間化
  • H.264で保存
  • 切り出しが効かない

この条件が揃うと、

H.265でフル録画した方が容量効率が良くなる

という逆転現象が起きる。


■ なぜ公式が「家の周り」ばかりなのか

Frigateの公式イメージが、ほぼすべて「住宅周辺」である理由はここにある。

  • 出入りが限定される
  • イベントが明確に分離される
  • 無駄な録画が発生しにくい

■ 正しい使い方

つまり、Frigateはこう使うべきだ。

  • 玄関
  • 駐車場
  • 家の前
  • 裏庭

👉 イベントが“区切れる場所”専用


■ まとめ

Frigateは、

「交通量を測るツール」ではない


「意味のある出来事だけを残すツール」


この違いを理解しないと、

  • 容量は減らない
  • イベントをIndex化した甲斐がない

という状態になる。

最適化の余地

ここまでの結果を見ると、「もう無理では?」と思うかもしれない。

だが、改善の余地はある。
ただし、効果の大きさはそれぞれ違う。


■ detect解像度を下げる

これは一番手軽な調整。

detect:
width: 1280
height: 720

のように下げることで、推論負荷は軽減される。

ただし今回の構成では、

ボトルネックはFFmpeg(デコード)

そのため、

効果は限定的


■ サブストリームを使う(これが本命)

カメラ側にサブストリーム(低解像度)がある場合、

  • detect:低解像度ストリーム
  • record:高解像度ストリーム

という分離が可能。

これが一番効く


理由はシンプル。

デコード負荷そのものが下がる


今回は試していないが、Wansview Q6にも、640×360 という微妙なサブストリームはあったw
いまどきならせめて、HDくらいのサブストリームが欲しいところ…


■ H.264に変更(できれば)

H.265は圧縮効率が高い反面、

デコードが重い

そのため、

CPU環境ではH.264の方が軽くなる


ただしこれは、カメラ側で変更できる場合のみ

今回のQ6では選択できなかった。


■ Coral TPU導入(効果はあるが…)

Frigate公式が推奨しているのがこれ。

USB接続で使えるエッジTPUで、
AI推論部分をハードウェアオフロードできる。

推論負荷は確実に軽くなる


ただし、今回の構成では注意が必要。

ボトルネックはFFmpeg

つまり、

  • 推論 → 軽くなる
  • デコード → 変わらない

結果として、

劇的な改善にはならない可能性が高い

※ちなみに、秋月電子通商では売り切れだった..


■ 公式の前提スペック(ざっくり)

Frigateの思想はもともとこうだ。

  • GPUまたはTPU前提
  • 複数カメラ運用
  • 高解像度映像

つまり今回のような構成は、

想定外ギリギリ


■ まとめ

最適化はできる。

だが、

ボトルネックを見誤ると意味がない


今回の構成では、

  • 推論 → まだ余地あり
  • デコード → ほぼ限界

「軽くしたいなら映像を軽くしろ」

コラム:素人お断り ─ 最安GPUと無限の苦労で叶える最適環境

Frigateを本気で軽くしたいなら、
GPUを使うのが王道だ。


選択肢は3つある。

  • Coral TPU(簡単・高価)
  • NVIDIA GPU(現実解)
  • AMD ROCm(ロマン)
TrueNAS App の Frigate 設定画面のキャプチャ
TrueNAS App の Frigate 設定画面のキャプチャ

特に中古GPUは魅力的だ。

例えば、Quadro P600のようなカードは
3000円前後で入手できることもある。


これを使えば、

FFmpegのデコード
AI推論

両方をGPUに逃がせる可能性がある。


ただし、

刺せば終わりではない


  • ドライバ
  • Docker連携
  • hwaccel設定

ここを突破しないと意味がない。


さらにROCmに至っては、

「動けば奇跡」レベル


完全に記事の趣旨からは外れるが、
本気でやるならDockerは捨てた方がいい。
ベアメタルで組み、監視専用機として割り切る覚悟が必要になる。

つまりこれは、

金ではなく時間で殴る最適化


やるかどうかは、あなたの覚悟次第だ..

結論

いまも稼働させ続けているが、安定感は抜群だ。

CPUもファンが唸り出す一歩手前で踏ん張っており、
動作音も普段と変わらない。

これは、仕事に使える道具の匂いがする


おんぼろサーバーでも、AI監視カメラは成立する。

それが今回の結論だ。


そしてもう一つ、強く感じたことがある。

TrueNAS Appに並んでいるアプリたちは、
どれも実戦レベルの精鋭ばかりだということだ。

それを、わずかな手間で使える。

この価値は大きい


もし手元に、

  • 使っていないネットワークカメラ
  • 遊んでいるサーバー

があるなら、

一度試してみる価値はある。


ただし、

サーバーは電気を食う

今回の構成でも、24時間稼働で月500円程度は見ておいた方がいい。


そして、最後に現実の話。

複数台のカメラを“本気で”運用するなら、

クラウド型の完成品(例:Google Nest Cam)

の方が合理的だ。


それでも、

「動き」ではなく「意味」を記録するカメラ

という体験は、一度味わう価値がある


後日談

丸1日運用してみたが、動作は非常に安定している。
フリーズや取りこぼしもなく、常用に耐えるレベルに達していると感じた。

検知設定についても見直しを行った。
人と自転車はほぼ同時に検出されるため、自転車のトラッキングは外し、「人」のみとした。
この方がイベントの整理としても分かりやすい。

また、用途によっては「車のみ」に限定するのも有効だと感じた。
人はフレームインからアウトまでの滞在時間が長く、結果として録画時間が伸びやすい。
容量を優先するなら、車検知に寄せる方が合理的だろう。

ゾーン指定もやってみた。

Frigate NVRのゾーン設定画面。道路部分のみを検知対象として指定した例
道路エリアだけをゾーン指定。不要な領域を切り捨てることで、検知精度と負荷の両方を改善できる

そして最後に余談。
2026年4月から自転車への青切符制度が導入されたが、
このカメラの前を通過する自転車で、一時停止を守る個体は――

ついに1台も観測されなかったw